DAWの普及、インディペンデントな制作スタイルの隆盛、SNSでのコンテンツ公開などで、さまざまなクリエイターが取り組んでいる“自宅でのボーカル録り”。コロナ・ウィルス以降、その必要性がますます高まっていると言えます。今回は、プロ・アーティスト20組の自宅ボーカルREC術を使用機材とともに一挙公開。ホーム・レコーディング初心者からアップデートを考えている人まで、Tips集として活用していただけると幸いです。
中田裕二
まずは通しで歌いますが2テイク以内にしておく
それをベースに“清書”すると短時間で終わるんです
デモの仮歌から本チャン、コーラス・ダビングまで自宅で行っています。ピアノ可の物件なのですが特別な防音はしていないので、近所迷惑にならないよう基本的には昼間に録って、夕方5時くらいまでには終わらせます(笑)。この“なるべく終わりの時間を決めておく”というのは大事だと思いますし、こまめに休憩を取るのも客観性を保つ上で重要だと考えています。一人作業は良しあしのジャッジが難しく、キリが無いので、“まあ、これでいいか”と思えるラインに達したら自分自身にゴー・サインを出すんです。
録音機器に関しては、パソコンの周りにマイクやプリアンプなどを集約させて、座ったまま全部セルフで操作できる状態にしています。DAWはSTEINBERG Cubase(デモ制作)とAVID Pro Tools(本チャン)を使用。オーディオI/OはMETRIC HALO Mobile I/O 2882で、モニター回線にはプラグイン・コンプのWAVES CLA-76を必ず挿します。とても歌いやすくなるんですよ。そうやってまずは曲を通しで録ってみるのですが、2テイクよりも多くは歌わないようにしています。で、録ったものをベースにブロックごとに録り直し=清書していくことが多い。そうするとテイク選び~コンピングが大体2時間以内で終わるんです。
機材紹介
Condenser Mic
AKG C414 XLS
クリアで繊細に録れるマイクなので、バラードや比較的ハイファイな歌を録りたいときに使います。
【デジマートで探す】
Condenser Mic
ROSWELL PRO AUDIO Mini K47
高域が少し抑えられたマイク。ビンテージ感があって若干荒々しい雰囲気を出したいときに使用します。
【デジマートで探す】
Headphones
SONY MDR-CD900ST/BEYERDYNAMIC DT770 Pro
このMDR-CD900ST(写真左) はアンブレラカンパニーのモディファイ版。やや硬質な音ですが、とても明りょうな音質でもあるので、定位や音程感、ビートが把握しやすく、特に歌録りにはよく使っています。DT770 Pro(同右)は音が太めなので、MDR-CD900STで耳が疲れたときや気分を変えたいときに使用。
【MDR-CD900STをデジマートで探す】
【DT770 Proをデジマートで探す】
Mic Preamp
CHAMELEON LABS 7602 MKII
写真下のマイク・プリアンプ。ゲインを上げると良い感じにひずみが足されるので、愛用しています。基本的にボーカルは、どの曲でもこれを使用してひずみ感をプラスしています。写真の上に見えるのはコンプのUNIVERSAL AUDIO 1176LN。
録り音のトリートメント
NOMAD FACTORYのテープ・シミュレーターMagnetic II。好きなプラグインで、ボーカルにひずみや倍音を足したいときによく使っています。また、歌にかかわらずあらゆるパートを自然に太くしてくれるので愛用しています。
中田裕二
椿屋四重奏のボーカル&ギター/ソングライターとしてキャリアをスタートし、バンド解散直後からソロ活動を開始。自身のルーツである歌謡曲やニューミュージックを軸に楽曲制作を行い、この4月には9枚目のオリジナル・アルバム『DOUBLE STANDARD』をリリースした
【Recent Work】
プロ20組の歌録り機材&テクニック! 自宅ボーカルREC術
関連記事