ヘッドフォンでスピーカーの音響特性を再現するプラグイン「GOODHERTZ CanOpener & BLUE CAT AUDIO Re-Head」

ヘッドフォンでスピーカーの音響特性を再現するプラグイン「GOODHERTZ CanOpener & BLUE CAT AUDIO Re-Head」

フックアップが運営するオンライン・ストアのbeatcloudから、注目のソフトをピックアップする本コーナー。今回レビューするのはGOODHERTZ CanOpener Studio GHZ-0001 V3(以下CanOpener)と、BLUE CAT AUDIO Blue Cat's Re-Head(以下Re-Head)です。両者ともスピーカーの音響特性をヘッドフォンで再現するプラグインですが、それぞれどのような特徴があるのか見ていきましょう!

クロスフィードをシミュレートするCanOpener Studio

 まずはCanOpenerの方から。CanOpenerは、スピーカーで再生した際に左右の音声がブレンドされて耳に到達する現象=クロスフィードを独自のアルゴリズムでシミュレートし、ヘッドフォン上にスピーカーの音響特性を再現するプラグインです。

 

 CanOpenerをマスターにインサートして開いてみると、GOODHERTZプラグインに共通する見やすいレイアウト画面が現れます。初期設定ではパラメーターの表示をさまざまな言語に変更可能です(画面①)。一般的な英語だけでなく、フランス語や韓国語、もちろん日本語も選ぶことができます。今回は日本語表示にしてレビューを進めましょう。

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画面① CanOpenerでは、各パラメーターの表示をさまざまな言語に設定可能。日本語での表記も選択できるため、初めて扱うユーザーでも操作性に戸惑うことは少ないだろう。そのほか英語はもちろん、スペイン語、ポルトガル語、フランス語、韓国語など全9種類を備えている

 次に各パラメーターを見ていきます。画面左上にはクロスフィードの量と角度を、左下には2種類のEQを調整するスライダーを装備。EQはシェルビングで、低域/高域を上げ下げするシンプルなものです。個人的には音質劣化が無く、好ましいと思いました。

 

 クロスフェードとEQセクションの右隣には、ステレオのスペクトログラムを搭載。画面の横軸はL/Rに、縦軸は周波数帯域に対応しています。CanOpenerに入力された音声信号は、周波数帯域およびL/Rの定位に合わせて表示され、画面内の丸の大きさは音量に比例します。

 

 さらにスペクトログラムの右隣には、モノラル/ステレオの切り替えボタン、L/R反転ボタン、Rchの位相反転ボタン(極)、Dimボタン、出力スライダーを装備します。

 

 またCanOpenerの画面右端には、突然大音量で鳴るのを防ぐためのセーフ・ボタン、CanOpenerのオン/オフ・ボタン、拡張パネルを出現させるボタン(画面②)、CanOpenerのオフィシャルWebページへの案内画面を表示するボタンがあります。

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画面② CanOpenerの拡張パネル画面。最上段にあるのは“クロスフィードリアリズム”というパラメーターで、クロスフィードの種類を超リアル/リアル/普通の3つから選択できる。その下にある“低域周波数”と“高域周波数”は、メイン画面に搭載されたシェルビングEQに対応している。また“ソフトスタート時間”では、DAWを再生したときに突然音が鳴ることを防ぐためのフェード・インの時間を設定可能

 それではヘッドフォンを装着し、CanOpenerを試してみましょう。中低域以下の帯域の過剰な広がり感や、耳に張り付いたような不自然さが解消され、まるで本物のスピーカーでモニタリングしているような印象に近くなりました。スピーカーでモニタリングしたときの低域の量感がかなりリアルで、音量バランスの判断が容易になります。それでいて中高域はコム・フィルターによる音質劣化は感じられず、ヘッドフォンならではの解像度を十分維持したモニタリングを実現しているのです。

 

 またCanOpenerをバイパスした状態と、オンにしてクロスフィード量を十分に施した状態で聴き比べても、両者の音質やバランス感はほとんど変わらず、“プラグインで処理されている”といった不自然な印象は感じません。

 

 CanOpenerの本国Webサイトを見てみると、そこには“Less is more”という言葉が掲げられていますが、CanOpenerはまさしく必要最少限のシンプルな操作でスピーカーの音響特性をヘッドフォン上に再現できる、扱いやすいプラグインだと感じます。

