浅沼優子

Berlin Calling〜第91回 クラブ業界に衝撃〜Ostgut Bookingが廃業のニュース

最も有名で成功しているエージェンシーの一つが運営停止 ベルリンで最も人気のある大型クラブBerghainが運営する、ブッキング・エージェンシーのOstgut Bookingが、年内いっぱいで廃業するという。10月6日にクラブ情報サイトResident Advisorは、内部関係者…

Berlin Calling〜第90回 差別といじめが横行する職場!? Beatportベルリン事務所の告発記事

Black Artist DatabaseがBeatportとの提携中止を発表 先月の8月23日、ニュース・サイト“Vice”に、元社員が“Beatportは差別的で有害な職場であった”と告発する記事が突如公開された。Beatportは、米国デンバーで設立され、ロサンゼルスとベルリンに事務所を…

Berlin Calling〜第89回 “テクノ、ベルリン、そして大きな自由”〜都市と音楽をめぐる展示レポート

クラブの重要さを訴えてきたTresorによるエキシビション 前々回の本コラムで、老舗テクノ・クラブのTresorが31周年の盛大なフェスティバルを開催することを紹介したが、現在約2カ月間のプログラムが絶賛開催中。全体的な評判も非常に良いと思われるが、エキ…

Berlin Calling〜第88回 クラブを安全に楽しむには? 深刻化する“スパイキング”被害

クラブのみならず業界全体で対策が求められている ベルリンではクラブや音楽イベントが勢いを取り戻し、先週末にはラブ・パレードの主催者が改めて企画した“Rave The Planet”なる屋外パレードに、テクノを求めて20万人が集ったようだし、その前の週にはベル…

Berlin Calling〜第87回 Tresorが31周年を記念し約2カ月間のフェスティバルを開催

7週間にわたり150組が出演予定 今年5月の上旬に、市内のほかのクラブよりも少し遅れて営業を再開した老舗のテクノ・クラブ、Tresor。筆者も再開初日に足を運んだのだが、大幅にリニューアルされていた。半地下のメイン・フロアTresor、2階のGlobusフロア…

Berlin Calling〜第86回 街のクラブの歴史を携帯アプリでベルリンClubHistoryプロジェクト

過去60年間で閉店してしまったベルリンのクラブを記録 ベルリンという街は今や観光都市になりつつあるが、ヨーロッパのほかの大都市と比較するとこれといって視覚的に目立つ建造物などは少なく、特に町並みが美しいわけでもない……というか、どちらかといえば…

Berlin Calling〜第85回 ロシアのウクライナ侵攻〜電子音楽シーンにできること

ウクライナの電子音楽シーンが支援を求める声明を公開 もう約2カ月間、世界を震撼させているウクライナの惨劇。ベルリンに居ると地理的な近さのみならず、特にクラブ・カルチャーにかかわっている者は相互交流が盛んなため、非常に身近な問題に感じる。事実…

Berlin Calling〜第84回 音楽制作もワイアレスの時代? リッチー・ホウティンに聞く新技術

ケーブルを意識せずに済み、音に深く没頭できる ベルリンの電子音楽界でも常に最新のテクノロジーに敏感なアーティスト、リッチー・ホウティン。彼が開発に携わった音楽制作者向けのロスレスなワイアレス・ヘッドフォンTMA-2 Studio Wireless+が発売され、一…

Berlin Calling〜第83回 Spotify騒動が問う楽曲の価値と音楽配信サービスの現在

ボイコットを呼びかける動きが相当な広がりを見せ始めた 前号の本コラムで、ドイツのレーベルとアーティストがSpotify CEOの軍事産業への投資に抗議し、同プラットフォームから楽曲を引き上げたことを紹介した。するとどうだろう、そのちょうど1カ月後に、…

Berlin Calling〜第82回 CEOの軍事産業投資へ抗議するためIlian TapeがSpotifyから撤退

インディペンデント・レーベルが起こしたアクション ドイツのミュンヘンを拠点にする兄弟ユニット、ゼンカー・ブラザーズが運営するレーベルIlian Tape。いわゆる4つ打ちのストレートなテクノでは物足りなくなったDJやクラブ・ミュージックのリスナーたちに…

Berlin Calling〜第81回 ベルリンのテクノ・カルチャーをユネスコの無形文化遺産に!

