現代の音楽制作に無くてはならないソフト音源。オールマイティに使えるものから特定のジャンルを象徴する製品、他者との差別化を図れる斬新な音源までそろい、まさに百花繚乱です。そうした数多くの選択肢の中から、プロの現場でリアルに重宝されているものとは何なのでしょうか? 本特集では、著名クリエイター18名に“マイ定番ソフト音源”を挙げていただき、その活用方法を語ってもらいます。
GeG(変態紳士クラブ)
[GeG]大阪を拠点に活動する音楽プロデューサー/ビート・メイカー。2017年にWILYWNKAとVIGORMANを迎えて結成された3人組ジャンルレス・ユニット=変態紳士クラブのメイン・プロデューサーも務めている
SPECTRASONICS Omnisphere 2
SPECTRASONICS Omnisphere 2
(56,000円)
14,000種類を超える膨大なプリセットを収録し、最大4つまでのサウンド・レイヤー、8基のLFO、12基のエンベロープ、400種類以上のDSPオシレーター波形、58種類のエフェクト、8つの独立したアルペジエイターを内蔵しています。ちなみにオーディオ・データをOmnisphere 2にドラッグ&ドロップするだけで、それを音源として使用することが可能です。また、一つの音色において複数のパラメーターをモーフィングできるORB機能も搭載。非常にクリエイティブなサウンドを生成してくれます。個人的にはグラニュラー・シンセシスが一番気になっていて、まだしっかり使ったことがないので、これから研究してみたいと思っています。
サウンド・プリセットの数は14,000種類以上
まさにモンスター級のソフト・シンセです
最初は鍵盤系の音に特化した同社のソフト音源=Keyscapeを購入したのですが、音の良さに感動してOmnisphere 2も買いました。Omnisphere 2はKeyscapeの音源を読み込めるため、ラフ・スケッチをするときはKeyscapeのピアノ系の音色を使い、アレンジ段階になったらそのままOmnisphere 2の音色に切り替える、ということをよく行っています。
Omnisphere 2は、開発者のエリック・パーシング氏でさえ“使い尽くすには一生かかる”と言うくらい膨大な数のプリセットを収録しています。自分の場合、シンセ・フレーズは音色から得ることが多いため、ピンと来るものに出会うまでは地道に探すのですが、一度求める音色に近いものを見付けたらSound Match機能を使います。すると選択した音色に近い特性を持つプリセットが一気にリスト・アップされるので、よりイメージに近い音色が選べるのです。
また、自分はテクノが大好きなのでさまざまな曲でアルペジエイターを使用するのですが、ここで重宝するのがSound Lock機能。これは任意のパラメーターをロックできるというもので、“アルペジエイターのパターンは最高なんだけど、ほかの音色で試してみたいな”というときに便利です。フィルターなどもロックできるので大変重宝する機能ですよ。
ほかにもOmnisphere 2は、多数のエフェクトやモジュレーション・マトリクスなどを備えており、できることが満載。まさにモンスター級のソフト・シンセです。これだけでEDMからヒップホップのビート・メイクまで、幅広く対応できるでしょう。
この曲で活躍!
ソロ1stアルバム『Mellow Mellow ~GeG's PLAYLIST~』では、すべての曲においてシンセはOmnisphere 2、ピアノはKeyscapeを使用しています。特に「Intro」では、ディレイを深めにかけたピアノやシンセ・パッドで大活躍。“GeG is Mellow”と言われることがよくあるのですが、このOmnisphere 2の音色こそが、僕のメロウ感の理由の一つだと思います。
製品情報
SPECTRASONICS Omnisphere 2
DAWに立ち上がる“マイ名機”の使い方
これが私の定番ソフト音源!
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