Photo: Takashi Yashima
最上位機と同様のウェーブガイドを装備したモニター
41W出力のクラスDパワー・アンプを2基搭載した305P MKIIと、56W出力アンプを2基装備する306P MKII。ボイス・コイルを取り巻く磁界のひずみを改善し、原音忠実を実現するという低域ドライバーと、磁性流体を採用した高域ドライバーを備えている。JBL PROFESSIONALの最上位機であるM2のために開発されたイメージ・コントロール・ウェーブガイドを導入しているのも特徴で、非常にワイドなステレオ・フィールドを作り出すという。使用する部屋の形状や容積に左右されないLSR設計や、乱流を抑えるスリップ・ストリーム仕様のバスレフ・ポートを採用している点もトピックだ。
305P MKII/306P MKII Rear
Boundary EQ&HF Trim
SPECIFICATIONS
305P MKII ■形式:2ウェイ・パワード ■スピーカー構成:5インチ径ウーファー+1インチ径ソフト・ドーム・ツィーター ■周波数特性:43Hz~24kHz(-10dB)、49Hz~20kHz(±3dB) ■外形寸法:186(W)×298(H)×242(D)mm ■重量:4.7kg/1台
306P MKII ■形式:2ウェイ・パワード ■スピーカー構成:6.5インチ径ウーファー+1インチ径ソフト・ドーム・ツィーター ■周波数特性:39Hz~24kHz(-10dB)、47Hz~20kHz(±3dB) ■外形寸法:222(W)×360(H)×266(D)mm ■重量:5.9kg/1台
Impression
Masayoshi Iimori
伸びやかで均整の取れたサウンド
●周波数キャラクターについて
全体的にフラットな印象ですが、特に中~高域が気持ち良く聴こえました。高域は痛いほど出ていないものの、はっきりと聴き取れますし、中域もバランス良く鳴っています。低域に関しては2モデルでやや印象が異なり、305P MKIIは音量的には控えめですが、かなりクリアに聴こえます。306P MKIIはより音量が出ていますが、暴れるということのないコントロールされたパワフルさです。
●解像度、定位/奥行きの再現について
解像度は全帯域にわたり伸びやかで、均整の取れたサウンドだったと思います。ただ、ルーム感が狭いというか、若干音が詰め込まれている感じがしました。306P MKIIはウーファー口径や筐体が大きい分、緩和されていると思います。
●総合的な印象やそのほか感じたこと
ジャンルとしては、中高域の鳴りが心地良いので、歌モノ全般に適していると感じました。また先述の通り、306PMKIIの方が低域の量感やルーム感の広さなどは優れている印象ですが、305P MKIIは大きな音を出さなくても全体的にバランス良くまとまっている印象で、初めてモニター・スピーカーを買う方にはお薦めです。そして、305P MKIIがペアで29,600円前後、306P MKIIが39,600円前後とコスト・パフォーマンスに優れている点も魅力だと思います。
MIDO
中域にも優れボーカルが奇麗に出ている
●周波数キャラクターについて
低域が力強く、リファレンス用のヒップホップもしっかり再現できていました。中域はリスニング用スピーカーのノウハウも豊富なメーカーだけあり、ボーカルが奇麗に出ています。高域もパワフルなため、大音量で長時間作業する際には耳の負担に注意が必要かと思いましたが、ホーム・ユースであればさほどネックにはならないでしょう。
●解像度、定位/奥行きの再現について
定位や奥行きの再現もよくできていると思います。イメージ・コントロール・ウェーブ・ガイドのためか、音が左右にも豊かに広がっていました。解像度も高く全帯域しっかりと出ているのですが、ややリスニング用途的な気持ち良さを感じます。305P MKII/306P MKIIを使い続け、自分のリファレンスとして定着すれば問題は無いのですが、初心者がいきなり使いこなすのは少々難しいのかもしれません。
●総合的な印象やそのほか感じたこと
JBL PROFESSIONALと同列では扱えないかもしれませんが、昔から自宅のリビングにコンシューマー向けのJBL製スピーカーがあったので、親しみのあるサウンドのような気がしました。305P MKIIと306P MKIIのサイズによる違いはあまり無かったので、制作環境の規模に合わせて適したモデルを選ぶのが良いと思います。
ロマンチック☆安田
柔らかいのにはっきりとした音像
●周波数キャラクターについて
305P MKIIの低域は柔らかいにもかかわらずラインがしっかりと見え、太いバスドラでもぼわつきがありません。306P MKIIはパワフルなため、打ち込みの低域再生に適していると感じました。中域は滑らかで弾力性があり、リスニング向けスピーカーに近い印象を受けます。高域については丁寧に処理しなければ耳に付くような部分が若干マイルドになっているので、ミックスで使う際には注意が必要です。
●解像度、定位/奥行きの再現について
定位感と解像度は305P MKIIがより優れています。柔らかいのにはっきりとした音像という、クオリティの高さに驚きました。また、ほかのスピーカーの場合、奥行きが物足りないということがありましたが、305P MKII/306P MKIIはしっかりと感じられます。左右へもタイトさを保ったまま広がっていたので好印象です。
●総合的な印象やそのほか感じたこと
音に柔らかさがあるので、1960年代のロックなどが合いそうな気がします。また、ラウンジのようなムードを感じたため、ビート・ミュージックの制作に使っても楽しそうですね。それでいて過度な色付けがされているわけでもなく、モニターとしての特性は保持しているので、価格の面から考えても非常に良い製品だと思いました。
製品情報
JBL PROFESSIONAL 305P MKII
オープン・プライス
(市場予想価格:14,800円前後/1台)
JBL PROFESSIONAL 306P MKII
オープン・プライス
(市場予想価格:19,800円前後/1台)
※本記事はサウンド&レコーディング・マガジン 2020年5月号より転載しています
ペア10万円以下!
サイズで比べるビギナー向けモニター・スピーカー
関連記事