額の高さから後頭部までの角度や、L/Rの距離感を調整できるRe-Head

 続いてはRe-Headをマスターに挿して、検証してみましょう(画面③)。画面には、左からスピーカーL/Rの距離間を設定するStereo Width、額の高さから頭部の下を通って後頭部までの設置角度を設定できるSpeaker Positionという、2つのパラメーターが並んでいます。

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画面③ Re-Headの画面左側には、スピーカーL/Rの距離間を設定するStereo Widthを、同中央には額の高さから後頭部までの設置角度を設定できるSpeaker Positionというパラメーターを搭載。画面右端には、高域をイコライジングするBrightnessノブと、音量調整するGainノブ、EQセクションを備えている

 画面右端にある2つのノブは上から、高域をイコライジングするBrightnessノブと、音量を調整するGainノブ。最下段にあるのはEQセクションです。

 

 同セクションには、左側にEQオン/オフ・ボタン、右側にEQパネル拡張ボタン(画面④)、下段にEQプリセットを搭載。EQプリセットでは代表的なヘッドフォン機種の特性を再現する、プロファイル・プリセットが各種用意されています(画面⑤)。ここを設定することによって、よりスピーカーから聴いているのに近いサウンドになるのです。

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画面④ EQセクションの右側にある拡張ボタンをクリックすると、EQパネルが出現する。7バンドEQを搭載し、スペクトラム・アナライザーの表示や、IRデータのインポートが行える

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画面⑤ EQプリセットには基本的なもののほか、代表的なヘッドフォン機種の音響特性を再現するプロファイル・プリセットも用意している

 またEQパネル拡張ボタンをクリックすると、Re-Headの画面右側に7バンドのパラメトリックEQ画面が表示されます。最下部にある“≡▲-”ボタンをクリックすると、バック・グラウンドにスペクトラム・アナライザーを表示させることも可能です。ちなみに、この右隣にある波形型のボタンをクリックするとIRデータをインポートすることも! ユーザーが使用するヘッドフォンの逆特性のインパルス応答を畳み込んだり、好みのホールの音響特性を再現したりすることができるでしょう。

 

 では、実際にRe-Headで音楽ソースを試聴してみます。確かにヘッドフォン特有である“頭に張り付いたような音声”ではなく、あたかも自分の前方にスピーカーが配置されているような“前方定位”を感じることが可能です。

 

 興味深いのはSpeaker Position。スピーカーL/Rの設置角度を動かすと、確かにおでこの辺りから音が聴こえてくるのです。ただし頭部伝達関数には個人差があるため、不自然に感じる人も居るかもしれません。もしそのような場合には、先述のEQセクションを利用することで、よりスピーカーから再生された音に近付けることができるでしょう。

 

 モニタリングの正確性が“ミックスを成功させる鍵”となっているということは、読者の皆さんも実感があるところだと思います。今回紹介したCanOpenerとRe-Headは、それぞれ異なるアプローチですが、ヘッドフォン・モニタリングにおいてしばしば問題になるスピーカーとの聴こえ方の違いを解消できる画期的なプラグイン。スピーカーから大きな音を鳴らせない人にもお薦めです。

 

GOODHERTZ CanOpener Studio GHZ-0001 V3、BLUE CAT AUDIO Blue Cat's Re-Head

価格:GOODHERTZ CanOpener(7,200円)、BLUE CAT AUDIO Re-Head(5,430円)

 Requirements 
●GOODHERTZ CanOpener
■Mac:OS X 10.7以上、AU/AAX/VST/VST3(いずれも64ビット)対応のホスト・アプリケーション
■Windows:Windows 7以上、AAX/VST/VST3(いずれも64ビット)対応のホスト・アプリケーション

●BLUE CAT AUDIO Re-Head
■Mac:OS X 10.7以上、AU/AAX/VST(いずれも32/64ビット)対応のホスト・アプリケーション、INTELプロセッサー
■Windows:Windows Vista/7/8/10、AAX/VST(いずれも32/64ビット)対応のホスト・アプリケーション、SSE2命令セットに対応したプロセッサー(Pentium 4 以降)
■スタンドアローンに対応

 

Mine-Chang

作編曲家/プロデューサーとしてアーティストへの楽曲提供やCM音楽などで活躍するとともに、prime sound studio form所属のレコーディング・エンジニアとしても活躍中。

 

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