DAWの普及、インディペンデントな制作スタイルの隆盛、SNSでのコンテンツ公開などで、さまざまなクリエイターが取り組んでいる“自宅でのボーカル録り”。コロナ・ウィルス以降、その必要性がますます高まっていると言えます。今回は、プロ・アーティスト20組の自宅ボーカルREC術を使用機材とともに一挙公開。ホーム・レコーディング初心者からアップデートを考えている人まで、Tips集として活用していただけると幸いです。
MONJOE(DATS)
録り音全体に少しだけピッチ補正をかけて聴くと
“直せない揺れ”が見付かるのでリテイクの基準になる
デモと本チャンの歌録りを自宅で行っています。録音の際は、STEINBERG UR-RT4(オーディオI/O)の入力トランスをオンに。本機はDSPも内蔵していて、それをベースに動作する専用のミキサー・ソフト=DSPMixFXを立ち上げて、ニアゼロ・レイテンシーでモニタリングしています。また声を張るような曲では、歌いやすくするためにDSP駆動のリバーブもヘッドフォンに返しています。
ホーム・レコーディングには、自分の裁量でリテイクできて、その場でエディットも行えるためスピーディに進められるというメリットがあります。しかしテイクに対する合格基準が甘くなりがちなので、意識的に自分に厳しくする必要がある。僕はいつもレーベル・ディレクターの顔を思い浮かべながら“セルフ・ディレクション”しています。録り音については、WAVES Tune(ピッチ補正プラグイン)を挿してスケールを指定し、全体に少しだけ補正をかけた後、ソロで試聴。直せそうにない揺れがあったり、欲しいニュアンスが出ていないと判断した場合、その個所を録り直します。でも結局は“今のテイクは良かった!”と直感したものが一番。それをエディットしていけば良いわけですが、裏を返すと、そう感じるテイクが出るまでは何回も録り直します。
機材紹介
Mic Modeling System
TOWNSEND LABS Sphere L22
コンデンサー・マイク(写真)と専用プラグイン(画面)から成るマイク・モデリング・システム。プラグインには全30種類のハイエンドなビンテージ~モダン・マイクのモデリングが用意され、録り音を好みの音色に変えられます。自宅でも本チャンとして納品できるクオリティで録音でき、圧倒的なコスト・パフォーマンスです。
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Audio I/O
STEINBERG UR-RT4
マイク/ライン・インにRUPERT NEVE DESIGNSのトランスを内蔵。これを使用することで高域に張りが加わり、クリアかつ存在感のある音になります。また専用のミキサー・ソフトDSPMixFXを併用すると、モニター・エフェクトなどを好みの設定にできます。
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Headphone
PIONEER DJ HDJ-X7
もともとDJプレイに使用していたモニター・ヘッドフォンですが、自分の声にも集中できることに気付いて以来、レコーディングにも使っています。
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録り音のトリートメント
WAVES Tune。操作が非常にシンプルで気に入っています。歌をケロらせるのも簡単ですね。
IZOTOPE Nectar 3のミックス・アシスタント機能で、ボーカルを自動的にトリートメント。デモは、これだけでほぼ十分。
MONJOE(DATS)
エレクトロニックな作風を経て、最近はニューウェーブをほうふつさせる個性的なロック・サウンドも展開する4人組=DATSで作曲/ボーカル/シンセを担当。R&Bからダンス・ミュージック、インディー・ロックまで幅広い楽曲センスを併せ持つ、気鋭アーティストとして注目を集める
【Recent Work】