REPRODUCER AUDIO Epic 55 チェック&レビュー 〜自宅のモニター・スピーカーをアップデート!

REPRODUCER AUDIO Epic 55 チェック&レビュー 〜自宅のモニター・スピーカーをアップデート!

自宅のモニター環境をアップデートしたい人向けに、IK MULTIMEDIAのILoud Micro MonitorとILoud MTM、REPRODUCER AUDIOのEpic 5とEpic 55、そしてOUTPUT Frontierという話題のモニター・スピーカー5機種をピックアップ。D.A.N.の櫻木大悟とorigami PRODUCTIONSのエンジニア藤城真人氏にチェックしてもらい、レビュー・コメントをいただいた。続いては、REPRODUCER AUDIO Epic 55への評価を見ていこう。

Photo:Hiroki Obara

REPRODUCER AUDIO Epic 55

ウーファーとパッシブ・ラジエーターを2基ずつ備え、ローエンドにも着目したミッドフィールド・モニター

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 Epic 5をミッドフィールド・モニターとして進化させたモデル。ウーファーとパッシブ・ラジエーターを2基ずつ備え、より大きな部屋で豊かなローエンド特性を発揮するという。自社開発コンポーネントやピュアなアナログ・シグナル・パスは健在。低ひずみやレスポンスの良さを特徴としている。

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自社開発の6.5インチ径パッシブ・ラジエーター。低域の増幅に使われ、もう一方のウーファー付近にも搭載されている

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横置きにも対応。製品名を配したバッジは、置き方に応じて回転させることができる

 SPECIFICATIONS 
■構成:5.25インチ・ウーファー×2+1インチ・メタル・ドーム・ツィーター(リア・チャンバー付き) ■形式:パッシブ・ラジエーター型(6.5インチ×2) ■周波数特性:40Hz~30kHz(±3dB)、35Hz~33kHz(±10dB) ■アンプ:クラスD、2×120W RMS+1×75W RMS ■EQ:HF-TRIM(2.5kHzから上を±5dB)、LF-TRIM(250Hzから下を±5dB)/いずれも1dB刻み ■外形寸法:190(W)×535(H)×320(D)mm(スパイク装着時) ■重量:14.1kg/1台 ■価格:オープン・プライス(市場予想価格:170,500円前後/1台)

 

櫻木大悟 レビュー・コメント

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 アタックや余韻がよく見え空間再現も見事 

 一番の特徴はツィーターなのかなと。高域にスピード感があって、ハイハットなどの立ち上がりがスッと耳に飛び込んできます。また音の余韻も聴き取りやすく、例えばリバーブが鳴りやむかやまないかといった部分まできちんと見える。そしてEpic 5よりも、奥行きや広がりなどの再現に優れる印象です。目を閉じて聴いていると広大な空間が感じられ、ラージ・モニターを使っているような心地。大音量時の出音の余裕にもラージ的な雰囲気があるので、ニアフィールド・モニターを超えるスケール感が楽しめるでしょう

 

 低域については、Epic 5と同様にタイトな印象。ローエンドも控えめなのですが、それだけに誇張された感じがしないため“スピーカー本来の特性なんだろうな”と、腑に落ちました。ただ、今回チェックした音量よりも上げられる気がするので、大音量時にはキックなどの量感が前に出てくるのかもしれません。だからこそ15畳以上とかの広い部屋で使った方がいいでしょうし、そういう環境で先述の空間再現力も存分に味わえるのではないかと思います。

 

藤城真人 レビュー・コメント

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 全帯域にわたり優れた過渡特性を有する 

 Epic 5と同様に全体のバランスが良いと思います。ピーク成分や人為的な音響補正が感じられず、ナチュラルに周波数レンジが広くて心地良い。また過渡特性に優れる印象で、歌の子音の立ち上がりや息遣いなどが気持ち良くモニターできます。ただしアタックが速く聴こえるようにチューニングされている感じではなく、あくまで自然。そこが一番すごいと思うところで、Epic 5からの進化が見て取れます。進化と言えば左右の広がりや定位の再現性も高く、左右に大きく振ったボーカルの位置関係などが見やすかったので、実際のミックスにおいては“どのくらいパンニングすればベストか”がうまく判断できるのではないかと思います。

 

 低域も過渡特性が良く、サブベースやサブキックの伸びから切れ際までよく見え、ローエンドのモニターが非常にやりやすい。小音量時にややおとなしく聴こえるかな?という気はしましたが、広めの部屋で鳴らすことを想定した機種だと思うので、問題になることはないでしょう。15畳くらいのスペースで仕事をする方などに適した機種だと思います。

 

櫻木大悟
2014年に市川仁也(b)、川上輝(ds)とD.A.N.としての活動を開始。ディープでメロウなバンド・アンサンブルをポストプロダクションでエレクトロニックな質感として表現し、コアな音楽ファンからも絶大な支持を受ける。今回はD.A.N.の楽曲やテクノ~モジュラー・シンセ音楽を試聴ソースとして使った

藤城真人
1991年生まれ。PAやダブ・ミックス、レコーディングなどを独自に実践した後、origami PRODUCTIONSの所属エンジニアとして活躍。Ovallやmabanua、Kan Sano、碧海祐人ら、さまざまなアーティストの作品を手掛けてきた。今回はモダンなR&B~ポップスをリファレンス音源として使用

 

製品情報