UAD-2を知る〜アナログの魔法をDSPに託すUAD-2プラグインの真髄（1） - サンレコ〜音楽制作と音響のすべてを届けるメディア

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制作環境をレコーディング・スタジオのようにしたい、というロマンを抱いたことはないだろうか？　コンソールやアウトボード、マイク……レコーディングにまつわる名機がこの世には数えきれないほど存在する。しかし理想とするすべてを集めるのは困難だ。その夢をサポートしてくれるのが、UNIVERSAL AUDIOのUAD-2プラグイン。数多くの名機を再現するプラグイン・シリーズで、再現性の高さがアーティストやエンジニアに支持されている。まだUAD-2に触れたことの無い人にも、既に多用しているヘビー・ユーザーにも有益となるよう、インターナショナル・セールス・マネージャーにUAD-2の秘密を、達人９人に愛用するUAD-2プラグインとその使い方を聞いた。まずは、UAD-2プラグインについて詳しく説明しよう。

DSPプロセッシングにより
高度なモデリング処理を実現

　UAD-2プラグインの特徴は、レコーディング機材やギター／ベース・アンプといったアナログ機器をエミュレートしていること。それらは“○○風”といったパロディめいたものではなく、UNIVERSAL AUDIOが実機を丁寧にモデリングしたものだ。オリジナル機のブランドから認証を受けたプラグインも多数ある。先代のUAD-1の時代から約20年、再現度の高さを多くのアーティストやエンジニアが支持している。普段聴いてきた音楽にも、きっとUAD-2プラグインが使われていたはずだ。

　こうした高度なアナログ・エミュレーションには膨大な演算処理が必要とされるため、UNIVERSAL AUDIOではUAD-2プラグインを専用DSPアクセラレーターで扱うという方法を採用してきた。現在ではCPUの処理能力も向上しているが、それに伴いモデリング精度も上がり、処理負荷が高くともより優れたクオリティを求める声も多く、今なおこうした方式がUAD-2の大きなアドバンテージとなっている。

　ここで敷居が高いと思ってしまうかもしれないが、実はDSPアクセラレーターにはUADプラグインが付属している。どのパッケージにも必ずバンドルされているのが、８種類のプラグインを収めたAnalog Classics Plus Bundle。UNIVERSAL AUDIO 610-Bや、1176、Teletronix LA-2A、FAIRCHILD 670といった往年の名機の再現に加え、UAD-2オリジナルのエンハンサーやリバーブなども用意されている。これらのプラグインが使えることを考慮すると、さほど割高でもない。

　それともう一つ、UNIVERSAL AUDIOのオーディオI/O、Apolloシリーズを買うという選択肢もある。ApolloシリーズにもDSPアクセラレーターと同じSHARCプロセッサーが搭載されており、オーディオI/Oとしてだけでなく、同時にDSPアクセラレーターとしても機能する。

　ApolloにはUnisonという機能が使えるメリットがある。インピーダンスをはじめとした実機の挙動をApolloの内蔵プリアンプに適用し、エミュレーションの精度を高めることができる技術だ。ApolloシリーズにもバンドルのRealtime Analog Classics Bundleが付属。プリアンプ610-Bをはじめ、ギター・アンプのMarshall Plexi Classic AmplifierといったUnison対応のプラグインがすぐに使える。

全DSPアクセラレーターに付属する
Analog Classics Plus Bundle

1176SE/LN Classic Limiting Amplifiers (Legacy)

f:id:rittor_snrec:20201005141617j:plain — 高速のアタック・タイムを特徴とする、UNIVERSAL AUDIOの伝統的なFETコンプレッサー。UADプラグインとして初めて誕生した。上が1176LNで、下が1176SE。DSPリソース節約の選択肢として、1176SEはDSP使用率が低く作られている

UA 610-B Tube Preamp and EQ

f:id:rittor_snrec:20201005142601j:plain — UNIVERSAL AUDIOが1960年代に開発した610真空管コンソールのモジュールをプラグイン化。プリアンプ部分は入力インピーダンスを500Ωと2kΩから選択可能で、２バンドEQを備えている。Unison対応

Teletronix LA-2A Classic Leveling Amplifier (Legacy)

f:id:rittor_snrec:20201005142716j:plain — 真空管オプトコンプレッサー。1176LNとともに、初のUADプラグインとして登場した。ゲインとピーク・リダクション・ノブのみでコンプレッションを行う

Fairchild 670 (Legacy)

f:id:rittor_snrec:20201005142814j:plain — 14個のトランスと20本の真空管を搭載するコンプレッサー。オーシャン・ウェイ・レコーディングのエンジニア／プロデューサー、アレン・サイズ氏が所有する個体をモデリングしている

Pultec Pro Equalizers (Legacy)

f:id:rittor_snrec:20201005142907j:plain — 真空管EQの名機をプラグインで再現。上のMEQ-5が中域用で、下のEQP-1Aが高域と低域用となっている

RealVerb Pro

f:id:rittor_snrec:20201005142933j:plain — UNIVERSAL AUDIO独自のアルゴリズム・セットに基づいたリバーブ。部屋のサイズや明るさ、壁の素材や形状など、さまざまな設定項目を設ける

Precision Enhancer Hz

f:id:rittor_snrec:20201005143055j:plain — 低域（16〜320Hz）を強化するエンハンサー。さまざまな楽器に適したモードが５種類用意されている。原音に対してエフェクトをかける割合を決めるEffectノブも搭載

Precision Mix Rack Collection

f:id:rittor_snrec:20201005143127j:plain — UAD-2オリジナルのプラグイン・コレクション。上からチャンネル・ストリップ、モジュレーション付きステレオ・ディレイ、スモール・ルーム・アンビエント・シミュレーター

100種類以上のラインナップを
オンラインで購入可能

　これまで付属のプラグインについて説明してきたが、UNIVERSAL AUDIOのオンライン・ショップから追加でプラグインを購入することもできる。レコーディング・スタジオ定番のNEVE 1073やLEXICON 480Lなどはもちろん、ハイゲイン・ギター・アンプのDIEZEL VH4やENGL Savage 120なども用意されており、まさに“あのサウンド”尽くし。現在100種類以上のプラグインがオンライン・ショップにラインナップされている。

　まずはDSPアクセラレーターやApolloを手に入れて、UAD-2の魅力に触れてみてほしい。広大でエキサイティングなUAD-2ワールドがあなたを待っている。