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「ACOUSTICSAMPLES Strategy & Sunbird」ギターの名機を再現したソフト音源2選

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フックアップが運営するオンライン・ストアのbeatcloudから、注目のソフトをピックアップ。今回レビューするのはACOUSTICSAMPLESのソフト音源2種類。エレキギターFENDER Stratocasterを元にしたStrategyと、1962年製のアコースティック・ギターGIBSON Humming BirdをサンプリングしたSunbirdです。どちらもMac/Windows対応のUVI FalconおよびUVI Workstation(無償)で動作し、AAX/AU/VSTに準拠。音色作りや奏法、演奏モードをち密にコントロールできるソフト音源を、作曲家とギタリストの両方の視点から細かくチェックしていきたいと思います。

鍵盤のコードをギターのボイシングに変換
ソリッドかつ芳じゅんな音色のStrategy

 まずはFENDER Stratocasterを元にしたエレキギターのソフト音源、Strategyから見ていきましょう。伝統的なStratocasterの構造にならって、21フレットのネックと、3つのシングル・ピックアップが搭載されています。画面右下にあるPickupsタブに入ると、ピックアップのポジションを切り替えることが可能です(画面①)。いわゆる“ハーフ・トーン”と言われるネック+ミドル、ブリッジ+ミドルといった実機でも使えるポジションはもちろん、ネック+ブリッジやネック+ミドル+ブリッジといった特殊なセッティングにも対応します。ピックアップの切り替えは、楽曲のパートによって音のキャラクターを使い分ける重要な機能。実機では珍しいセッティングが行えるのは、ギタリストにとってありがたいですし、ワクワクします。

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画面① Strategyの画面下に設置されたPickupsタブを開いたところ。ピックアップはネック、ミドル、ブリッジの3つが装備されていて、それぞれがトグル・スイッチでオン/オフできる。この仕様がいわゆる“ハーフ・トーン”と言われるネック+ミドルやブリッジ+ミドルといったポジションに加えて、ネック+ブリッジやネック+ミドル+ブリッジといった特殊なセッティングも可能にしている

 奏法は1~6弦、1~21フレットの全ポジションでアップ/ダウン・ピッキング、ハンマリング、プリング、ミュートなど、多彩に用意されています。これなら自分の想像するサウンドをしっかり表現できそうですね。また高精度のハンド・ポジション・システムの採用によって、自然な演奏を実現しているそうです。

 

 Strategyの特徴となっているのはSolo、Chord、Patterns、MIDI Guitarという4つのモードを用意するPLAY MODEの存在。これらのモードを用途によって切り替えることで、幅広い使い方ができます。

 

 まずは、単音のリード演奏に適した、Soloモードから紹介しましょう(画面②)。Playモードの右側にあるボックスのLegato Modeから、レガートの種類を選ぶこともできます。肝心のサウンドは非常にクリア。それでいながらも、Stratocasterのソリッドかつ芳じゅんな特性をしっかりと感じることができました。

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画面② 左上のPLAY MODEレバーで、フレーズに最適な演奏モードを選択できる。このレバーもピックアップを選択するスイッチと同じく、ギターの機材を連想させる粋なデザインが施されている。この画面では、単音のリード演奏に適したSoloモードを選択。レガートをハンマー、スライド、レガート、オフの4つから指定でき、スライドのスピードを変更することも可能だ

 次はストローク演奏に長けているChordモードを使ってみましょう(画面③)。このモードの特筆すべき点は、コード認識エンジンの実装。鍵盤で押さえたコードを、ギターのボイシングに変換してくれるのです。変換されたボイシングは画面上のギターのフレットに表示されるので、“このサウンドはそんな押さえ方なのか!”といった感じに視覚的にも楽しめます。さらに、さまざまなボイシングから自分好みにカスタマイズすることも可能。サウンド・デザインを細かく構築する上で重宝しそうな機能です。

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画面③ リアルな和音演奏を行えるChordモード。このようにPLAY MODEを切り替えると、画面の上半分がそのモード専用のパラメーターへ変化する。Chordモードではストローク(ストラム)のアップ/ダウンのオート/マニュアルや、スピードといった項目がスタンバイ。鍵盤で押さえたコードは、コード認識エンジンによってギター・コードのボイシングに変換される。ボイシングは自分好みにカスタムすることも可能だ

