ペア10万円以下!サイズで比べるビギナー向けモニター・スピーカー 〜Introduction

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 近年、自宅などのプライベート環境で制作するクリエイターの中には、ヘッドフォンだけでモニタリングしているという人も少なくないだろう。特にビギナーは、モニター・スピーカーの必要性を感じながらも、どのメーカーの何インチ・モデルを購入すればよいのかという疑問に直面しているはず。そこでこの特集では初心者でも手の出しやすいペアで税別10万円以下のモニター・スピーカーをピックアップ。同ブランド同シリーズの中から自宅スタジオにも置きやすいウーファー・サイズ3~7インチの大小2モデル総勢9ブランド/18機種を、さまざまなジャンルのクリエイター/エンジニア3名に試聴してもらい、特性や特徴を比較検証してもらった。さらに特集後半では、このクラスの単体4モデルも紹介しているので、併せてチェックしてほしい。

Photo:Takashi Yashima(except*)

※本記事はサウンド&レコーディング・マガジン 2020年5月号より転載しています

 

Introduction

 今回22モデルを試聴していくわけだが、そもそもなぜモニター・スピーカーを使う必要があるのだろうか? まずは、オーディオ用スピーカーとの違いやサイズによる特性などをエンジニアの福田聡氏に解説してもらおう。

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[福田聡]フリーランスで活動するレコーディング/ミックス・エンジニア。ファンクやヒップホップなどのグルーブを重視したサウンドを中心に、堂本剛やSANABAGUN.、福耳などの作品を手掛けている。
Photo:Hiroki Obara

モニターは分かりやすさを追求した製品

 ヘッドフォンやイアフォン、はたまたスマホやポータブル・スピーカーで音楽を聴くことが当然になって久しい世の中ですが、その一方で高レート・リスニングにも対応した高級ヘッドフォンなどハイエンド製品への関心も高まっています。現在実に多くのリスニング方法や製品がありますが、一体どれを基準に音作りをしていけば良いか考えてしまうことも多いのではないでしょうか。我々音を作る者としては、どのツールで聴いても楽曲の印象が変わらないように音を仕上げることが重要になってきますが、そのために必要なのが今回特集するモニター・スピーカーです。

 

 昨今ヘッドフォンで作業する割合も増えていると思いますが、世に出る作品はさまざまな環境で再生されます。そのため、ヘッドフォンやイアフォンよりも音が耳に届くまで多くの空気を振動させるモニター・スピーカーでの試聴も変わらず大切なプロセスです。両者をバランス良く使って作業していくことが理想と言えるでしょう。大音量で鳴らせば、耳だけでなく体感で音の確認が可能ですし、没入せず客観的に楽曲をチェックできたりと、モニター・スピーカーの利点は挙げればきりがありません。また、レコーディングや制作など複数人で作業する場合にも、モニター・スピーカーの働きは重要です。

 

 一般的にモニター・スピーカーは“音源を脚色することなく、そのまま再生すること”を目的とした製品となっています。他方、コンシューマー向けのスピーカーやオーディオ製品は、低域や高域が強調されたチューニングになっており、“音源をより気持ちよく、迫力を出して聴かせること”を目的とした製品です。もっと平たく表現してしまえば、モニター・スピーカーは“分かりやすさ”を、オーディオ用スピーカーは“その場の気持ち良さ”を追求したもので、そもそものコンセプトが違うと言えるでしょう。

 

 “気持ちよくアゲアゲな音で作った方が良い作品ができる”という意見もあるかもしれませんが、それは気分だけが上がれば良いだけのこと。作業中にスピーカーから出る音はフラットで分かりやすい状態にしながらも、それを気持ち良い上がる音に仕上げるように努力する方が、圧倒的に仕上がりの質の向上につながるはずです。

 

 筆者は若かりしころ、お気に入りのコンシューマー向けヘッドフォンを使ってミックスしたことがあります。バッチリになったと思ったのですが、別の環境で聴いたところものすごく地味なミックスになってしまい、結局やり直しました。皆さんも似たような経験はないでしょうか? これはモニター・スピーカーでも同じで、フラットではないリスニング向きのモデルを使った場合には、そのスピーカーの帯域特性やダイナミクスの抑まり具合まで逆算してミックスをしなくてはならなくなり、余計な思考が必要になってくるため、クリエイティブな作業に集中する足かせになってしまいます。聴くツールによる音のばらつきも出やすくなるでしょう。適正なモニター・スピーカーを使い、それが自分の基準になっていけば、仕上げた音の統一感も増し、音作りの迷いや時間浪費の解消にもつながると思います。

 

小型でも低域が豊かなモデルなど質が向上

 この特集の目的は、同じシリーズのサイズ違い比較です。大きいスピーカーは音量を無理なく出せる上、ウーファーの径も大きいため、より自然な低域などを体で感じながら作業することが可能。小さいスピーカーはサウンドの全体像、バランス感を確認するときに大変重宝し、冷静な判断を可能にしてくれます

 

 ただ近年ではその垣根も無くなり、細かいニュアンスが分かる大きなスピーカーや、しっかりと低域まで出る小さなモデルも増えてきています。ここ数年でスピーカーの性能は上がってきており、国内の商業スタジオでもモニター環境のアップデート事例がよく見られます。数年前よりも高解像でワイド・レンジなモニター・スピーカーが制作現場に求められてきている流れもあるでしょう。これを機会に初心者はもちろん、中〜上級者もモニター・スピーカーを再考してみるのも良いかもしれません。

 

Reviewer

Masayoshi Iimori

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[Profile]EDMやトラップを得意とするプロデューサー/DJ。TREKKIE TRAXよりデビューし、スクリレックス、ディプロ、メジャー・レイザー、DJスネイクなど世界中の著名プロデューサーからサポートを受けている。当日はグリッツ&サブトロニクス「Griztronics」をリファレンス楽曲として使用した

MIDO

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[Profile]ミキシング・エンジニアとしての活動と並行して、TENZANやL-VOKAL、Zeebraのプロデュースでも注目を集める。以降も掌幻、CHICO CARLITO&焚巻、PKCZ(R)、EGOなどに、シンセを多用した迫力満点のビートを数多く提供している。今回は、Jポップやヒップホップなどをリファレンスに用いた

ロマンチック☆安田

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[Profile]5人組バンド、爆弾ジョニーのキーボード/ギター担当。忘れらんねえよの元メンバー梅津拓也(b)、本棚のモヨコの星野未緒(ds)と結成したHOT CAKEではギター&ボーカルのほか、ミックスも自身で手掛けている。リファレンスにはアラバマ・シェイクス「サウンド&カラー」をチョイス

 

Studio

御茶ノ水Rittor Base

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(*)今回試聴を行った多目的スペースの御茶ノ水Rittor Base。APPLE MacBook Proで再生したリファレンスとなる音声信号は、MOTUのUSBオーディオI/Oを通り、各モニターへと送られる。スピーカー・スタンドはACOUSTIC REVIVE YSS-90HQを使用した

rittorbase.jp

 

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サイズで比べるビギナー向けモニター・スピーカー

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