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iZotope 私はこう使う! 兼重哲哉 × Ozone 7&RX De-reverb

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 ミックス/マスタリングに特化したソフトやポストプロダクション向けのオーディオ・リペア・ツールなど、iZotopeの製品は多岐にわたる。ここでは国内外で活躍する8名のクリエイター/作曲家/エンジニアに登場いただき、普段彼らがどのようにiZotope製品を使用しているかを語ってもらった。既にiZotope製品を使っているユーザーから未体験の読者まで、iZotope製品を試してみたくなるようなTips/ノウハウ集をお届けしよう。

兼重哲哉

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【Profile】レコーディング/ミキシング・エンジニア。電気グルーヴやORIGINAL LOVE、NONA REEVES、SUPER BEAVER、NakamuraEmi、八十八ヶ所巡礼などの作品に携わる

Recent Work

BEATWAVE (Takkyu Ishino Remix)

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  • THE ALEXX
  • J-Pop
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 

 僕は長年iZotope Ozone 7を使用しており、最近Ozone 9を購入したのですが解像度がとても高くなった印象で驚きました! 今回はOzone Exciter、そしてRX De-reverbの私なりの使い方をお伝えしましょう。

ExciterでハイエンドにNEVE系の倍音を付加する

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エキサイター・プラグインOzone Exciter。最大4バンドでサチュレーションを構成することができる。またバンドごとにエキサイターのモードを選択可能。兼重氏は、「Oversampling(赤枠)は常にオンで作業しています」と話す

Retroモードで3次倍音を加える

 僕はOzone 7のころからボーカルに倍音を付加するためにエキサイター・プラグインのOzone Exciterを使用しています。ほかのメーカーのものと比べ、Ozone Exciterは中域が細くならないので、とても魅力的です。

 

 もう一つの魅力は豊富なプリセットでしょう。僕の場合は“Gentle High End”という名前のプリセットをよく選び、そこから自由にカスタムすることがよくあります。

 

 画面中段には、それぞれのバンドのモードを割り当てられるドロップ・ダウン・メニューが備わっています。ここをクリックすると、選択したバンドやWarm/Retro/Tape/Tube/Triodeなどのモードを選択することが可能です。僕の好みはRetroとWarmでしょうか。特にRetroは3次倍音を付加することができ、感覚的にはNEVE系のマイクプリに近いサウンドです。エンジニア目線ではかなり派手に変わる印象ですね。

Amountの数値を上げ過ぎないのがコツ

 具体的な例として、澁谷逆太郎の「sakayume」という曲のボーカル処理を紹介しましょう。まず僕は、彼が所属するバンド=SUPER BEAVERの録音/ミックスも担当しているため、サウンド面でもソロとバンドで差別化をしなくてはならないと考えました。その結果、ソロではボーカルをリボン・マイクで録音し、ミックス時にOzone Exciterで色付けしようと思ったのです。

sakayume

sakayume

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 まずはExciterのプリセット欄から先述の“Gentle High End”をチョイスします。すると青/黄/赤のバンドはRetroモード、黄/赤のバンドのクロスオーバー・ポイントは3kHz、高域を担う赤のバンドのMixは61.2%となります。この段階では、まだ音は滑らかな印象です。ここで、赤のバンドのAmountを6.0にしてみましょう。すると、これだけで3kHz以上に“ジャリッ”としたアナログライクな質感をボーカルに加えることができます。

 

 ここでの注意点は、Amountの数値を上げ過ぎないこと。もし上げ過ぎてしまうと、耳に痛い帯域も加わってしまうからです。ちなみに今回の設定は“上げ過ぎ”ていますが、あくまでもマイクのチョイスを考慮した上での設定となります。そのため、ボーカルやマイクの種類によってはもう少しマイルドな音にするため、赤/黄色のバンドのクロスオーバー・ポイントを7kHzにセットし、それぞれのモードをWarmにして2次倍音を加えることもあります。

 

 EQではなく、あえてExciterでハイエンドに色付けする理由は、子音が強調され過ぎないから。倍音が増えただけなので、ボーカリストのブレスが感じられるような自然な処理となるのです。

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RX De-reverbでキックのリリース・タイムをコントロール

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リバーブ除去プラグインのRX De-reverbは、リバーブ・テールの増減をコントロールすることができる

De-reverbがキックのリリースを残響音と判断

 もう一つは、リバーブ除去プラグイン=RX De-reverbの変わった使い方。最近、THE ALEXX『BEATWAVE (Takkyu Ishino Remix)』のミックスをした際、キックのリリースを短くするためにRX De-reverbを使用しました。本来RX De-reverbは残響音を除去するために使うツールですが、リリースの調整に使うという発想です。

BEATWAVE (Takkyu Ishino Remix)

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 まずは、キックのチャンネルにRX De-reverbをインサートします。キックを鳴らしてRX De-reverbに読み込ませたら、Reductionを調整。すると、RX De-reverbがキックのリリースを残響音と判断してカットしてくれるのです。

音楽的にリリース・タイムを調整可能

 ゲートでリリースをカットするのとは違い、空気感をキープしたまま音楽的にリリース・タイムをコントロールできるというメリットがあります。また、コンプレッサーを使うとアタック・タイムにも気を配る必要がありますが、RX De-reverbの場合は100%ありません。リバーブ・タイムを変えるように、キックやスネアのリリース調整ができるのです。ちなみにレイテンシーが気になるときは、AudioSuiteプラグインとして立ち上げて、レンダリングする方法がお薦めですね。

 

 時に新しいアイディアというのは間違いから生まれることがありますが、間違いを恐れずiZotopeプラグインではどんどんクリエイティブな使い方を試してみてほしいと思っています。

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製品に関する問合せ:メディア・インテグレーション

www.minet.jp

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