フラッシュ・メモリー・ストレージの分野で長年の実績があり、音楽や映像、写真などのクリエイターが信頼を置くSANDISK。そのSANDISKを傘下に持つウエスタンデジタルが、より高度なニーズに応えるべく、昨年に新ブランドのSANDISK PROFESSIONALを始動させた。製品の一つであるロック機能付きの外付けSSD=G-Drive ArmorLock SSDを映像ディレクターのRen Takeuchiがチェック。ミュージック・ビデオやWeb CMなどを手掛ける彼に印象を語っていただこう。
撮影:井上嘉和
Featured Product
G-Drive ArmorLock SSD
USB 3.2 Gen 2接続の外付けSSDで、Mac/Windowsに対応。最大読み出し速度は1000MB/秒となっており、256ビットAES-XTS形式のハードウェア暗号化を採用している。独特なのは、専用スマートフォン・アプリで扱えるロック機能。ロックのオン/オフ、複数ユーザーへのアクセス権の付与/管理などが可能で、パスワードに依存しないセキュリティを実現している。IP67対応の防塵/防水性能や購入後5年間の製品保証も魅力だ。
PRICE
▪1TB:38,280円前後 ▪2TB:74,800円前後 ▪4TB:118,800円前後
※上記はすべてオープン・プライス(市場予想価格/税込)
“マネージャー”の許可なしには使えない仕組み
映像制作は、とにかく記録メディアを要する仕事です。先日お引き受けしたプロジェクトでは、撮影を終えた段階で素材の容量が約1.5TB。プロキシ(編集作業用の軽量ファイル)を作成し、編集を経て、最終的に3.5TBほどになりました。
私は、編集ソフトと素材のリンク切れを防ぐために、一本の映像にかかる素材を一台のワーキング・メディアへ集約しています。仕上がりを納品した後は、ワーキング・メディアの中身をバックアップ用メディアに移しますが、複数のプロジェクトを並行して進める場合は、同時に結構な数のワーキング・メディアが必要になります。そこで“信頼性とコスト・パフォーマンスの優秀さ”という点でワークに愛用しているのがSanDisk Ultra 3D SSD。ものすごくたくさん持っています。5年間ほど使っているものの、データ損失やエラーなどのトラブルが一度も無いんですよ。
SanDisk Ultra 3D SSDはコンピューターとSATAで接続するため、私はドッキング・ハブを介して使っているのですが、今回のG-Drive ArmorLock SSDはUSB接続なので、他者と共有しやすいと思います。実際、1クリップあたり20GBほどの映像素材を一度に100〜300クリップ分、外部エディターの方に渡すようなことも日常茶飯事ですし、その際はオンライン・ストレージの使用は現実的ではないため、外付けSSDを郵送しています。G-Drive ArmorLock SSDは防塵/防水性能を備えており、耐久性という面でも郵送時の安心感が違うでしょうね。
そして何より、セキュリティがかなり強固。本体背面のQRコードを専用スマートフォン・アプリWESTERN DIGITAL ArmorLockでスキャンし、ロックを解除した1台目のスマホが“マネージャー”として他者にアクセス権を与える仕組みです。つまりマネージャーからの許可が無ければ使用できないため、複数人でファイルを共有しながら進めるプロジェクトで真価を発揮するでしょう。“最後にロックが解除された場所”をアプリ上の地図に映し出せる機能もセキュリティに一役買いそうですね。
映像制作のほかにも幅広い用途が考えられる
G-Drive ArmorLock SSDは“流出したら致命的”というファイルの保存に有効と思われ、例えばタレントの方や新製品を映したムービーに使用すればセキュアだと思います。機密情報を持ち歩くことがある公務員や金融関係の方にも有用だと思いますし、個人情報やトップ・シークレットを保存するメディアとしても使えるのではないでしょうか。
G-Drive ArmorLock SSDをワーキング・メディアとして使用し、映像編集に試してみたところ、読み出しのスピードはSanDisk Ultra 3D SSDよりもやや速い印象でした。個人的には十二分という感じで、より負荷の高い映像制作にも使えそうです。フル・アニメーションを手描きで制作するクリエイターのように、大容量かつ高速の外付けメディアが必要な方に喜ばれると思います。
Ren Takeuchi
【Profile】映像ディレクター。SawnboyやSULIVAN、MACK JACK、TERAといったアーティストのミュージック・ビデオから、PANASONIC Lumix GH6 Firmware Ver.2.0.プロモーション・ムービーのような製品広告まで幅広く手掛ける。ディレクションのみならず、キャスティングや撮影、編集もこなす。