Patch The World For Peace 〜モジュラー・シンセを選ぶ理由〜第4回 EXPERT SLEEPERS ES-9

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 こんにちは、HATAKENです! 前回はDAWに縛られない音楽制作をするためにシーケンサー×2機種を紹介しました。しかしモジュラーを使っていると、LFOの値やシーケンスをDAWで設定して、次回にセットアップする際の再現性を高めたいといったシーンもあります。そこで必要なのが、MIDI信号をCVに変換するコンバーターです。今回は、16イン/16アウトのUSBオーディオI/O、EXPERT SLEEPERS ES-9を紹介します。

Photo:Yusuke Kitamura

 

今月のモジュール:EXPERT SLEEPERS ES-9

 今回の動画では、CWEJMANのオシレーターVCO-2RMとフィルターのMMF-1Sなどを使い、ES-9を介したDAWとモジュラーでの音楽制作の様子をお届けしたいと思います!

 

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DAWのみでは得られにくい音作りが可能

 まずは、モジュラー・シンセ専用のオーディオI/Oが必要な理由をお話しします。モジュラーで使用するCVは+/−5〜10Vの直流電流(DC)で、オーディオI/Oの出力するオーディオ信号は交流電流(AC)です。そのため、CVを扱うにはオーディオI/Oの出力がDCカップリング対応でなければなりません。また、コンピューターでプログラムのできない複雑なモジュレーションをMIDI変換してコンピューターへ送り、DAW上のプラグインを制御したいといった場合においては、入力もDCカップリング対応である必要があります。

 

 ES-9は、アナログ入出力(ミニ・フォーン)にDCカップリングを備えたユーロラック規格のUSBオーディオI/Oです。メイン出力(TRSフォーン)とヘッドフォン出力(ステレオ・フォーン)を装備しているため、スタジオでもライブでも場所を選ばず、モジュラーとラップトップ/タブレットを統合できます。

 

 次に、DAWとモジュラー・シンセを一緒に使うメリットについてお話ししましょう。1つ目は、コンピューターではプログラムしにくい複雑なモジュレーションやランダムな信号をモジュラーからコンピューターへ送り、DAW上で開いたプラグインを制御するといったことが可能な点です。これによりDAWのみでは得られにくい音作りが可能になります。2つ目は、モジュラー・シンセで行った作業工程を記録できることです。モジュラーには設定した値を本体で記録できないものも多くあります。その場合にも、モジュラー側のノブをゼロに設定してアッテネーターをかけない状態にしておけば、すべての値をDAW上でセーブすることも可能です。

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EXPERT SLEEPERS ES-9のパネル。アナログ出力(ミニ・フォーン)を8系統、アナログ入力(ミニ・フォーン)を14系統、ヘッドフォン・アウト(ステレオ・フォーン)とヘッドフォン・アウト用ボリューム・ノブ、USB Type-C端子、S/P DIF入出力(オプティカル)、メイン出力L/R(TRSフォーン)を装備している。最高24ビット/96kHzに対応。オプションのES-5を使った8アウト増設や、MIDI BreakoutでのMIDI IN、OUT追加も行える。Mac/iOS/Windowsに対応

専用ソフトからCVを出力してモジュラーを制御

 またES-9においてポイントとなるのは、同じ入出力端子でCV/Gateもオーディオも扱えることです。ES-9に装備された14のアナログ入力でモジュラー・シンセのサウンドをDAWにマルチトラック録音することができます。使用できるソフトは、同社のSilent WayやCYCLING '74 Max、ABLETON CV Tools、BITWIG Bitwig Studioなどです。ソフトからさまざまなCVを出力してモジュラーを制御できるのはもちろんのこと、クロックを送受信したり、外部CVを受けてMIDIコントロール・チェンジにアサインもできます。8つのアナログ出力は、モジュラーで音を加工するためのオーディオ出力としてはもちろん、CVを出力してモジュラーをコントロール/演奏する際にも使えるのです。ちなみに僕はABELETON Liveを愛用しているので、CV Instrumentのキャリブレーション機能を用いてアナログ・オシレーターをDAWでオクターブ・チューニングできるのがとても便利だと感じています。

 

 EXPERT SLEEPERSはどの機種もエキスパンダーが充実しています。ES-9も出力を増設できるほか、S/P DIFのデジタル入出力を通すことで、デジタル信号も使用可能です。さらに、同社のMIDI Breakoutを使用することでMIDIケーブルを用いた入出力も可能になります。

 

 このようにES-9は、コンピューターとモジュラーの橋渡しを果たす重要なモジュールです。モジュラーの素晴らしい音をDAWに録音するだけでなく、コンピューターのオーディオをモジュラーで加工してDAWに戻す際にも使えます。ライブ演奏時ならば、DAW上のオーディオ・トラックとモジュラー・シンセの出音をES-9でまとめて、メイン出力から2ミックス出力するのと同時に、演奏をDAWでパラレル録音するといったことも可能です。

 

製品情報

www.expert-sleepers.co.uk

 

 

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HATAKEN

【Profile】1990年代よりシンセ奏者として活動。2013年から東京モジュラーフェスティバル(TFoM)をデイブ・スキッパーとともに毎年開催。世界中のモジュラー・シンセ・メーカーや、モジュラー・シンセを演奏するアーティストを招き、国内でのモジュラー・シンセの普及に努めている

 

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