くじら × XFER RECORDS Serum 〜これが私の定番ソフト音源!

 現代の音楽制作に無くてはならないソフト音源。オールマイティに使えるものから特定のジャンルを象徴する製品、他者との差別化を図れる斬新な音源までそろい、まさに百花繚乱です。そうした数多くの選択肢の中から、プロの現場でリアルに重宝されているものとは何なのでしょうか? 本特集では、著名クリエイター18名に“マイ定番ソフト音源”を挙げていただき、その活用方法を語ってもらいます。

くじら

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[くじら] トラック・メイカー。2019年4月からボーカロイドを使用した楽曲をYouTubeに投稿し始める。今年の4月に発表されて、現在YouTube再生数1,500万回を超えヒットしているYama「春を告げる」では、作曲のほか作詞も手掛けた

XFER RECORDS Serum

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XFER RECORDS Serum
(18,420円/7月15日現在。為替レートにより変動)

 2016年に発売されたウェーブテーブル・シンセ。2つのオシレーター、サブオシレーター、ノイズ・ジェネレーター、フィルター、エフェクト、LFO、エンベロープ・ジェネレーターなどが分かりやすく配置されています。さらにウェーブテーブル・エディターを搭載しているので、さまざまな方法でオリジナル・ウェーブテーブルの構築が可能。テーブル・プリセットは145種類で、読み込むだけですぐに使えるプリセットを459種類、ノイズ・ジェネレーター専用ファイル(WAV)は187種類、LFOのシェイプ・プリセットは25種類収録されています。さらに各社からプリセット集が続々と発売されているので、初心者にも優しいソフトです。

 

ハリがあるのに耳に痛くないシンセ・リードは
リスナーの心をつかみたいシーンに持ってこい!

 僕が一番愛用しているソフト・シンセはSerumです。デモと本チャンの両方で使用しており、シンセ・リード、左右に振って鳴らすシンセ、音場のすき間を埋めたり音圧を上げるためのパッドまで幅広い用途に使えます。

 

 Serumの魅力は、操作性の高さと多種類のプリセット。シンセの音作りに関して深い知識がなくても、膨大なプリセットから理想の音を見付けられます。そして、ほかの多機能なソフト・シンセと比べてパラメーターの数が必要最低限なので、視認性に優れていて操作しやすいです。サブオシレーターのオン/オフや、エフェクトを通さず出力するためのDIRECT OUTボタンは、どういう機能かが一目りょう然。また、エンベロープ・ジェネレーターのカーブは、ノブのほかディスプレイ上でも調整可能。例えばアタックの意味が分からなくとも、カーブ上の点をいじるだけで音のハリや発音の強弱を調整できます。同じようにサステインも、音が伸びすぎてほかの音と混ざり濁ってしまうときに調整します。可視化された機能とディスプレイを見ながら、理想の音像を簡単に作ることができます

 

 Serumは、フューチャー・ベースやハウスなどEDM系楽曲を作る際に重宝するソフトなのではないかと思います。特にシンセ・リードの音は優秀で、“LD Clang SD”というプリセットはかわいいEDMとも相性が良く、ハリがある音なのに耳に痛くなりません。楽曲に使うと雰囲気がパッと明るくなり全体が締まります。なので、迫力のある音で心をつかみたいシーンに持ってこい! Serumは追加プリセットも豊富に発売されているので、シンセ初心者にも優しいソフトだと思います。

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Serumのシンセ・リードが派手でオケから浮いてしまった場合に、STEINBERG Halion Sonic SEのピアノ音色のプリセット“Yamaha S90ES piano”を乗せ、その上にSerumのシンセ・パッドを重ねます。そうすると音のすき間が埋まって響きが落ち着くのです

この曲で活躍!

金木犀 (feat. Ado)

金木犀 (feat. Ado)

  • くじら
  • J-Pop
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 前奏の印象的なフレーズはSerumで弾きました。耳に残りやすいように、派手な広がりのある音に少しこもったリードをオクターブ下で重ねて音に厚みを足しています。またサビでは音のすき間を埋めるために、柔らかいシンセ・コードを全体に乗せて空気感を加えています。

 

製品情報

sonicwire.com

japan.steinberg.net

 

DAWに立ち上がる“マイ名機”の使い方
これが私の定番ソフト音源!

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