Patch The World For Peace 〜モジュラー・シンセを選ぶ理由〜第3回 MALEKKO HEAVY INDUSTRY Varigate 8+ / Voltage Block

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 こんにちは、HATAKENです! 僕の大好きなモジュールを紹介する本コーナーも3回目を迎えました。これまでモジュールのユニークな機能などをお話ししてきましたが、僕はモジュラー・シンセと向き合う時間そのものも魅力だと思っています。さまざまなパッチングを試すことで、モジュラー・シンセは自分好みの仕組みを作れる、最高の道具になるのです。今回はMALEKKO HEAVY INDUSTRYのゲート・シーケンサーVarigate 8+とCVシーケンサーであるVoltage Blockの2つを取り上げます。

Photo:Yusuke Kitamura

今月のモジュール:MALEKKO HEAVY INDUSTRY Varigate 8+ / Voltage Block

アレンジの効いたループを永遠に生成してくれる

 音楽制作の現場では、DAWに象徴されるように楽譜をベースにしたプログラムとそれに適したMIDI規格のシーケンサーが主流ですね。なので、楽譜では表現できないようなエレクトロニック・ミュージックの制作においても、そうしたシーケンサーの使用を余儀無くされます。モジュラー・シンセは、鍵盤を演奏できなかったり理論に詳しくなくても、ツマミやスライダーで即興的に演奏できる点が魅力です。同じことを繰り返しているようでも、飽きの来ないアレンジの効いたループを永遠に生成し続けることができます。

 

 そもそもMIDIは、一つの音符の信号でタイミング、音階、長さ、強さ、その他のコントロール情報がすべてまとまっているので利便性が高いです。しかし、モジュラー・シンセで使用される電圧制御の方式ではピッチ、タイミング、音の長さ、それぞれを制御する別々の電圧(CVまたはGate)を送ります。そのため、かえって自由な表現を可能にするので、ゼロから音楽を生み出す仕組みとして有効なのです。

 

 現代のモジュラー・シンセは多機能だったり、ユニークなノブを搭載していたりするため、必ずしもアンプやエンベロープが無くとも音を切ったりする方法はあります。さまざまな調整でグルーブ感も生み出せますし、実際に不可能な演奏やあり得ない楽器の響きやリズムなど、音符の表現から自由になることでMIDIの打ち込みでは得がたい結果がすぐ得られます。それは、感動的であると同時に、ユーロラック・モジュラーが人気になっている大きな要因なのかもしれません。

 

発音からリピートの確率までランダムに設定できる

 Varigate 8+とVoltage Blockは、それぞれゲート・シーケンサーとCVシーケンサーとしてとても優秀です。しかしこの2つは単に音階作りや音の長さを決めるためだけのものではありません。さまざまなモジュールのノブをコントロールして、有機的な音色のコントロールまで可能にするのです。パネルに設置されたボタンを使えば、ランダムなリズムを作ることも可能。これによりDAWで音符を打ち込むのでは表現できないグルーブを生み出せるほか、2本の手では不可能な制御も可能になります。その意味で、この2機種はアイディアと工夫があふれるシーケンサーなのです。

 

 2台のモジュールが同じバス・ボード上にあれば、プログラムの保存や呼び出しをVarigate 8+で一括管理できるほか、クロックも共有できるので相性抜群です。

 

 Varigate 8+は8つのゲートと2つのCVトラックの全10チャンネルを持つゲート・シーケンサー。パネル右上のPROB(プロバビリティ)ボタンを使うと、発音やリピートの確率、パルス幅の度合いをランダムに設定することができます。これで飽きの来ないフレーズやループのパターンを生み出すことが可能です。さらに、RND(ランダム)ボタンを用いればアレンジが可能。また、ステップごとに横スライダーを備えていて、ミュート、クロックのディバイド/マルチプライ、ランダムの度合いが設定でき、10チャンネルに各10パターンなので、計100のパターンを記憶してくれます。

 

 Voltage Blockは8つのCVトラックとスライダーで簡単にフレーズを生み出し、バリエーションも得られます。さまざまなモジュールのCV INに入れて、同じ電圧の動きでもどんな効果が得られるのか実験してみるのが楽しいです。頭で考えるよりも、実験で経験値を上げるのがモジュラーを自由自在に鳴らす近道であり、その経験はきっと、DAWでの作業のインスピレーションにもなるでしょう。

 

 さて、最後に動画で演奏をお見せするパッチングについてです。今回はシーケンサーを使って、ROSSUM ELECTRO-MUSICのサンプラーAssimil8torを音源にして、リズム・ループを作りたいと思います。Varigate 8+のGate OUT×8とCV×2とVoltage BlockのCV OUT×8の全18出力を、Assimil8orの8チャンネルのGate INとCV INへ送って、具体的に演奏する様子をお見せします。

 

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HATAKEN

【Profile】1990年代よりシンセ奏者として活動。2013年から東京モジュラーフェスティバル(TFoM)をデイブ・スキッパーとともに毎年開催。世界中のモジュラー・シンセ・メーカーや、モジュラー・シンセを演奏するアーティストを招き、国内でのモジュラー・シンセの普及に努めている

 

製品情報

malekkoheavyindustry.com

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www.snrec.jp

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