皆さんこんにちは、HATAKENです! 今月はオシレーターを搭載するランダムCVジェネレーターのMAKE NOISE Richter Wogglebugをご紹介します。偶発的なハプニングをランダムに発生させるのは、モジュラー・シンセの醍醐味。同じサウンドをプラグインで作ろうとすると過大なCPU負荷がかかりますが、モジュラーならばパッチ・ケーブルをつなぐのみで簡単にできます。
今月のモジュール:MAKE NOISE Richter Wogglebug
今月の動画では、先月紹介した同社のステレオ・フィルターのQPASと、ステレオ・ディレイのMimeophoneなどを使い、Richter Wogglebugの具体的な動作や音を、目と耳で確認していきます。
内蔵/外部クロックでランダムCVを生成
Richter Wogglebugのオリジナルの設計者は、WIARDのグラント・リヒター氏。ルーツはランダム・ボルテージ・ジェネレーターの開拓者=ドン・ブックラ氏によるModel 265 Source of Uncertaintyです。MAKE NOISEの設立者トニー・ローランド氏は、それをユーロラックで使い勝手が良い一台に仕上げ、その後、何回か改良されて現在に至ります。
Richter Wogglebugは、内蔵/外部クロックと同期して“ランダムCV”を生成できるモジュールです。CV OUTは3系統を用意。クロックに合わせて階段状に変化するランダムCV出力のStepped OUT、なめらかなCV波形で変化するSmooth OUT、さらにStepped OUTの音に揺らぎが加わったような波形を出すWoggle CV OUTを装備しています。パネル上部にある3系統のAudio OUTは、パネルにあるすべてのコントロールに関連して変化します。これをノイズ・ソースやオーディオ・ソースとして利用することが可能です。中央にはSmooth VCO OUTとWoggle VCO OUTをリング・モジュレートした、Ring-Mod OUTを備えています。
クロック出力は2系統(Burst OUT、Internal Clock OUT)を用意。Burst OUTを外部フィルターへのモジュレーション入力として使用することで、グリッチ・サウンドを作ることができます。
入力は3系統、Ego IN、Influence IN、Speed INと外部クロック・インを装備しています。Ego INは、サンプル&ホールド用外部入力で、Influence INがVCO OUTのピッチとWoggle OUTのCVレベルをシフトするものです。
パネルで一番上にあるEgo/Idバランス・コントロールは、サンプル&ホールド回路が生成するランダムの発生率のレンジを設定します。Woggleコントロールはその生成した電圧に加える振動速度を調整するもの。左で振動数は上がって振幅は短く、右へ行くほどゆっくりとした振動となり大きな変化に。このコントロールはWoggle CV OUTとすべてのオーディオ・アウトに影響を与えます。クロックの速度、ランダム発生率と振動具合の組み合わせで、あらゆるタイプのランダム信号を作り出すことが可能です。一番下のSpeedコントロールはWogglebugの内部クロックのレートとラグ・プロセッサーの両方をコントロールします。その上にはSpeedコントロールへのCV INに対するアッテネーターがあり、何も接続していないときは8Vの電圧がかかっていて、それに対するアッテネーターとして動作します。一番左下の黒いDisturbボタンはサンプル&ホールド回路に直接作用し、押している間、電圧をホールドします。
複雑なランダムCVが音楽的表現を叶える
Richter Wogglebugは、外部クロックと同期したランダムな変化が得られるので、音楽的な表現への利用が行いやすいです。Infuluence INを使ってシーケンスやキーボード演奏に追従して、ランダムな揺らぎを派生させることも可能です。Richter Wogglebugをさまざまなモジュールで試してみることをお勧めします。LFOの周期的なサイクルでモジュレーションするよりも、複雑なランダム・ソースが豊かな表現力をもたらすでしょう。飽きの来ないメロディ作りも可能です。
MAKE NOISE Richter Wogglebug 製品情報
【Profile】1990年代よりシンセ奏者として活動。2013年から東京モジュラーフェスティバル(TFoM)をデイブ・スキッパーとともに毎年開催。世界中のモジュラー・シンセ・メーカーや、モジュラー・シンセを演奏するアーティストを招き、国内でのモジュラー・シンセの普及に努めている
Patch The World For Peace 〜モジュラー・シンセを選ぶ理由
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