【お知らせ】6月20日の申込/更新分より、サンレコWebのサブスクリプション価格を改定いたします。詳細はこちらをご覧ください。また、6月17日までWeb+印刷版(年間)を約30%オフでご提供しています。

米津裕二郎 × AUSTRIAN AUDIO OC818 〜ウィーンから新風をもたらすマイク・ブランド【Vol.8】

 2017年に創設されたAUSTRIAN AUDIO。“ウィーンでの製造”にこだわったコンデンサー・マイクやモニター・ヘッドフォンを手掛け、前者は現在、2機種をそろえている。専用プラグインPolarDesignerで録音後に指向性などを調整できるデュアル・ダイアフラム・モデルOC818と単一指向性のOC18だ。今回は、OC818をサウンド・エンジニアの米津裕二郎氏に試していただいた。

Photo:Hiroki Obara

音がしっかりとしている上に後で指向性を変えられるので
マイクを何本も立てていたような場面をシンプル化できそう

米津裕二郎 × AUSTRIAN AUDIO OC818 〜ウィーンから新風をもたらすマイク・ブランド【Vol.8】

米津裕二郎【Biography】相対性理論など多方面のアーティスト作品、CM楽曲、劇伴、海外映画の日本語ローカライズ版音声ミックスを手掛けるエンジニア。prime sound studio form所属。

あまり弱点が見当たらずオールマイティなマイク

 以前にOC818でアコースティック・ギターを録ったときは無難な印象だったのですが、今回ドラムのルーム・マイクとして広いスタジオにペアで立てたら“とてもオールマイティなマイクなんだな”と気付かされました。ローの量感をしっかり収められるし、ハイがきついわけでもないのにくっきりと輪郭のある音で。どこかに不足を感じることがなく、欲しい要素を十分に得られました。ストリングスのルームに立てたときも同様で、各楽器のバランスが良く、遠い感じがせずにきちんと収音できたんです。あまり弱点が見当たらないというか、このマイクさえあれば結構何でもできると思います。

f:id:rittor_snrec:20210630132336j:plain

米津氏がドラム/ストリングスのルーム・マイクとしてチェックしたOC818。価格は1本あたりオープン・プライス(市場予想価格143,000円前後)で、ペアのセット製品はオープン・プライス(市場予想価格280,500円前後)となっている

 プラグインのPolarDesignerもすごく良かったです。主にシングル・バンドで使ってみたところ、指向性を変化させることでローの膨らみ方まで大きく変えることができました。オムニにすると量感が増し、カーディオイドではタイトになるのですが、両者の間を探れるのが便利だなと。ほかの楽器との兼ね合いを見ながら調整できるので、その点でもオールマイティだと感じます。

f:id:rittor_snrec:20210630132637j:plain

Mac/Windows対応プラグインPolarDesigner(無償)。ステレオ・チャンネルに立ち上げ、最大5バンドで指向性や音量を調整した後、モノラルで出力する。米津氏は今回、主にシングル・バンドで使用し、指向性を調整すれば低域の量感まで大幅にコントロールできることを実感していた

タイトな録音現場でも安心して立てられる

 PolarDesignerの音色変化については、EQなどで処理するのとは全く違う感じで、非常に自然だと思います。指向性を変えた後も、最初からそういう音だったかのような印象です。これだけナチュラルに幅広い変化が録音後に得られるんだったら、“とりあえず立てておく”といった用途にも効くでしょうね。本来であればマイクは現場でチョイスしなければならないし、“このマイク”って決めて立ててしまうと、指向性は選択できなくなるわけです。だから幾つかの機種を同時に立てて、後で選べるようにしておくのですが、OC818とPolarDesignerがあればマイクの本数を減らせそうです。これは結構、大きなポイントだと思います。

 

 特にストリングスの録音では、オフマイクの数が多くなりがちで。それに演奏者を待たせるわけにもいかないので、一度立てたら変更は難しいです。そういうシチュエーションにもOC818は良いでしょう。普段よりもシンプルにセッティングができます。また、録音後にPolarDesignerで指向性を変えられるという安心感もありますからね。

 

 そして、最も評価したいのはコスト・パフォーマンスの優秀さです。基本的な性能が高く、さまざまなソースに対応すると思いますが1本あたり14万円前後という価格で。自宅で音楽制作をしている作家の方やインディーズのアーティスト、エンジニアのマイ・マイクとしても“買い”だと思います。実際に僕の周りでも何人か購入していますし、褒めている人も多いので、候補に入れるべき一本なのでしょう。

f:id:rittor_snrec:20210630132823j:plain

AmbiCreatorは、2本のOC818でAmbisonics(1次)収録を実現するための無償プラグイン。「プラグイン画面の絵のような設置をシビアに行えれば、精度の高いAmbisonics収録が可能になるかもしれません」と、今回このプラグインを試した米津氏は語る

AUSTRIAN AUDIO OC818 / OC18製品情報

 

AUSTRIAN AUDIO OC818

オープン・プライス

(市場予想価格:143,000円前後/1本、280,500円前後/ペア)

f:id:rittor_snrec:20210630132336j:plain