付属プラグインのほかに、UNIVERSAL AUDIOのWebサイト(www.uaudio.jp)で多くのUADプラグインが販売されている。今回はApolloを最大限に生かせるUnisonプラグインのみを集め、益田トッシュ氏のピックアップ・レビューとともに紹介していく。
Preamp & Channel
SSL 4000 E Channel Strip Collection【$299】
適度な色付けでオールマイティに使える
アナログ・コンソールSSL 4000のチャンネル・ストリップ。特に音色変化はさせず、歌とアコギを録音してみました(EQをインにしただけでは、音色は変化しないようです)。非常に素直なサウンドですが、それでもUnisonプラグイン無しで録ったのとは違ってくるところが面白いですね。欲しいところがしっかり聴こえて色が付くのに、嫌味ではない印象。オールマイティに使えそうです。マイク入力部では、XFMRボタンを押すとJENSEN製トランスをエミュレーションできます。音に生命が宿ったかのような、豊かな倍音感が付加されました。またライン・レベルのものをFLIPボタンでマイク受けにすることも可能。そうすれば同じくトランスのサウンドを付加できますね。
エフェクトもインサートでテスト。コンプは腰のあるサウンドで、アコギに安定感を与えてくれました。ハイシェルフEQで8kHzを少し上げてみたところ、明りょう度が上がりつつも、ピーキーにはならず使いやすい印象です。これぞスタンダードというサウンドですね。
Manley Voxbox Channel Strip【$299】
真空管ギアの名門が放った魔法の箱
V76 Preamplifier【$199】
ドイツで誕生したビンテージ真空管プリアンプ
Neve 1084 Preamp & EQ【$299】
EQオン状態で前へ出てくるサウンドへ変化
見た目は1073に似ていますが、音色はかなり違います。1084の方が太い印象です。今回はEQのスイッチをオンにしてはいますが、ブースト/カットは行わないセッティングで録音しました。このスイッチを入れるのがNeve 1084を使いこなすポイント。実機の仕様だと思われますが、Neve 1084はEQ回路をオンにすると周波数特性がかなり変わるんです。エア感が強調され、低域も少し膨らみます。相対的に言うと、中域がへこんでいるとも言えますね。ソースにもよりますが、この変化によって音が前に出てきて解像度が上がったように聴こえるんです。インサートで使う場合は、ひずませて使うとかなりキャラの濃い音色になります。破たんしない程度に攻めていくと、唯一無二のビッグなサウンドになりますよ。
Neve Preamp【$149】
1290モジュールをプラグイン化
Neve 1073 Preamp & EQ Collection【$299】
インピーダンス切り替えも再現
Neve 88RS Channel Strip Collection【$299】
21世紀生まれのアナログ・コンソール
Korg SDD-3000 Digital Delay【$199】
入力段でサチュレーションも行える美しい響きのディレイ
ダイナミック・マイクで録音したピアノに1176やStuder A800などをかけてリサンプリングして、MIDI演奏したものをApollo X6でアナログ出力して録音しました。再録音の際には、Korg SDD-3000 Digital DelayをUnisonチャンネルに立ち上げています。SDD-3000のインプット・ステージでブーストして、サチュレーションを起こしました。さらにディレイ・タイムとリピートを最小にした上で、高域を少しカットしています。ある意味ビット・クラッシャーというか、ローファイなプリアンプとして使用した例ですね。ザラッとしたひずみ方です。一度DA/AD変換することで、存在感のある質感になったと思います。また、その音色に通常のセンド&リターンで付点8分音符のディレイを加えてみました。ディレイの音も非常に美しいサウンドサチュレーションとディレイをつかさどることのできるユニークなプラグインです。
Century Tube Channel Strip【$199】
UAD-2オリジナルの真空管ギア
UA 610 Tube Preamp & EQ Collection【$299】
UNIVERSAL AUDIO卓のモジュール
Avalon VT-737 Tube Channel Strip【$299】
オリジナルは既に生産終了となった真空管機
ファスト・アタックのモディファイが施されたチャンネル・ストリップ
自分のUnisonマイクプリにおけるマイ・ファースト・チョイス。入力レベルに対してひずみにくい印象で、EQやコンプレッサーは視認性が高く使いやすいです。今回はEQ回路をオンにした状態で、歌とアコギを録音してチェック。コンプ部分はオプティカル式ですが、驚きなのは実機のBabyface Modと呼ばれるファスト・アタック改造が盛り込まれていることです。アタック・ノブの近くにある×4ボタンを押すことでアタックのつかみ方が変わり、ほんの少しピークを削るようなときにサウンドが引っ込まずに良好なグルーブ感でリダクションしてくれます。名前が示すようにヒップホップやR&Bなどには最適です。EQは高域と低域のカーブが大きめで、非常に音楽的なのが良いですね。
API Vision Channel Strip【$299】
6つのモジュールで彩るアメリカン・サウンド
Helios Type 69 Preamp and EQ Collection【$299】
ロックの黄金期を支えた名機
For Guitars
Fender '55 Tweed Deluxe【$199】
ブリブリと荒々しく原始的な音色
プラグインっぽさを感じさせない、ブリブリと荒々しく、原始的なサウンドです。こういった音色はプラグインでは難しいと思うのですが、出来の良さに感心します。慣れるとこのシンプルな操作ノブから考えられないほど音色のバリエーションが生成可能です。触っていて面白かったのは、TONEノブ。上げていくと、同時にゲインも連動して上がっていきます。そのほか設定項目はインプットのパッチングやスピーカーの選定、マイクの種類とポジション、原音とエフェクト音のブレンド具合など多彩。すべての設定の相関が、しっかり音に反映されます。インプットの切り替えでラインがあるのも、音作りで重宝しますね。
