現代の音楽制作に無くてはならないソフト音源。オールマイティに使えるものから特定のジャンルを象徴する製品、他者との差別化を図れる斬新な音源までそろい、まさに百花繚乱です。そうした数多くの選択肢の中から、プロの現場でリアルに重宝されているものとは何なのでしょうか? 本特集では、著名クリエイター18名に“マイ定番ソフト音源”を挙げていただき、その活用方法を語ってもらいます。
ビッケブランカ
[ビッケブランカ]独創的なピアノとジャンルレスな作風が魅力のシンガー・ソングライター。2016年にミニ・アルバム『Slave of Love』でメジャー・デビュー。モデルとしても活動するなど、音楽以外にも幅広く活躍している
VIENNA SYMPHONIC LIBRARY Vienna Imperial
VIENNA SYMPHONIC LIBRARY Vienna Imperial
(36,900円/7月15日現在。為替レートにより変動)
BÖSENDORFERのグランド・ピアノImperial 290-755を、VIENNA SYMPHONIC LIBRARY所有のスタジオで収録した音源。CEUS(自動演奏機能)テクノロジーを駆使することによって、人間では実現できない演奏で最大100段階のベロシティを収めています。3つのマイク・ポジションが用意されており、Distant(オーディエンス・ポジション)、Player(プレイヤー・ポジション)、Close(マイクをピアノ内部に近付けた状態)から選ぶことが可能。1鍵あたり1,200サンプルを収録しています。
1音につき最大100段階のベロシティを収録
表現したいニュアンスはほぼ完ぺきに鳴らせます
ソロでピアノを弾く際に重宝しているのが、 Vienna Imperial。BÖSENDORFERのグランド・ピアノ、Imperial 290-755の音を収めたサンプル・プレイバック音源です。僕はもともとBÖSENDORFERのピアノの音が好きだったので、デモから本番まで、あらゆるシチュエーションで使用しています。
Vienna Imperialの最大の魅力は、BÖSENDORFERらしい重厚で丸く響く音を、それに近いサウンドで鳴らせることです。悲しい音や重たい音を出したいときに重宝しています。またベロシティは、通常1鍵盤に対して10段階程度の強弱音が収録されていれば良い方と思っていました。しかしVienna Imperialは100段階以上も収録しているので、表現したい音をほぼ完ぺきに鳴らすことができます。また、サステインをオンにすることで、よりアコースティックに近い音色を鳴らせます。
一般的なピアノ音源はローカットすると音がやせきり、おもちゃのような音色になってしまう印象です。しかしVienna ImperialのプリセットDry Rock Pianoは、豊潤でありながら使いやすいように音作りされたと思える音色です。なのでダンス・ミュージックなど、ピアノらしさを保ちつつもキレが必要なジャンルに対応できます。
マイク・ポジションはClose、Player、Distantの3つを選べます。アンビエンス・マイクで録られたDistantを選択し、何が何だか分からないほど遠めで鳴らしてディレイをかけると、ピアノらしさを残しながら聴いたことのないシンセ・パッド感が出せます。
この曲で活躍!
「Shekebon!」のサビ以外のピアノはVienna Imperialの音です。録音後にコード進行を変更したくなり、本来ならあらためてスタジオを押さえなければならないところでしたが、Vienna Imperialがあったので作業を自宅で完結させることができました。
製品情報
DAWに立ち上がる“マイ名機”の使い方
これが私の定番ソフト音源!
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