今月のモジュラー・シンセ:MAKE NOISE Pressure Points 〜第9回 Patch The World For Peace

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 こんにちはHATAKENです。今回紹介するのはモジュールを“演奏する”ためによりフィジカルに制御できるという意味で、ほかに類を見ないほど優れているコントローラー=MAKE NOISE Pressure Pointsを紹介します。

今月のモジュール:MAKE NOISE Pressure Points

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プレートにタッチした指圧に応じてCVを出力

 ごつい見た目で力強く押すようなイメージを受けますが、逆にとても繊細なモジュール。プレートに指でタッチすることで、ゲート信号/CVコントロール/3つのノブで設定したCVを瞬時に切り替えることができます。一度に複数のモジュールを操作できるので、使い方次第で可能性は無限大です。

 

 Pressure Pointsは4基のタッチ・プレートを備えていて、それぞれのセクションをステージと呼びます。指先でタッチすることで4つのステージを切り替えるのと同時に、ゲート信号と触り具合で変化するCVを出力。パネル右下のディジット・トリマー(黒いノブ)で、タッチの感度も微調整できます。各ステージには縦に3つずつTuned Voltage Knob(X/Y/Z)で設定するCVバンクを装備。パネル右側に縦に並んだTuned Voltage OUT(X/Y/Z)から出力されます。Xアウトは0〜8V、YとZは0〜5.5Vと範囲が違うので、接続先や用途に応じて選べます。

 

 またタッチ・プレートから指を離してもTuned Voltage Knob(X/Y/Z)の出力は維持されて、Pressure OUT/Gate OUTの出力は0Vに戻ります。さらにタッチしたタイミングと触れている時間に応じたゲート信号を、パネル上部のGate OUT1〜4からそれぞれ出力。指圧(接触面積)に応じたCVをPressure OUT1〜4からそれぞれ出力します。Pressure OUT/Gate OUTともに各ステージで独立して装備していますが、各出力に何も挿さなければ出力信号が一番右のステージのPressure OUT/Gate OUTへまとめられます。その出力のみを使えば、4つのステージを鍵盤のように一つの音を鳴らすためのタイミングとCVコントロールとして使用できるのです。4台増設可能なので、16タッチ・プレートのぜいたくなコントローラーを構築可能。また、同社のBrainsというエキスパンダーを使えば、2台のPressure Pointsを8ステップ、3chのアナログ・シーケンサーとして使用できます。シーケンスが流れる最中でも、任意のステージのプレートにタッチしてコントロールすることも可能です。Pressure Pointsの生かし方はキリがありませんし、決まりもありません。お手持ちのさまざまなモジュールと相性良く使えるでしょう。

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MAKE NOISE Pressure Pointsのパネル。上部に4ステージの各Pressure OUT/Gate OUTを配し、その下に3つずつ、Tuned Voltage Knob(X/Y/Z)を配置し、下にタッチ・プレートがある。パネル右側には、Tuned Voltage Out(X/Y/Z)とタッチ・プレートの感度を調整できるディジット・トリマー(黒いノブ)を装備

タッチのニュアンスでパラメーターを制御可能

 次に使い方のヒントになる使用例を紹介します。キーボードのように使用したい場合は、Tuned Voltage Outの“Y”をお手持ちのオシレーターのピッチCV(V/Oct)へ入力し、Tuned Voltage Knob“Y”で、各ステージの音を聴きながら任意の音階に調整。一番右のステージのGate OUTをVCAやVCAを制御するエンベロープなどに送れば、タッチしたタイミングで発音し、離すと音が止まる基本的な4音階のキーボードになります。Pressure OUTをフィルター・カットオフ・フリケンシーやエフェクトのパラメーター・コントロールに使えば、指のプレスによる豊かな表現力を持ったコントローラーとなります。指先のタッチのニュアンスで、さまざまなパラメーターをコントロールできるのです。いじってみたいパラメーターが浮かんできませんか? 前回紹介したINTELLIJEL Triplattのようなアッテネーターを間にかませることで、ちょうど良い表現ができると思います。余っているX/Zの出力も同様に別のオシレーターのピッチCVへ送ってGate OUTを共有すれば、4種類の3和音を指1本で切り替えることができるわけです。指先のタッチ感度はとても敏感で、震えまでキャッチするほど。ノブを指で動かしていても得られる表現効果ではありません。アッテネーターを通して振幅を調整したり、スルー・リミッターでポルタメント効果を付けて、敏感で速過ぎるセンサーの反応を調整してみるのも面白いかもしれません。工夫次第で間違いなく、あなたのモジュラー・システムにさらなる表現の可能性をもたらします。

 

 今回の動画では、Pressure OUTの信号や各出力の挙動などを紹介します。キーボード的な使い方、シーケンサーにリセットをかけながら場面転換する様子、Brainsを使い1台増設して8つのステージのアナログ・ステップ・シーケンサーとして動作する様子を見てみましょう。百聞は一見にしかずですので、ぜひのぞいてみてください。

 

MAKE NOISE Pressure Points 製品情報

fukusan.com

 

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HATAKEN

【Profile】1990年代よりシンセ奏者として活動。2013年から東京モジュラーフェスティバル(TFoM)をデイブ・スキッパーとともに毎年開催。世界中のモジュラー・シンセ・メーカーや、モジュラー・シンセを演奏するアーティストを招き、国内でのモジュラー・シンセの普及に努めている

 

Patch The World For Peace 〜モジュラー・シンセを選ぶ理由

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