署名と募金を呼びかけるキャンペーンがスタート 今もベルリンのテクノ・カルチャーの原点として語り継がれる“ラヴ・パレード”。この歴史的平和デモの主催者Dr.モッテなどがメンバーを務める市内のNPO、Rave The Planetが立ち上げたキャンペーンが注目を集め…

Berlin Calling〜第80回 DIY楽器製作者とミュージシャン〜イベント・シリーズINSTRUMENTS

楽器の製作者とミュージシャンが直接交流 レバノン人アーティスト、ラビア・ビアイニがベルリンを拠点に運営するレコード・レーベル=Morphine Recordsが、2021年にスタジオをオープンした。その名もMorphine Raum。サウンド&レコーディング・マガジン2022…

Berlin Calling〜第79回 和やかなモジュラー・シンセ見本市SUPERBOOTH21が開催

参加者間の親密な交流も生まれた自然の中の見本市 毎年5月ごろに開催されてきた、世界でも珍しいモジュラー・シンセの国際的な見本市であるSUPERBOOTH。新型コロナの影響で2度の開催延期を余儀無くされたが、やっと感染防止規制の緩和を受けて、9月15〜18日…

Berlin Calling〜第78回 人気DJ出演の『ワクチン・ナイト』〜クラブ従事者とワクチンの深い関係

3夜で20組以上のDJが出演、約1,700名がワクチンを接種 ついに9月の1週目の週末からコロナ規制が緩和され、屋内クラブの営業が許可されたベルリン。9月2週目現在、ドイツ全体でワクチン接種が2回完了している人口の割合は62%となっているが、ここ一カ月ほ…

Berlin Calling〜第77回 Ostgut Tonの15周年記念ライブを公共テレビ局ARTEが放送

ベルリンの重鎮アーティストや若手注目株が3夜に渡り出演 今やベルリンで最も有名なクラブとして定着しているBerghain。Berghainが運営している、同クラブの前身だったOstgutにちなんで名付けられたレコード・レーベルがOstgut Tonだ。2020年にその15周年を…

Berlin Calling〜第76回 パレスチナ問題を巡り、変わるベルリンのクラブ・シーン

演者も客もますます国際化するベルリンの音楽シーンで続く試行錯誤 6月22日にベルリンのクラブ関係者にとって衝撃の声明が、市内で絶大な人気を誇るゲイ/クィア・パーティ、Buttonsの主催者から発表された。2016年からずっとイベントが行われてきたクラブ…

Berlin Calling〜第75回 ついにコロナ規制が大幅に緩和、音楽イベントが再開し始める

ベルリンの中でも老舗のClub der Visionäreは、もともと開放的な屋外クラブであったため、いち早く営業再開が可能になった 屋外クラブが先人を切って営業を再開初夏の気候のように明るい兆し ドイツはこれまで、人口10万人あたりの新型コロナ・ウィルス新規…

Berlin Calling〜第74回 クラブTresorの30周年記念に伝統を刷新するボックス・セットが発売

デザインもモダンなボックス・セット『Tresor 30』のイメージ。価格は180ユーロ(約24,000円)とコレクターズ・アイテムとなっているが、Tresorのオンライン・ショップとBandcampで既にプレオーダーを受け付けている 伝統を踏襲しながらも現在から未来を志向…

Berlin Calling〜第73回 環境に優しい音楽シーンを目指してクラブ業界関係者からなる環境イニシアチブ=Clean Sceneが報告書を作成

2019年にベルリンのクラブ業界内の有志たちによって立ち上がったClean Scene。“ダンス・ミュージック・コミュニティーのオルタナティブな未来を模索する”ことを掲げている トップ1000 DJの飛行機移動から排出されたCO₂は個人の推奨年間排出量の17倍にのぼる …

Berlin Calling〜第72回 プレイリスト時代のMySpace? 新プラット・フォームCurrents.fm

3月10日にリニューアルされて、だいぶ分かりやすくなったCurrents.fmのWebサイト(https://a.currents.fm/)。まずはお気に入りのアーティストの無料チャンネルを見つけてプレイリストを見てみるか、自分のプレイリストを作成してみるとよい。リストとチャ…

Berlin Calling〜第71回 クラブ営業再開は2022年末以降?長期化するイベント産業の死活問題

ほぼ丸一年閉ざされたままの市内のクラブ://about blank。文化支援策が手厚いドイツにおいても、いつまで維持できるか分からない。以前のにぎわいを取り戻すのはだいぶ先のことになりそうだ フリーランス音楽家への財政支援が急がれる ベルリン/ブランデン…

