現代の音楽制作に無くてはならないソフト音源。オールマイティに使えるものから特定のジャンルを象徴する製品、他者との差別化を図れる斬新な音源までそろい、まさに百花繚乱です。そうした数多くの選択肢の中から、プロの現場でリアルに重宝されているものとは何なのでしょうか? 本特集では、著名クリエイター18名に“マイ定番ソフト音源”を挙げていただき、その活用方法を語ってもらいます。
江島啓一(サカナクション)
[江島啓一]サカナクションのドラマーとして、2007年にメジャー・デビュー。2019年6月には7枚目のオリジナル・アルバム『834.194』をリリース。6.1chのサラウンドのライブを敢行するなど常に新たなパフォーマンスを追求している
NATIVE INSTRUMENTS Battery 4
NATIVE INSTRUMENTS Battery 4
(24,364円)
エレクトロニック・ミュージックの制作に最適な143のキットとモダンな楽曲に最適な70のキットを収録するドラム音源/サンプラー。タグ・ベースのブラウザで、望んでいるサウンドを簡単に見付けられます。また、外部からサンプルを読み込んでセルにレンダリングすれば、自分独自のドラム・キットも作成可能です。クラシック・サンプラーやグルーブ・ボックス・エミュレーターを含む7つのサンプル・モードを搭載。エフェクトは、NATIVE INSTRUMENTS Solid EQ、Solid Bus Comp、Transient Masterのほか、Tape Saturator、One Knob Compressorなどを収めています。
操作画面がシンプルでサンプル・レイヤーもしやすい
エレクトリックな打ち込み系音楽で本領を発揮します
主にワンショットのサンプルを加工するために使用しています。サウンドの特徴は、アコースティックなドラムよりもエレクトロニックな打ち込み系のジャンルで本領発揮する印象です。ただベロシティ・レイヤー機能もあるので、リアルな生ドラム・キットを作れるような拡張性もあると思います。総合的に見て、どこか飛び抜けて優れた機能があるというよりも、動作の軽さ、最低限の機能とシンプルなユーザー・インターフェース、実機サンプラーからのデータ移行のしやすさなど、あらゆる機能のバランスが秀逸な点が魅力です。パラメーターがどれもシンプルで操作性に優れています。サンプル・レイヤーのしやすさも、使用頻度が高い理由です。
例えばキックを作る際は、まず同じサンプルを4つ並べます。1つ目はメイン用に曲のBPMに合う長さに合わせ、2つ目はそれより少し長めに、3つ目はアタックを少し鈍らせて短くして、4つ目は少しピッチを変えてみます。それらを、踏み方でキックの音色を変えるようなドラムの感覚で、キーボードをたたき演奏します。4つとも同じサンプルなので質感の統一性は保たれつつも、押し引きが生まれます。クラップは、自分でたたいて録音した数種類のクラップをセルに1つずつアサインし、1系統のMIDI信号入力ですべてのセルが同時に鳴るようにキー・レンジを調整します。その後、各セルの音色をエディットし、そのままのサンプル、Humanizeをオンにしたバージョン、LFOでピッチを変えたバージョン、パンにモジュレーションをかけたものを用意。これにより同じ音色が2回連続で鳴ることがなくなるので、打ち込みに揺らぎを与えることができます。
この曲で活躍!
【NOW PRINTING】
現在制作している新作は、メンバー全員リモート作業で作っています。自宅でレコーディングを完結させることをコンセプトにしているので、リズム・パートの7割はBattery 4を使いました。パーカッションのパンデイロやカバサの音にリズム・マシンやサンプリング素材をレイヤーして使っています。
製品情報
XLN AUDIO Addictive Drums 2
DAWに立ち上がる“マイ名機”の使い方
これが私の定番ソフト音源!
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