今月のモジュラー・シンセ:INTELLIJEL Scales 〜第11回 Patch The World For Peace

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 皆さんこんにちは、HATAKENです! 今回ご紹介するのはピッチ・クオンタイザーというモジュールで定番のINTELLIJEL Scalesです。クオンタイズは“量子化する”という意味の言葉で、MIDIシーケンサーなどのリズムのクオンタイズから想像いただけると思います。ピッチのクオンタイザーは、アナログ・シーケンサーやモジュラー・シンセの流動的に変化するCVを、指定した音階のグリッドにクオンタイズするものです。

今月のモジュール:INTELLIJEL Scales

 今回は、Scalesの動作確認に始まり、LFO、エンべロープ・ジェネレーターをソースに、Scalesを使って、2音のオシレーターとアンプ、アッテネーターなどで音楽的フレーズやハーモニーを作ってみたいと思います。また、オシレーター以外のモジュールでどんな効果になるのかを試したりして、モジュラー・シンセの魅力を深掘りします!

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CV入力とスケールの指定でフレーズを生成

 シンセ・モジュールには“V/Oct”という、1V上がると1オクターブ音高が上がる方式のCVインを持つものが多々あります。このV/Octは、CVでピッチを指定する際に用いられます。ピッチ・クオンタイザーはそのV/Octの信号を生成する装置でもあるのです。LFOやエンベロープ・カーブなどランダム・ソースをV/Octに変換してフレーズを生成するので、シーケンスのように同じことを繰り返すのとは違うループを簡単に生成/演奏できます。ピッチ・クオンタイザーがあれば、音階やハーモニーが生まれてグッと音楽的な響きになるのです。シーケンサーを使わずにフレーズを生成する表現は、モジュラー・シンセの醍醐味の一つでしょう。

 

 Scalesにはピッチ・クオンタイズのメインの出力である“OUT A”があり、さらに“OUT B”の動作をさまざまに設定できます。トリガー入力(TRIG)を使用するとサンプル&ホールドとなり、トリガーされたタイミングでクオンタイズしたピッチを、次のトリガーがあるまで保持。メモリー・スロットに35パターンのスケールを記録できます。外部CV入力(SHIFT)を使ってルート音をシフトさせたり、スケールの選択を変更も可能。OUT A/Bを使い、独立した2つのピッチ・クオンタイザーとして機能させることもできます。

 

 さらに、OUT Bはモノ・シーケンサーに切り替えて使用することができて、OUT Aとスケールを共有したパターンを簡単に作れます。128ステップ、35パターンを記録可能です。

 

CONFIGボタンで多様なピッチ・シフトを選ぶ

 Scalesでは、すべての機能設定がパネルに表示されています。パネル上部の3つの黒枠のジャックのうち、中央のTRIG OUTは、OUT A/Bの音階が切り替わったタイミングでトリガーを出力します。これをOUT AやBのCV OUTと組み合わせて使用できるのが実用的ですね。その下は外部入力PITCH/TRIG/SHIFTがあります。PITCHにはクオンタイズするための外部CVを入力。TRIGは先ほどのサンプル&ホールド機能、SHIFTは第2の外部CVインです。

 

 その下に鍵盤型で配列された12個のスイッチは、メイン画面では好みの音程を指定したりするのに用い、色の違いによって各出力を認識できて分かりやすいです。

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Scalesのパネル。上部にCV OUT A/BとTRIG OUTがあり、その下にはPITCH(CV)/TRIG/SHIFT(CV)入力を装備。鍵盤型に配列された12個のスイッチを使い、指定したスケールへのピッチ・シフトを行う

 その右下のCONFIGというボタンを押したときは、パネルに書いてある各設定のオン/オフや切り替えに使用できます。その左のLEARNボタンを押すとLEARNモードとなり、外部CVインからトリガーを受けたタイミングにおけるピッチを拾って、有効にします。

 

 一番下右からメモリーのLOAD、SAVEの各モード切替ボタン、INTRVLボタンでOUT BがOUT AのCV出力に対して何音分加えるか指定するモード、ROOTボタンでルートを指定モードに切り替わります。

 

INTELLIJEL Scales 製品情報

 

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HATAKEN

【Profile】1990年代よりシンセ奏者として活動。2013年から東京モジュラーフェスティバル(TFoM)をデイブ・スキッパーとともに毎年開催。世界中のモジュラー・シンセ・メーカーや、モジュラー・シンセを演奏するアーティストを招き、国内でのモジュラー・シンセの普及に努めている

 

Patch The World For Peace 〜モジュラー・シンセを選ぶ理由

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