ケンカイヨシの見解良し!Vol.11〜シンセウェーブを取り入れたザ・ウィークエンド 「Blinding Lights」に見られるヒットの秘けつとは

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Photo:Hiroki Obara

【Profile】東京を拠点に活動する音楽プロデューサー/アレンジャー。ぼくのりりっくのぼうよみとの出会いをきっかけにJポップへ活躍の場を広げる。そのほか香取慎吾と草彅剛のユニット=SingTuyoなどの作品を手掛けている。

 

 こんにちはケンカイヨシ(Loyly Lewis)です。今回はカナダ出身のオルタナティブR&Bシンガー、ザ・ウィークエンドのヒット曲「Blinding Lights」(『アフター・アワーズ』収録)を取り上げてみましょう。ダークな音色のパッド・シンセとトラップ・ビートを交配したような楽曲で、メイン・ストリームへ躍り出た印象のある彼。2015年には「キャント・フィール・マイ・フェイス」を発表し、一気に1980年代ディスコに対する偏愛を見せます。同曲は、D・トレインのようなディスコ・ブギー・サウンドに浮遊感漂うダークなパッド・シンセが乗るアレンジで、当時筆者は衝撃を受けました。


 今回取り上げる「Blinding Lights」も、まさにそんな彼の音楽性が全面に押し出されたと思われる内容です。ビートは、まるで1984年公開の映画『フットルース』に挿入された、同タイトルの主題歌から引っ張ってきたかのようなレトロ感。ちなみにこのような80'sカルチャーに影響された電子音楽は、“シンセのメロディ”דニューウェーブ”で、“シンセウェーブ”という音楽ジャンル名で呼ばれているようです。以前本連載でも紹介したベイパーウェーブは、1980〜1990年代の音楽をサンプリング&エディットしたものですが、シンセウェーブは打ち込みを主体として作られる音楽だというのも大きな違いでしょう。

 

Blinding Lights

Blinding Lights

  • ザ・ウィークエンド
  • R&B/ソウル
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 「Blinding Lights」 (『アフター・アワーズ』収録)
ザ・ウィークエンド
(ユニバーサル)

 

 さて今回ピックアップするのは、多彩なエコー/ディレイを演出するプラグインSOUNDTOYS EchoBoy。「Blinding Lights」に登場するシンセのステレオ・ワイドな音像や、ボーカルにかかったアナログライクなディレイを表現するにはもってこいです。

 

 使い方は、まず画面左上のセクションでディレイ・タイムやドライ/ウェット、フィードバックなどの設定を行います。ここまではどのプラグインにもあるような機能ですが、EchoBoyで面白いのは、その隣のセクションにあるGROOVEノブとFEELノブ。GROOVEノブではディレイ・タイムにシャッフル/スウィングを施すことができ、FEELノブでは走ったりため気味にしたりという微妙なずれを与えることが可能です。これらだけでもほかとは一味違うグルービーなディレイを付加できるのですが、さらに画面右端のセクションにある“STYLE”では、ディレイ音にEQやモジュレーションを施したプリセットを選択できるため、より独創的なディレイを演出することができます。このように、Echoboyはシンプルな操作性ながらもさまざまな音作りができるディレイ・プラグインなので、全力でお薦めです。ぜひ、使ってみてください!


 1980年代のディスコ・サウンドを現代に取り入れた、温故知新とも言える「Blinding Lights」。しかし、空間を幅広く使った音像や張り付いた音圧は、完全に現代のサウンドです。この手法が、フューチャーR&Bやチル・トラップで埋め尽くされたチャートの中でも、新鮮かつ今の人たちに受け入れられるヒット曲となったコツなのではないでしょうか。

 

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音楽的なディレイを施すことが可能なプラグイン、SOUNDTOYS EchoBoy。画面下段のセクションでは、EQやモジュレーションなどのより細かい調整を行うことができる

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