『D4DJ』6人の音楽プロデューサーが手掛ける DJ×アニメ×ゲームのメディア・ミックス・プロジェクト【特集アニメ・ソングの最前線】

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アニメ、ライブ、舞台、ゲームなど複数のメディアで並行してプロジェクトが進行する“メディア・ミックス・プロジェクト”を展開するブシロード。『BanG Dream!』や『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』などに続く最新作が、DJをテーマにした『D4DJ』だ。声優によるDJライブを皮切りに、スマートフォン・ゲームの『D4DJ Groovy Mix』や、今年秋から放送開始されるアニメ『D4DJ First Mix』と、DJライブ×アニメ×ゲームのメディア・ミックスとなっている。ここでは、本作をアニメーション監督と音楽プロデューサーという2つの立場からけん引する水島精二氏にインタビューを敢行。メディア・ミックス・プロジェクトならではの展開や、箱鳴りの良いクラブ・サウンドの作り方など、幅広い視点から語ってもらった。

Interview:Kanako Iida Photo:Hiroki Obara

 

『D4DJ』アニメーション監督/音楽プロデューサー
水島精二

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【Profile】一二三所属のアニメーション監督。『機動戦士ガンダム00』シリーズや『鋼の錬金術師』『楽園追放』『夏色キセキ』などを手掛けてきた。『D4DJ』では、アニメーション監督と作品内ユニット“Photon Maiden”の音楽プロデューサーを担当している。

 

Overview:『D4DJ』

『D4DJ』とは、DJライブ、アニメ、ゲームで展開されるメディア・ミックス・プロジェクトである。2018年の『ブシロードDJ LIVE vol.1』を皮切りにキャストによるライブは人気を集め、今年秋にはゲームやアニメが本格的に始動。Happy Around!、Peaky P-key、Photon Maiden、Merm4id、燐舞曲、Lyrical Lilyという6組のDJユニットのストーリーが各メディアで繰り広げられる。

 

Animation

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『D4DJ First Mix』は、今年秋から放送開始のアニメ。Happy Around! が主役となり物語が展開していく。アニメーション監督は水島氏が手掛ける。

 

DJ Live

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DJライブは各ユニットの声優陣によって行われる。10月11日(日)には『グルミク Presents D4DJ D4 FES. ~LOVE!HUG!GROOVY!!~』が開催予定。

 

Game

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スマートフォン用アプリ、『D4DJ Groovy MIX』は各ユニットのオリジナル曲から、J-POPなどのカバー曲まで収録したリズム・ゲーム。10月25日(日)より配信開始。

 

PIONEER DJやプロのDJに協力してもらい
本物らしさをキープできるアニメーションを作った

ーD4DJのプロジェクトの始まりを教えてください。

水島 ブシロード代表取締役会長の木谷高明さんが、新しいコンテンツを考えていたときに海外の大規模な野外イベントでザ・チェインスモーカーズを見て、そのステージ演出、パフォーマンス、それらのパーティー感がすごく刺さり、“次はDJだ!”とひらめいたみたいです。『D4DJ』はDJがテーマで、僕がアニソンDJもやっていたということで、“DJに対する理解がある程度あり、アニメ制作時に明確にコンセプトを打ち出せる人”という条件にうまくハマり、アニメーションの監督を頼みたいとアニメ制作会社のサンジゲンから連絡が来ました。ただ、アニメのストーリーを展開しながら、本来DJの醍醐味である“いろいろな曲をつないで聴かせる”ことは、尺を取るためできないので、そこを注意しつつ、どう魅力的にDJユニットとして見せるかを考えています。

 

ー『D4DJ』は6組のDJユニットが登場する作品ですが、水島さんはその1つである“Photon Maiden”の音楽プロデューサーも手掛けられていますね。

水島 僕はアニメ監督ですが、一二三という音楽制作会社に所属していて、アニメ『D4DJ First Mix』のBGMを弊社所属作家の佐高陵平に作ってもらいたいと話していました。佐高やほかの所属作家とやり取りする中で得た知見をアニメの打ち合わせで話す中で、僕も音楽に対する造詣が深いと思っていただけて、Photon Maidenのプロデューサーとしても声をかけていただきました。もともと音楽プロデュースは興味がありましたし、アニメ作品を監督する中で、主題歌や挿入歌のコンセプト、ジャンルや曲調を細かく指定し、やりとりをしながら曲を作っていただいてきました。そこでの手応えもあり、いつか音楽だけの仕事をやってみたいと思っていたので、とてもうれしかったですね。

