ピッチ・シフト(オート・チューン)やボコーダー、デジタル・クワイアなど、プラグインを使ったボーカル・エフェクトの作り方を紹介する本特集。ここでは、EQの基礎を覚えるにももってこいの定番エフェクト、テレフォン/ラジオ・ボイスの作り方を、オーディオ・エンジニアのmurozoが解説します。
シーンが大きく変わるときによく用いる定番テクニック
テレフォン/ラジオ・ボイスは、自分がエンジニアを始めて一番に覚えたボーカル処理です。EQの基礎を覚えるにももってこいのエフェクトで、曲のイントロ/アウトロ/間奏など、シーンが大きく変わるときによく用いる印象があります。メイン・ボーカルとの差をうまく演出できるように、分かりやすいくらいに処理を施してもよいでしょう。テレフォン/ラジオ・ボイスは昔からの定番テクニックなので、覚えておくときっと役立ちます!
参考音源
POINT:ボーカルを聴きながらEQポイントを探す
テレフォン/ラジオ・ボイスの作り方はとても簡単です。まずはパラメトリック・タイプのEQプラグインを用意し、300Hz付近にローカットEQ、4kHz付近にハイカットEQを入れます。そして、次は380Hz/1.5kHz/3.3kHzをカットします……これだけで完成です!
テレフォン/ラジオ・ボイスを作るコツは、ボーカルを聴きながらEQポイントを変えること。男性/女性によってカットするポイントが違いますし、オケとの兼ね合いもあるからです。曲を再生しながら、一番それっぽく聴こえる位置を探るといいでしょう。一歩先のテクニックとして、後段にサチュレーションやディストーション・エフェクトを挿して軽くひずませてあげると、よりラジオ・ボイスっぽいノイズのニュアンスが出せると思います。EQ初心者にとっても練習になるので、ぜひまねしてみてください。
完成したテレフォン/ラジオ・ボイス・エフェクトを聴いてみる
murozo
【Profile】Cystal Soundを拠点に活動する気鋭のオーディオ・エンジニア。レコーディング/ミックス/マスタリングをはじめ、Dolby Atmosや360 Reality Audioによるイマーシブ作品にも携わり、ヒップホップ、R&Bからポップスまで国内外問わず幅広く手掛けている。
連動音源提供アーティスト
Yun*chi
【Profile】ポップス/アニメ・ソングからクリエイティブ・シーンまでをつなぐ女性シンガー。TVアニメ『ログ・ホライズン』のエンディング曲「Your song*」や、『うーさーのその日暮らし 夢幻編』主題歌「Lucky Girl*」のほか、タカラトミーのリカちゃんテーマ曲「ゆめみるリカちゃんの歌」の歌唱も担当する。
Musician:砂川 信祐(prog)|Producer:Yun*chi|Engineer:あきお|Studio:studio Mcfly