【動画】UNIVERSAL AUDIO Voltでアコースティック・ギター&ボーカルをレコーディング!

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UNIVERSAL AUDIOが新たに発表したオーディオ・インターフェース、Volt。DSPを搭載してUADプラグインが使える同社のApolloシリーズとは違い、DSP非搭載で価格を抑えたシリーズとなっている。だがそこはUNIVERSAL AUDIO、アナログ機器のノウハウを詰め込み、誰でも簡単にアナログ・トーンを得られるオーディオ・インターフェースになっているのが特徴だ。今回はアコースティック・ギター録音にフォーカスし、Voltの性能をレポートする。

Photo:Takashi Yashima Movie:Kazuki Kumagai

アナログ・レコーディング機器の名門が放つ新たなオーディオI/Oシリーズ

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 VoltシリーズはMac/Windows/iPhone/iPadに対応するUSBオーディオI/O。Volt 1/Volt 2/Volt 176/Volt 276/Volt 476という入出力数の違う5つのモデルをラインナップしている。最高24ビット/192kHzで録音/再生ができ、Volt 476を除きUSBバス・パワーで動作可能だ。5V DC電源端子から電源供給を受けることもできる。

 

 Voltシリーズは同社のApolloシリーズとは違い、DSP非搭載でUADプラグインを使うことはできない。しかし、Voltのプリアンプには独自機能であるVINTAGEモードが備わっている。このVINTAGEモードは、真空管プリアンプのエミュレーション回路によって豊かなサウンドを作り出す機能だ。

 

 Volt 176/Volt 276/Volt 476には、VINTAGEモードに加えて76 COMPRESSOR機能が搭載されている。これは同社の誇るコンプ/リミッターの名機1176をベースにしたアナログ・コンプ。ボタンをオンにするだけで、入力信号をコンプレッションして、即戦力となるサウンドへと仕上げることができる。76 COMPRESSORはVOC/GTR/FASTと3つのモードを用意。VOCはボーカルに適した速いアタックと遅いリリースの設定、GTRはギターやベースのトランジェントが明りょうになる遅いアタックと速いリリースの設定、FASTは非常に速いアタックと適度なリリースのアグレッシブな設定となっている。

制作に必要な機材がそろうStudio Packが発売に

 Voltとコンデンサー・マイク、ヘッドフォンがセットになったStudio Packが発売された。Volt 2 Studio Packと、Volt 276 Studio Packをラインナップする。VoltシリーズにはDAWのABLETON Live 11 Liteやピッチ補正ソフトのCELEMONY Melodyne Essentialのほか、SOFTUBE、PLUGIN ALLIANCE、UJAMなどのエフェクト&インストゥルメント・プラグインがバンドルされており、すぐに音楽制作をスタートすることが可能だ。

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Volt 2 Studio Pack|オープン・プライス(市場予想価格39,600円前後)

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Volt 276 Studio Pack|オープン・プライス(市場予想価格51,700円前後)

【動画】Volt 276レビュー:池田拓真 with ナミヒラアユコ

 シンプルな操作性と長年培われたアナログ・トーンの技術が共存したVolt。その実力を確かめるべく、ギタリストの池田拓真とボーカリストのナミヒラアユコのレコーディングをVolt 276で行った。ここでは池田によるインプレッションをお伝えする。

アルペジオの小さなアクセントも表現される

 オーディオ・インターフェースは何より録り音の質が重要です。特にマイクを使うアコースティック・ギターやガット・ギターの音質が気になりますね。エレキギターにおいても、最近ではラインで録音することも多く、後からリアンプするときにオーディオ・インターフェースの音質が影響してくることもあるんです。Volt 276は76 COMPRESSORが内蔵されていることが魅力で、これによって音の幅がかなり広がる印象でした。

 

 宅録してそのデータを納品する際、クライアントによっては“コンプやEQである程度整えられた音が欲しい”という場合があります。その場合は録音した後にプラグインでコンプをかけることが多いですが、プラグインをかけた後の音を聴いた際に“もうちょっとこう弾きたかった”と考えてしまうことが結構あります。それは出来上がりの音を想像しないで弾いてしまっているからですね。76 COMPRESSORはボタン一つでコンプが使えて、そのサウンドをモニターしながら録音することができます。コンプ感に合わせて演奏を変化させることができるのは大きなメリットです。

 

 コンプはVOC、GTR、FASTのすべてのモードを試してみました。アコギの場合は演奏がストロークなのかアルペジオなのかによってコンプ感が変わると思いますが、GTRとFASTはどちらにも合う印象です。どちらかというと、GTRの方がアルペジオの小さなアクセントもしっかり表現し、違和感無く聴こえます。VOCはボーカル向けということもあり、ギターにおいては使うシーンを選びそうです。

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Volt 176、Volt 276、Volt 476に備わっている76 COMPRESSOR。3種類のコンプ設定が用意されている。池田は「アコギのアルペジオにはGTRが合います」と語っていた

 エレキギターをラインで録る場合は、強く弾いたらそのまま波形として現れてくるので、例えばひずませてガンガン弾くと“ズン”という部分だけが聴こえてきてしまうこともあります。そういうときはFASTでアタックを抑えてあげると、程良くなだらかに音がまとまるでしょう。

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エレキギターをライン録音する際は、Voltに付属するギター・アンプ・シミュレーター、SOFTUBE Marshall Plexi Classic Ampが役立つ。そのほかにも同社のディレイやリバーブなどもバンドルされており、エレキギターの音作りを突き詰めることが可能だ

ギラギラ感が抑えられて聴きやすくなる

 VINTAGEモードは、アルペジオをコンデンサー・マイクで録ったときのギラギラとした部分が抑えられ、聴きやすいサウンドになるイメージです。これもボタン一つでサウンドの変化が出せて便利。スタジオではエンジニアがマイクを選んで立てる場所も考えてくれますが、宅録では使えるマイクも限られているし、立て方も慣れていないと難しいと思います。同じマイクや立て方であっても、VINTAGEモードをオンにするだけでサウンドがガラッと変化するので、マイクを変えるような感覚を簡単に得られるんです。そしてその音をモニターすることもできる。宅録でとても重宝する機能だと思います。

 

 76 COMPRESSORもVINTAGEモードもVolt本体内で機能するので、例えばYouTube Liveで配信するときなどで音にもこだわりたいという人にお薦めできます。外部電源供給の端子もあり、APPLE iPhoneやiPadでも簡単に使えるので、出先でのレコーディングや配信でもVoltは活躍してくれるでしょう。

池田拓真
【Profile】さまざまなアーティストのライブ・サポートやレコーディングに参加し、幅広いシーンで活動するギタリスト。2021年にはアルバム『みどりとあおと』を配信リリースするなど、ソロ・アーティストとしても活動している。

ナミヒラアユコ
【Profile】シンガー・ソングライター。ライブ・ミュージックとアコースティック・サウンドにこだわり、多くのステージをこなす。2021年に2ndアルバム『薄明光線』を発売。リリース記念ライブを丸の内コットンクラブで行った。

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