 

ーアニメ内で登場するDJ機材は、細部にわたり忠実に描かれていますね。

水島 機材面では、オフィシャルでPIONEER DJに監修していただき、作ったものを見せて、発光部分なども含め間違いがないか確認してもらっています。さらに自分の持つDJの知識だけでは足りないので、弊社のDJ WILDPARTYや秋葉原のDJバーMOGRAの人たち、ゲーム制作のエンジニアでもあるDJのういにゃんなどにも協力してもらっています。完成したオーディオ・ファイルで実際にDJをしてもらい、音と映像を収録し、完全にリンクするように映像を作り、本物らしさをキープするようアニメーションを作っています。プロのDJプレイは、つなぐ前から細かく調整していて、自分との腕の差を感じました。また、トラック・メイクの場面でも、DAW上での音の密度を表現するために、実際に作った作家に制作画面を共有させてもらい、合わせるようにしています。そこでも、こんなにち密な作業を普段からやってもらってるんだなと本当に頭の下がる思いです。今回アニメ監督とPhoton Maidenの音楽を統括する過程の中で、すごく自分にとって勉強になることは多いです。特に音楽を物語の中でどう扱うか、プロジェクトの中でどういう位置にアニメを持っていくかを考えるのは、すごくやりがいがあります。

 

箱鳴りを良くするには
音のすき間を作るための引き算が重要

ー具体的にPhoton Maidenの楽曲を作る際に使うサウンドなどはどう決めていましたか?

水島  もともとEDMをやることは決まっていました。“アンノウン”“エネミー感”というキーワードをいただいたので、“人類から見て未知なるもの”というコンセプトを立て、楽曲の方向性を決めていきました。1曲目は佐高にお願いして「Photon Melodies」ができました。彼は大きいクラブ会場でも鳴りがすごく良い音を作れるんです。ほかの作家やアーティストからも彼のローの出し方は世界レベルだと評判なので、そこを発揮してもらいました。残響を残したいなら低音がゴチャッとしていると良くないし、歌を聴かせるところはメロディが美しくてもキックがうるさかったらダメで、箱鳴りを良くするには音のすき間を作るための引き算が重要だと教えられました。弊社にはダンス・ミュージック系が得意な作家が多いので、彼らの知恵を借りながらアイディアを揉んでいきましたね。

 

ー各ユニットの特徴はどのように設定しましたか?

水島 以前行われた、方向性を確認するために設けた各ユニットのプロデューサー会議で、Photon Maidenの曲が本格的なダンス・ミュージックだと言っていただけました。アニメではDJの存在を大切にした“DJモノ”にすると伝えたのですが、それは全ユニットがいわゆるダンス・ミュージックである必要は無くて、それぞれの設定に合わせつつ、“DJがいることによって出せるサウンドの曲”を作ってほしいとお願いしたんです。例えば、ロックがコンセプトの燐舞曲はギターを弾くメンバーはいますが、それ以外の音はDJの出す音源です。楽器は限定されないので音を作り込めます。その上でパッド・サンプラーをたたいてその場でサウンド・クリエイトをするDJであれば、ライブでもパフォーマンスできるし、VJ担当もいるから映像にも力を入れられそうとプロデューサーの中山雅弘さんと話しました。中山さんと組んでいるeMPIRE SOUND SYSTeMSというサウンド・チームがガッチリ音を作っています。Merm4idのプロデューサーは、ブシロードミュージックの取締役でもある都田和志さん。彼は小室哲哉さんとも一緒に仕事をしてきたサウンド・クリエイターで、Merm4idの夏っぽい感じのイケイケなキャラクターに合わせて、パーティ感のあるクラブ・ミュージックを作ってくださってます。Peaky P-keyのプロデューサー上松範康さんには、“アニソンとクラブ・ミュージックを融合させるアイコンとして音楽的な柱になってほしい”と伝えたら、見事にピシッとやってくれました。上松さんはアニメの音楽をたくさん手掛けているので、ぜひ上松さんらしいメロディのサウンド+クラブ・サウンドでと伝えました。Peaky P-keyの最近の曲は、初期の楽曲に比べてシンプルに引き算してあり、メロディは上松さんらしい美しさ。とにかくビートが強くて音がカッコいいんです。これからどんどん各ユニットの特色がありながらも箱鳴りがすごく良い曲が増えていくんじゃないかなと。アニメ用の曲もすごく素晴らしいものが出来上がってきています。

 

ートラックは水島さんがチェックされるのですか?