Berlin Calling〜第70回 新たな音楽プラットフォーム、Refuge Worldwideが始動

Refuge Worldwideのロゴ。ベルリンのローカル・コミュニティに根ざし、グローバルな視野で多様な音楽とアーティストを支援し、より公正な社会の実現を目指す。放送プログラムには音楽番組のみならず、ディスカッションや討論、インタビューなども含まれる予…

Berlin Calling〜第69回 過去最高額21.4億ユーロを2021年文化予算として計上

浅沼優子 ドイツ連邦政府が2007年にポピュラー音楽の産業だけでなく、アーティスト個人の支援も目的として設立した非営利団体=Initiative Musik。これまで1,000以上のプロジェクトに財政支援を行っている 非営利団体を通してアーティスト個人を支援 ドイツ…

Berlin Calling〜第68回 欧州主要国が再びロックダウン 厳しい冬とイベント再開の可能性

浅沼優子 9月から館内を即席美術館のStudio Berlinとして運営し、多くの来場者が訪れていた有名クラブBerghainも、少なくとも12月まで封鎖となり、売り切れていた前売り券も11月分は払い戻しになった 欧州主要国が再びロックダウン厳しい冬とイベント再開の…

Berlin Calling〜第67回 ドイツ統合30周年の10月3日に『クラブ・カルチャーの日』が開催

浅沼優子 20年以上の活動を誇る女性アーティスト支援ネットワーク、Female:Pressure主催で「反レイシズム空間としてのクラブ」がテーマのパネル・ディスカッションに、パネリストとして筆者も参加した ドイツ統合30周年の10月3日に『クラブ・カルチャーの日…

Berlin Calling〜第66回 “ビジネス・テクノ”と“疫病レイブ” 問われるDJとイベントの社会的責任

浅沼優子 「疫病レイヴの話をしなければならない」と題されたロンドンのオンライン・マガジンAttack Magazineに掲載された記事 “ビジネス・テクノ”と“疫病レイブ”問われるDJとイベントの社会的責任 新型コロナ・ウィルスによる“第二波”の被害が世界的に拡大…

Berlin Calling〜第65回 Black Lives Matter運動の波及 欧州でも変わり始めたクラブ産業

浅沼優子 ベルリンの公共文化施設、世界文化の家が配信したポッドキャスト「Politics of the Dance Floor」シリーズの第1弾。Solidarity(連帯)」をテーマに、筆者と南アフリカ出身の黒人でレズビアンのDJ、トルコ系イギリス人のクイア・プロモーター、ロ…

Berlin Calling〜第64回 Black Lives Matter 以降の音楽産業に求められていること

浅沼優子 Black Lives Matter 以降の音楽産業に求められていること 前号のコラム執筆時からまた世界は大きく変わった。ミネアポリスで警官に殺害されたジョージ・フロイドさんの事件を経て、構造的人種差別に対する抗議運動Black Lives Matter(以下BLM)が…

Berlin Calling〜第63回 クラブ業界からバッシングを受けたレイブ・カルチャー・デモ

浅沼優子 クラブ業界からバッシングを受けたレイブ・カルチャー・デモ 6月1週目現在、ベルリンではホテルやバー、映画館などの営業も再開され、かなり日常生活が戻ってきた印象だ。毎年天気が良くて日照時間も長い今の時期は、ベルリナーが最も解放されて…

Berlin Calling〜第62回 パンデミック時代の 音楽家・音楽産業のサバイバル

浅沼優子 パンデミック時代の音楽家・音楽産業のサバイバル 前回は、コロナ・ウィルス問題に対する初期的なベルリンでの反応や対策を紹介した。しかし、あれから1カ月が経過し、状況は一段と深刻になってしまったと言わざるを得ない。5月1週目の執筆時現在…

Berlin Calling〜第61回 新型コロナ・ウィルス被害に対する ベルリン/ドイツ音楽界の動き

浅沼優子 新型コロナ・ウィルス被害に対するベルリン/ドイツ音楽界の動き 4月初頭の本コラム執筆時、筆者はベルリンの自宅での“自己隔離”生活が4週目に突入。日本でも公式発表される新型コロナ・ウィルスの感染者数が急増し始めており、全世界が先の見え…