Marshall Plexi Super Lead 1959【$199】
体感せよ、プレキシ・サウンドを。
Marshall JMP 2203【$199】
オーガニックな音色から激鉄サウンドまで
Marshall Silver Jubilee 2555【$199】
MARSHALLアンプ製造25周年記念モデル
Marshall Bluesbreaker 1962【$199】
MARSHALL初のコンボ・アンプをプラグインで
Friedman Amplifiers Collection【$249】
MARSHALL系のブティック・アンプ
Friedman Buxom Betty Amplifier【$149】
ブリティッシュ&アメリカン・サウンド
Distortion Essentials Bundle【$199】
王道ひずみ系ペダル集結
A/DA Flanger【$149】
ビンテージとリイシュー・モデルでサウンドを切り替え可能
ペダル・タイプのフランジャーで、まさにギターを実機に接続したときのような音色となっています。今回はフロント・ピックアップで演奏。かなりワイドなモジュレーション量にセッティングし、カッティングを行いました。MODELスイッチで1979年製のビンテージ・ユニット、または2009年製のリイシュー・モデルのサウンドを切り替えることが可能。ビンテージだけではなく、リイシュー・モデルもあるのがマニアックで良いですね。両者は結構サウンドが異なるので、しっかり使い分けできる機能だと思いました。
Diezel Herbert Amplifier【$149】
クリーンからディストーションまでこなす万能モデル
ゴリゴリのディストーション・サウンドが出るギター・アンプですが、実は作れる音のバリエーションが多い万能機。自分はひずみだけではなくクリーンも大好きで、Unisonのギター・アンプで一台だけ選ぶならDiezel Herbert Amplifierだとはっきり言えます。低音のレスポンスと押し出し感、高域の表現力やバイト感など、ギターに求められるすべての要素が含まれています。チャンネル数が多いながらも、横一列にノブが並んでいて簡単に操作できるのが良いですね。400Hz付近の中低域を低減させるMID CUTセクションも使いやすいです。
Diezel VH4 Amplifier【$149】
4chで多彩なトーンを奏でるハイゲイン・クラシック
ENGL E646 VS Limited Edition【$149】
ビクター・スモルスキーのシグネチャー・モデル
ENGL E765 Retro Tube【$149】
ビンテージ・スタイルからモダン・ロックまで
ENGL Savage 120 Amplifier【$149】
ノイズ・ゲートも用意するモダン・メタル向きモデル
Suhr SE100 Amplifier【$149】
ハンド・ワイアリングの1chアンプをプラグイン化
Suhr PT100 Amplifier【$149】
SUHRとピーター・ソーンのコラボレーション機
Fuchs Train II Amplifier【$149】
パワフルなブティック・トーン・マシンを再現
Fuchs Overdrive Supreme 50 Amplifier【$149】
ダンブル・リスペクトの硬派な1台
For Bass
Ampeg SVT-3 PRO Bass Amplifier【$149】
リハーサル・スタジオの実機と同じ感覚で触れるプラグイン
エレキベースの出力をApollo X6のHi-Z入力に入れて、プリセットのCOMPRESSED BASSで録音してみました。Ampeg SVT-VRがとにかくベースらしいファットな音を聴かせてくれるのに対して、ラック・タイプのSVT-3 Proはより現代的なサウンドを響かせてくれます。ポピュラーなベース・アンプなので、実機を扱ったことがある人はすぐに扱えることでしょう。各種スイッチのブースト具合が最高ですね。太いサウンドもブライトな音色もどちらも対応できます。
Gallien-Krueger 800RB Bass Amp【$149】
キャラが強くてパンチのあるロック向きのプラグイン
こちらのベース・アンプも大好きです。AMPEG系とは違って、中域に特徴を持ったパンチのある音色を作ることが可能なプラグインです。今回はプリセットの300W FULL MODEを選び、インプットを少し下げて録音しました。今回は本来のこのアンプの特徴である機能のMID CONTOURやBOOST機能も使わずレコーディングしましたが、かなりキャラの濃い音がしています。特にロックには最適なベース・アンプです。
Ampeg SVT-VR Bass Amplifier【$149】
2chタイプの有償版Ampeg SVT-VR
Ampeg B-15N Bass Amplifier【$149】
60〜70年代に活躍したオールド機
Eden WT800 Bass Amplifier【$149】
5バンドEQとコンプ、エンハンス・ノブを搭載
※UADプラグインの名称に含まれるブランド名は、各社の商標または登録商標です。
作編曲家/プロデューサー
益田トッシュ
【Profile】さまざまなアーティストの作編曲、プロデュース、マニピュレートを行う。映画や舞台の音楽を手掛けたり、歌唱指導も行うなど、マルチに活躍している。昭和音楽大学のサウンド・プロデュース・コースで非常勤講師を務める。
本特集の続きは近日公開予定です。
『特別企画・Unisonプリアンプ搭載のオーディオI/O UNIVERSAL AUDIO Apollo大全』は、サウンド&レコーディング・マガジン 2020年12月号でもお読みいただけます。
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【特集】UNIVERSAL AUDIO Apollo大全
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