水島 アニメーションの本編で使うものは、監督として使うシーンを含めてこちらもディレクションするので、コンセプトの段階から共有しています。今回のアニメの主役ユニットであるHappy Around!の曲は、基本はハートカンパニーが制作するんですが、弊社でアニメ用に制作したものもあります。アニメでは、登場人物の成長によって曲の中でできることが変化していく物語も入るので、イメージを把握している僕がなるべく近い位置でやれた方が圧倒的にスムーズなんですよね。制作過程で監督は音楽や映像をどこに向けてどう作るかというコンセプトをまとめるのがすごく大事で、作業する人にアイディアを考えてもらうのも大切なんですが、迷わせてはダメなんです。

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アニメ『D4DJ First Mix』の主人公であるHappy Around!の愛本りんく(CV.西尾夕香)

アニソンの文脈に乗せつつ
ダンス・ミュージックのオケに合うようにした

ーダンス・ミュージックとアニメの声優のマッチングを良くするために心がけていることはありますか?

水島  ダンス・ミュージックは歌謡曲と比べると構成や歌詞の量が少ないので、アニソンの文脈に乗せつつダンス・ミュージックのオケにも合うように作家とやりとりしました。Aメロを長くしてサビに行くとか、ビルドアップするとか、サビ後にドロップの部分でダンサブルなビートが続くのも格好良いねというような感じで。僕自身はアニソンが根付いているので、ダンス・ミュージックならではの美的センスを教えてもらいつつ、例えば“ラスマス・フェイバーのあの曲のような感じがいいな”と提案したりもしましたね。

 

ー曲のオーダーはどのように来るのでしょうか?

水島 ゲームのストーリーに合わせた“この段階の曲を作ってください”というオーダーをもらい、表現の幅の広げ方やストーリーを提案しながら進めています。Photon Maidenはプロダクションに所属し、音楽プロデューサーがいるグループという設定なので、会社が彼女たちをどうプランニングしているかをシミュレーションして自分なりにコンセプトを立てています。アニメで成長を表現するには、音の変化を含めて、具体的に何を変化させていくか考えないと伝わらないんです。でも、ライブは内なるコンセプトが制作側にあるだけで全然違って、実際のアーティストもスタッフが変わっただけで音楽的に変化することがあるように、すべてを提示しなくとも“何曲もふかんで見るとこう変化してきた”でもいいんです。

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Studio ONE LAB.
水島氏がプロデュースを手掛けるPhoton Maidenの「“What” are you?」などの収録が行われたスタジオ

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スタジオ内のボーカル・ブース。『D4DJ』作品のレコーディングでは、NEUMANN U87AIなどを使用した

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デスク右のアウトボード類。マイクプリのDBX 286S、AVALON DESIGN VT-737、コンプレッサーのEMPIRICAL LABS Distressor EL-8、TUBE-TECH CL-1B、UREI 1176 Rev. H、UNIVERSAL AUDIO 1176LNを配備

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デスク左のラックには、BLACKMAGIC DESIGN MultiDock 10G、FOCUSRITE ISA 828、Plutinum Voice Master、AMEK 9098DMAが並ぶ

ライブ/アニメ/ゲームの密度を保ちつつ
クラブ・カルチャーが感じられるように働きかける

ーボーカル・ディレクションはどのようにされますか?

水島 歌い手の方には楽曲のコンセプトを提示し、だからこの歌詞になっていると伝えて、“宇宙に1人しかいないような孤高感や切なさなんです”というように、その人の背景を想像させるようなディレクションをしています。大体の役者さんは演じているキャラクターのトーンをベースに歌ってくれるので、歌で表現しようとする世界観を引き出せるようにしています。歌録りを含めて、一緒に話しながら本人との共通項を見出して作るので、本人が普通に歌っていても大きくずれないようにはしてますね。自分は音楽を作る側の人間ではないので、こちらがやりたいことを理解して協力してもらう形なんですよ。その分自分がしっかり芯の部分を作っていないと表現がふわふわしちゃう。周りはプロなので、迷ったら自分で抱え込まないで相談すればいい。人の使い方がうまいと言われますが、実際は自分がすごいと思う人と一緒に仕事をできていて、協力関係でいることで、僕自身が評価されてこういう仕事ができるようになるので、とてもありがたく思っています。

 

ー『D4DJ First Mix』の歌録りには立ち会いましたか?

