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Berlin Calling〜第81回 ベルリンのテクノ・カルチャーをユネスコの無形文化遺産に!

署名と募金を呼びかけるキャンペーンがスタート

 今もベルリンのテクノ・カルチャーの原点として語り継がれる“ラヴ・パレード”。この歴史的平和デモの主催者Dr.モッテなどがメンバーを務める市内のNPO、Rave The Planetが立ち上げたキャンペーンが注目を集めている。ベルリンのテクノ・カルチャーのユネスコ(国際連合教育科学文化機関)無形文化遺産登録を求めるというものだ。

 

 ベルリンがテクノ・カルチャーの世界的な中心地であると言われるようになってから久しい。しかし、実はジェントリフィケーション(再開発や新たな住民の流入により地価や物価が高騰する現象)によって、近年多くのクラブや音楽ベニューが閉店に追い込まれていた。そこに追い打ちをかけるようにパンデミックが起こり、今や非常に多くの関係者(筆者を含む!)が苦境に立たされているのが現実だ。市内の業界団体Clubcommissionによる働きかけや、連邦政府、州政府などによる文化支援のさまざまな取り組みも行われてきた。しかし、ここにきてコロナの第4波の猛威にさらされ、再度営業休止を強いられているクラブ・シーンの現状は厳しい。カルチャーそのものの存続が危ぶまれはじめている。

 

 このキャンペーンは、ユネスコのドイツ政府代表部に、テクノ・カルチャーを無形文化遺産として申請するよう呼びかけるもの。2021年5月、ドイツでは連邦政府によってクラブやライブ会場が美術館や劇場と同等の文化施設として正式に認定されるという出来事があった。これも業界団体の熱心なキャンペーン活動の成果で、商業的な娯楽施設との差別化により減税や保護の対象となる。今後さらなる地価高騰や、パンデミックに襲われるような事態への備えになるというわけだ。

キャンペーン用に制作されたビデオ。ベルリン出身のエレン・エイリアン、デトロイト出身のアラン・オールダムといったアーティストや、Tresorの創設者ディミトリ・ヘーゲマンなどが出演

 

 今回は、それをさらに国際的な文化遺産として認めてもらおうという試み。無形文化遺産といえば、そのほとんどが民俗文化や伝統芸能に属するもので、日本では能楽や歌舞伎、雅楽などだ。しかし、2017年にはチューリッヒのテクノ・カルチャーが、2018年にはジャマイカのレゲエ音楽が登録を果たした例もある。ベルリンの場合、テクノは産業として発展したり観光資源となっているだけでなく、壁が崩壊した同時期に平和と再統合を象徴した音楽文化であるという歴史的な意味合いが大きい。これがユネスコに無形文化遺産であると認められれば、世界的にテクノ・カルチャーの地位向上につながるだろう。

 

 筆者も署名をしておいたが、テクノ・カルチャーを守りたいという有志はぜひ日本からでも署名や募金のご協力を!

 

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浅沼優子/Yuko Asanuma

【Profile】2009年よりベルリンを拠点に活動中の音楽ライター/翻訳家。近年はアーティストのブッキングやマネージメント、イベント企画なども行っている