Chihei Hatakeyama × KORG SoundLink MW-1608 〜クリエイターを刺激するハイブリッド・ミキサー

f:id:rittor_snrec:20210427145240j:plain

いろいろなアイディアを試しながら制作できる
かゆいところに手が届くミキサーです

 アナログ&デジタルのハイブリッドを実現したミキサー、KORG SoundLink。グレッグ・マッキー氏とピーター・ワッツ氏という2人の名オーディオ・エンジニアによる設計で、24chのMW-2408と16chのMW-1608(写真)の2機種をそろえている。アナログらしい操作性、デジタルならではの機能が見事に融合したSoundLinkは、楽曲制作やライブにおいても力を発揮するだろう。ここでは、さまざまなクリエイターにSoundLinkを体験してもらい、そのインプレッションを語っていただく。

Photo:Hiroki Obara

 

Overview:KORG SoundLink MW-2408 / MW-1608

価格:157,000円(MW-2408) 137,000円(MW-1608)

f:id:rittor_snrec:20201028173115j:plain

 アナログ&デジタルのハイブリッド・ミキサー。チャンネル構成はMW-2408が8モノラル+8ステレオ、MW-1608(写真)が8モノラル+4ステレオ。ステレオ・チャンネルはモノラル兼用で、いずれの機種も全入力チャンネル・モジュールにXLRのマイク・イン(モノラル)を持つ。内蔵マイクプリは“HiVolt”を称する独自仕様。後段にコンプやEQを備える。AUXバスは4系統と豊富。機能面も充実し、MUSICIAN’S PHONES、ミュート・グループ、ブレイク、シーン・メモリー、サブグループなどを備える。内蔵マルチエフェクトはKORG製カスタム・チップ仕様で、ExciterやSub Bassなど個性的なものもスタンバイ。AD/DAにはVELVET SOUNDのコンバーターを使い、低ノイズを実現している。

 

中〜低域がしっかり出て癖の無いマイクプリ

 今回SoundLinkを試していただいたのは、アンビエント・ミュージックを制作し、レコーディング/ミックス/マスタリング・エンジニアとして活動するChihei Hatakeyama。デジタルとアナログ、両方の機材を駆使しながら美しい電子音楽を生み出し続けている。制作で使うのはハードウェアが中心であるため、普段からミキサーを活用しているそうだ。

 

 「入力したギターやモジュラー・シンセをAUXでエフェクトへ送り、その場でコントロールしながら曲を作っていきます。感覚的にできるというのが大きいですね。以前はDAW内ですべて完結させていたんですけど、体を動かして手で触った方が集中力も続くし、アイディアも出やすいんです」

 

 HatakeyamaにはMW-1608を試してもらった。SoundLinkの第一印象として、フェーダーの操作性を挙げる。

 

 「高級感がありますね。フェーダーの動きが軽過ぎたり重過ぎたりするミキサーもありますが、SoundLinkのフェーダーは思ったところにも止めやすくて扱いが簡単です。また、ミュート・ボタンがちゃんと光ってくれるのも良いですね。曲作りのときは部屋を暗くしたりすることもあるので、視覚的に分かりやすいのは大事なんです」

 

 SoundLinkのテストではシンセを入力したほか、マイクを使ってアコースティック・ギターの録音も行ったという。ピーター・ワッツ氏設計によるHi-VoltマイクプリのサウンドについてHatakeyamaに聞いてみた。

 

 「中〜低域がしっかり出ている印象です。高域も奇麗ですね。どちらかというと癖の無いサウンドだと思います」

 

 チャンネル・ストリップに備わったEQについて、「LOの周波数ポイントが100Hzになっているのがいい」と語るHatakeyama。その理由を尋ねた。

 

 「低域の周波数ポイントが80Hzのミキサーもありますが、実はその少し上くらいが一番膨らんで気になったりするんです。100Hzでカットできるのはうれしい点ですね」

 

制作でも使えるMUSICIAN'S PHONES

 SoundLinkはサブグループ・チャンネルがステレオで4系統あり、それぞれ出力端子も用意。「大きなミキサーだと当たり前にできることですが、このサイズで備わっているのが素晴らしい」とHatakeyamaは高く評価する。

 

 「ルーティングの自由度も高いですね。各サブグループをパラで録りつつ、2ミックスも録っておくということが可能です。また、そういった設定が素早くできるので、何人かでセッションするときにもセッティングが楽にできると思います」

f:id:rittor_snrec:20210427145831j:plain

写真左側、メイン・ミックス・フェーダーの隣に並ぶのがサブグループ・ミックス×4系統のフェーダーだ。それぞれに出力端子を備えているので、パラでの録音ができる。各モノラル&ステレオ・チャンネルはサブグループ・ミックスへ送りつつ、メイン・ミックスへ送ることも可能。サブグループ・ミックスもメイン・ミックスへの送りをオン/オフできる

 AUX3と4の出力にはヘッドフォン端子も用意されており、メイン・バスL/Rの音をミックスして聴ける。このMUSICIAN’S PHONES機能は制作でも生きてくるとHatakeyamaは言う。

 

 「オーバー・ダビングをするときはヘッドフォンをしながら作業をするんですが、モニターする音量は実際に録音する音量よりも大きくしたいという場合があります。演奏にも影響しますからね。セッションやライブのモニターとしても使える機能ですが、一人での制作時にも便利です」

 

 クリエイターの音楽制作にも活用できる機能が満載のSoundLink。「いろいろとアイディアを試しながら制作ができる、かゆいところに手が届くミキサーになっていると思います」とHatakeyamaは言う。

 

 「最近は歌もギターもシンセもできるマルチプレイヤーが多いですよね。そういう人にもSoundLinkをお薦めできます。DAWだけでなく、SoundLinkを使って制作をすることで普段とは違ったアイディアが降りてくるはずです」

 

f:id:rittor_snrec:20210427145628j:plain

Chihei Hatakeyama
アンビエント作家。米国の名門krankyのほか、各国のレーベルから作品リリースしている。レーベルWhite Paddy Mountainを主宰し、エンジニアとしても活動

 

KORG SoundLink 製品情報

www.korg.com

 

KORG MW-2408 / MW-1608(写真)

価格:157,000円(MW-2408)、137,000円(MW-1608)

f:id:rittor_snrec:20200925130255j:plain

SPECIFICATIONS
●MW-2408
▪チャンネル数:24 ▪外形寸法:480(W)×187(H)×530(D)mm ▪重量:9.3kg

●MW-1608
▪チャンネル数:16 ▪外形寸法:396(W)×187(H)×530(D)mm ▪重量:8.0kg

●共通
▪バス:メインL/R、サブグループ1〜8、AUX1〜4、FX、モニターL/R ▪ゲイン幅:−10〜+60dB(マイク・イン) ▪周波数特性:20Hz〜20kHz(+0.5、−1.5dBu)/アナログ・イン〜メイン・アウト ▪等価ノイズ・レベル:−128dBu ▪全高調波ひずみ率:0.004% ▪SN比:−70dBu(アナログ・インのメイン・アウトに対するSN比) ▪AD/DAビット・レート:32ビット ▪内部処理:32ビット

 

関連記事 

www.snrec.jp

www.snrec.jp

www.snrec.jp

www.snrec.jp

www.snrec.jp

www.snrec.jp

www.snrec.jp

www.snrec.jp

www.snrec.jp

www.snrec.jp