水島  弊社制作分の楽曲は全曲立ち会って作家と共同でディレクションしています。アニメのオープニングはハートカンパニー制作ですが、アニメの顔になる大事な曲なので現場でディレクションさせてもらいました。作曲はヒャダインさん、編曲はPandaBoYさんが手掛けていて、ダンス・ミュージックらしさのある楽しくて賑やかな曲になっています。発表を楽しみに待っていてほしいです。

 

ー『D4DJ』のサウンド面で一番こだわっている部分は?

水島  ダンス・ミュージックやクラブ・ミュージック、DJがコンテンツのテーマなので、クラブやイベントに遊びに行っている人に“本物と全然違うよね”と言われないようにしたいですね。ライブは本人たちの魅力も加味されますし、アニメはストーリー性やキャラクター性、ゲームは音ゲーとしての面白さとサブストーリーで語られるので完全に一緒ではないですが、それぞれの密度を保ちつつ、全体で扱われる音や世界観はクラブ・カルチャーが感じられるように働きかけています。

 

ー今後はどのように展開していきたいですか?

水島 Photon Maidenは、本人たちが何をやりたいかを含め、楽曲やパフォーマンスを広げていけたらいいですね。音楽プロデューサーとして、広く支持してもらえて刺さるダンス・ミュージックを作れたらと思います。役割的にはアニメの監督なのでそこまでの権限は無いのですが、コンテンツ全体のアイディア出しも協力してほしいと言っていただけているので、今までできなかった大きな企画にかかわっている実感はありますね。

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水島氏が音楽プロデュースを手掛けるユニットPhoton Maidenのメンバー。左から、出雲咲姫(CV.紡木吏佐)、新島衣舞紀(CV.前島亜美)、花巻乙和(CV.岩田陽葵)、福島ノア(CV.佐藤日向)。EDMユニットとしてダンサブルな楽曲が特徴的だ

アニメのファンは一度好きになると
ずっと好きでいてくれる人が多い

 

ー水島さんは長年アニメ・ソングと関わっていますが、アニメ・ソングのあり方に変化は感じますか?

水島  昔は“アニメは子供のもの”とされていましたが、何十年もかけて徐々にメジャーなアーティストを起用できるようになりました。ターニング・ポイントとなったのは『機動戦士ガンダムSEED』の主題歌であるT.M.Revolution「INVOKE -インヴォーク-」のヒットだと思います。ソニーがタイアップに積極的になり、アーティストがアニメの主題歌を担当することが売り上げやファンの増加につながると認識してくれて大きく変わりました。僕もこの十数年ソニー所属のアーティストと組んできました。『鋼の錬金術師』の監督をやるときに、メジャー・アーティストと一緒に作品を作れるならこちらからコンセプトをまとめて投げようと思い、作品に合いそうなソニーミュージックのアーティストを探したところ、ポルノグラフィティに「メリッサ」をお願いすることができたんです。L'Arc-en-Cielが再始動するときにはレーベル側から提案が来ました。“物語が重くなるから、主題歌は元気なロックでやってくれませんか?”と言ったら、“再始動なので自分たちもポジティブな方向でやりたい”と意見が合致したのが「READY STEADY GO」です。

 

ー主題歌を担当したアーティストの反応はどうですか?

水島 『鋼の錬金術師』の主題歌をお願いしたASIAN KUNG-FU GENERATIONのゴッチ(後藤正文)には、“「リライト」のおかげでファンが増えて海外にも呼ばれるようになった”と言われてうれしかったですね。THE BACK HORNは“『機動戦士ガンダム00』の主題歌がきっかけでライブに来てくれる人が増え、バンドの音楽性が変化しても離れないでくれてありがたい”と言っていました。アニメのファンは一度好きになるとずっと好きでいてくれる人が多いので、ファンが増えたことを喜ぶアーティストも多いです。作品にもアーティストにもプラスになるように心掛けています。

 

ーアーティストの方とは直接やり取りするのですか?

