皆さんこんにちは、HATAKENです。1010MUSIC Bitbox MK2は、デュアルコア・プロセッサーを備えたパワフルなサンプラーです。僕はかつて初代Bitboxを4台も使っていたので心から実感していることなのですが、Bitbox MK2は初代Bitboxよりも、より快適で信頼のできるサンプラーになっています。そんなBitbox MK2の魅力を、早速紹介してまいりましょう。
マイコン・コア・プロセッサー搭載サンプラー
まずBitbox MK2は、ユーロラック・モジュラー繁盛期以降に生まれた、マイコン・コア・プロセッサーを搭載する第3世代的なモジュールの一つです。ファームウェアを書き換えることでバージョン・アップしたり、全く別の機能のモジュールに入れ替わったりするため“モジュラー新世代”を象徴する一台だと言えます。Bitbox MK2は、初代Bitboxからプロセッサーの処理能力が2倍になり、サンプルの再生能力の向上はもちろんのこと、新機能も搭載されてますます魅力的なモジュールになりました。僕のライブ・システムでも“1軍レギュラー・サンプラー”のポストをなかなか譲りません。
また、Bitbox MK2はサンプルを変調するさまざまなパラメーターを、外部CVやMIDIの入力信号によってハイブリッドにコントロールできます。そのため、ユーロラック・モジュールとなじみが良いだけでなく、MIDI入出力を備えているスタンドアローン・マシンや、DAWとの相性もとても良いのです。
では、パネルを見ていきましょう。目を引くのは中央にセットされたタッチ・パネル・ディスプレイです。視認性に優れているのはもちろん、タッチでのサンプル選択/再生や、画面のスクロール、パラメーターの選択をすることができます。パラメーターそれぞれの値を調整するには、ディスプレイ横にある4つのエンコーダー・ノブとその上のHOME/INFOボタンも使用します。
通常のモジュラー・シンセはパッチングをしないと音を得られないものが多いのですが、Bitbox MK2はタッチ・パネルに触れるだけで音を再生してくれるので、モジュラー環境では何かと便利です。例えばサウンド・チェックでリズムのループを流しつつほかのエフェクト・モジュールのかかり具合を確認できたりと、現場で重宝しています。Bitbox MK2には、リズムのほかにシンセ・パッドやアコースティック・サウンドのループ、自然音などを仕込んでおくのもお勧めです。サンプルをクロックに同期したループとして即座に再生できるので、さまざまな場面で役立ちます。データの保存や外部とのやりとりにはmicroSDカードを使用するので、コンピューターとサンプルのやり取りも容易です。
DCカップリング設計でCVの記録/再生可能
入力端子はMIDIイン、クロック・イン、オーディオ・イン1/2、サンプルをトリガーするGateインが最大16系統と最大8系統のCVインがあって、それぞれアサインによって使い分けられます。出力端子は、オーディオ・アウトは4系統(FX1/2、OUT1/2)があり、4系統のモノラル・アウトとしても2系統のステレオ・アウトとしても、サンプルごとに出力先をアサイン可能です。
入出力端子はDCカップリング設計で、オーディオのみならず、CVを録音(記録)/再生するサンプラーとしても機能。これはモジュラー・ファンにとって、とても有用な場面がありますね。シーケンサーのようにサンプラーから外部シンセ音源を制御することができ、指一本で切り替えることができます。
Bitbox MK2で調整可能なパラメーターは、サンプルの開始/終了位置、長さ、ピッチ、ゲイン、フィルター、ループ・モード、発音タイミングのクオンタイズ解像度、ADSR、グループ化、クリップの同期、スライスのマッピングと再生順序などがあります。また、グラニュラー・モードのサイズ、広がり、再生数なども調整できて、多彩です。
外部CVとMIDIの入力信号を、各パラメーターにアサインすることで、ハイブリッドな信号で制御が可能。モジュラー・シンセとDAW、両方の良さを共存させているような、とても創造的に使うことができる一台です。
Bitbox MK2は、ステレオで長尺のループ再生をしても、グラニュラー加工をしたり、複雑なタイミングで複数のサンプルを同時再生しても、安定して動作してくれるサンプラーです。Bitbox MK2を使えば、ノート・パソコンでCPU負荷をかけてフリーズしてしまうという、あるあるアクシデントを回避できると言えます。音楽制作にはもちろんのこと、ライブやDJセットでも活躍してくれて、頼りになるでしょう。
1010MUSIC Bitbox MK2 製品情報
【Profile】1990年代よりシンセ奏者として活動。2013年から東京モジュラーフェスティバル(TFoM)をデイブ・スキッパーとともに毎年開催。世界中のモジュラー・シンセ・メーカーや、モジュラー・シンセを演奏するアーティストを招き、国内でのモジュラー・シンセの普及に努めている
Patch The World For Peace 〜モジュラー・シンセを選ぶ理由