 さらに、カッティングやアルペジオといったフレーズをループ演奏するPatternsモードも用意(画面④)。全68種類収録されていて、プリセットごとにC4~C5へ割り振られています。どれも実用的で、幅広いジャンルに対応できそうですね。アイディア出しにも役立つでしょう。

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画面④ カッティングやアルペジオといった68種類のフレーズをループ演奏するPatternsモード。プリセットごとにC4~C5へループが割り振られている。フレーズの長さやスピード、シャッフル具合などを調節できる

 ChordモードとPatternsモードでは画面上部のSong Builderタブから、鍵盤一つでコードが演奏できる機能にアクセス可能です。また、MIDIギター・コントローラーに適したMIDI GuitarモードをPLAY MODEから選ぶこともできます。

 

 画面右端のFXタブには、アンプとペダル・エフェクトが格納されています(画面⑤)。アンプで変更可能なのはモデルとマイクのモノラル/ステレオ、ルーム・マイクの有無。ペダルはひずみ、空間系、モジュレーションとオーソドックスな種類が一通りラインナップされています。

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画面⑤ 画面右端のFXタブからアクセスできる、アンプとペダル・エフェクト群。画面右下のアンプはモデルとステレオ/モノラルの切り替え、ルーム・マイクのオン/オフが行える。ペダル・エフェクト上段は、左からコーラス、フェイザー、フランジャー、ワウ、トレモロ、ディレイ、ロータリー。ワウ・ペダルはモデルの切り替えが可能で、動作をオート/マニュアルから選べる。下段にはサチュレーション、EQ、リバーブがセットされている

程良く明るくフレッシュな音色のSunbird
新品の弦の音で安定したピッチ感が得られる

 さて、アコースティック・ギターを再現したSunbirdも見ていきましょう。画面構成や使い方は、Strategyを踏襲した作りです。

 

 Sunbirdでは、右下のMicrophonesタブでオーバーヘッド・マイク、クローズ・マイク、ピックアップのゲイン量を調節して音色をブレンドできます(画面⑥)。クリアな音で、程良くブライトかつフレッシュな響きです。ボディ中で音が反響してサウンド・ホールから放出される様が見事に再現されています。ピッキングのレスポンスも優れていますね。Patternsモードでのアルペジオの分離具合や、ブラッシングの音色も心地良いです。弦を張ったばかりの音色でありながらもピッチが安定しているのはうれしいですね。

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画面⑥ 1962年製のアコースティック・ギター、GIBSON Humming Birdを元にしたSunbird。サンプリングにはオーバーヘッドにDPA MICROPHONES製マイク(ペア)、クローズ・マイクにラージ・ダイアフラムのNEUMANN U87が使用されており、マイクとピックアップのゲインを調節してブレンドすることができる。SunbirdもStrategyと同じく、4種類のPLAY MODEが用意されており、鍵盤で演奏したコードがギターのボイシングに変換されるコード認識エンジンを搭載している

 StrategyとSunbirdともに“繊細で知的なサウンド”という印象を受けました。筆者ならサウンドトラックで抑揚を付けずにバッキングし続けるパートとして採用したり、スタブとして実機では困難なアプローチをしたり、生のギターのレイヤーとして使います。そのほかポストロックやエレクトロニカ、ポップスなどでも、アンサンブルの一部として効果的に活躍してくれるでしょう。もちろんギターが録音できないときでも、ハイクオリティな仕事をしてくれると思います。

 

ACOUSTICSAMPLES Strategy & Sunbird

価格:Strategy(14,227円+税)、Sunbird(14,227円+税)

 Requirements 
■Mac:OS X 10.8以降、INTEL製プロセッサーと2GB以上のメモリ
■Windows:Windows 8以降、INTEL Core Duo 以上のプロセッサーと2GB以上のメモリ
■共通:7200rpm以上のHDDまたはSDD

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井筒昭雄

ワンミュージックに所属する作曲家/ミュージシャン。一人多重録音ソロ・ユニットのFab Cushionとして音楽活動を開始。CM、映画音楽、リミックスなど、ジャンルレスに楽曲制作を行っている。

 

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