水島 普通はA&Rの人が仲介することが多いですが、僕は『鋼の錬金術師』以降ソニーと一緒にやることが多く、仕事をするうちにアーティスト性を尊重した形で曲のコンセプトやビジョンを伝えられると認識してもらえて、直接会って作品を共有しながら楽曲制作できるようになりました。タイアップも関わる人によって、全部同じ条件で作れるわけではないので運が良かったですし、おしゃべり好きが功を奏して自分の意図に沿う形で楽曲提供していただけています。

 

演技者である声優の歌は
作品の世界を作るための武器になる

ー最近の主題歌のトレンドについてはどう感じますか?

水島  今はLiSAさんのようなエキセントリックな部分や熱いメッセージ性があるソニー系の楽曲が強いんじゃないでしょうか。藍井エイルとか春奈るなとか、アニソン系のアーティスト同士がサウンド・チームとして意識し合って、鉄板なアーティストを作っている印象です。あと、『けものフレンズ』の「ようこそジャパリパークへ」は、近年のアニソンならではのトレンドだった、“要素と展開が多く、それをどこまで上手に構成し詰め込めるか”という命題に、最適解を導き出したすごい曲ですよね。90秒の中に“ラララ”と歌うパートまで入っている上にすごく自然に聴こえる。その前から、ヒャダインさんが転調でガラッと変えたりと、誰かが新しいアイディアを見せたらその方向へ進化する流れは始まっていましたね。ランティスは佐藤純之介さんなどが仕掛けて数年前からfhánaやZAQのようなアーティスティックな方々が出てきたことで、幅広いクオリティの高い作品を作り出すようになって来たと感じています。フライングドッグもアニソン系ですが、もともと培ってきた音楽が豊かで、作品に根差した良い主題歌を提供されています。石川智晶さんや梶浦由記さんもすごく良い曲を作られて。ここ10~20年くらいの間にそういう方々が開いた地平があり、その都度影響を与えてここまで来ていると感じますね。

 

ージャンルに関してはどのように考えていますか?

水島  アニソンはアニメの世界観が共有できていればジャンルは問わないんです。作品にフィットするテーマやコンセプトを打ち出し、“このコンセプトならどういう曲を作りますか?”と投げかけて作ります。例えば、GARNiDELiAは、アニソンの文脈に乗った曲も作りますが、アルバムではダンス・トラックも作っているので、『BEATLESS』の主題歌では、ダンス・トラックでお願いしました。『ドロヘドロ』の主題歌のようなオルタナティブ・ロックもそうですが、楽曲としてカッコ良いとアニソンとして受け入れられますよね。LiSA、PENGUIN RESEARCH、岸田教団&THE明星ロケッツ、fhánaのように、アーティスト性を守りつつ作品に寄り添った楽曲を作ってくれる方の存在が今のアニソンの厚みを作り出してくれているなと。その中でも、僕は、アニソンど真ん中というよりは作品に合わせてそのコンセプトとちょっとずらしたりして強い曲を作れたら良いなと思ってやっています。

 

ーメジャー・アーティストではなく、声優がキャラクターのまま歌うアニメ・ソングも多いですよね?

水島 10年くらい前から、主題歌を声優がキャラクターとして歌うケースが増えました。作品の世界観を徹底させる目的で始まったんですよね。当時、僕はその手法が内向的だし、正直、音楽的魅力が薄くあまり良いと感じませんでした。ですが、だんだんと耳に残る曲が増えて、今はアニソンならではの手法であり完成度を誇るジャンルになったと思います。神前暁さんの影響が大きいと思うのですが、キャラソンを登竜門に若い作家が作品にフィットしつつ、とがった楽曲を提案し、声優もキャラクターのままそれを表現できる非常に歌がうまい人が増えた。声優という仕事は演技だけでなく歌も歌うんだ、と考える声優や声優志望者が増えて、声優の仕事の多様化につながりましたね。結局は楽曲が良く、それを表現力のある歌唱者が歌うから耳に残るし、好きになる。歌唱する声優が演じるキャラクターを維持したまま歌えることで、作家が狙っているところに到達できているんです。オーダーに対して、“このキャラクターだから”と迷い無く歌える。歌っているキャラクターがどんな子か考えていなかったら、どんなにこっちが思っても届かないんです。演技者である声優の歌は作品の世界を作るための武器になると確信しています。

 

d4dj-pj.com

 

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