REPRODUCER AUDIO Epic 5 チェック&レビュー 〜自宅のモニター・スピーカーをアップデート!

REPRODUCER AUDIO Epic 5 チェック&レビュー 〜自宅のモニター・スピーカーをアップデート!

自宅のモニター環境をアップデートしたい人向けに、IK MULTIMEDIAのILoud Micro MonitorとILoud MTM、REPRODUCER AUDIOのEpic 5とEpic 55、そしてOUTPUT Frontierという話題のモニター・スピーカー5機種をピックアップ。D.A.N.の櫻木大悟とorigami PRODUCTIONSのエンジニア藤城真人氏にチェックしてもらい、レビュー・コメントをいただいた。続いては、REPRODUCER AUDIO Epic 5への評価を見ていこう。

Photo:Hiroki Obara

REPRODUCER AUDIO Epic 5

すべての信号伝送をアナログで行う設計により、原音忠実サウンドを突き詰めたドイツの新興機

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 ドイツの新興ブランドREPRODUCER AUDIO初の製品。リア・チャンバー付きのメタル・ドーム・ツィーターやウーファー、底面のパッシブ・ラジエーターなどコンポーネントを自社開発し、DSPを一切用いないピュアなアナログ・シグナル・パスで構成。原音の再現性を追求している。

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背面にはアナログEQのノブがスタンバイ。上の方が高域用のEQで、 2.5kHzから上を±5dBの範囲で調整可能。下の方は低域用となっており、 250Hzから下を±5dBにてコントロールできる

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カラー・バリエーションとしてホワイト・モデルも限定で8月16日から発売(市場予想価格:176,000円前後/ペア)

 SPECIFICATIONS 
■構成:5.25インチ・ウーファー+1インチ・メタル・ドーム・ツィーター(リア・チャンバー付き) ■形式:パッシブ・ラジエーター型(6.25インチ) ■周波数特性:56Hz~33kHz(±3dB)、45Hz~38kHz(±10dB) ■アンプ:クラスD、2×75W RMS ■EQ:HF-TRIM(2.5kHzから上を±5dB)、LF-TRIM(250Hzから下を±5dB)/いずれも1dB刻み ■外形寸法:190(W)×310(H)×240(D)mm(スパイク装着時) ■重量:5.2kg/1台 ■価格:オープン・プライス(市場予想価格:165,000円前後/ペア)

 

櫻木大悟 レビュー・コメント

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 中域から高域の情報量&解像度が抜群 

 中高~高域の解像度がものすごく高いという印象です。例えば、ハイハットのザラつきやシンセのフィルター・カットオフの切れ味などがよく分かるし、高音楽器のきらびやかさとかハイエンドの空気感も奇麗に見える。またツィーターの材質からか、高域も中域も安定感のあるリッチな音で、ボーカルもバシっと聴こえてきます。自分の楽曲を聴いて、歌のニュアンスの再現力などを実感しましたね。

 

 低域に関しては、キックの芯の部分が目立って聴こえる印象。一聴してタイトな感じなのですが、ボリュームを上げると低音の“圧”がしっかりと出てきます。だから、なるべく大きめに鳴らした方が楽しいんじゃないかと。ただし、ローエンドの地鳴りみたいな成分が結構出てくるので、自宅で使用する場合は何らかのケアが必要だと思います。広がりや奥行きについてはややコンパクトな印象ながら、設置の仕方などでコントロールできるかもしれません。また、先述の通り高域の解像度が高いため、リバーブのキャラクターの違いが分かりやすいと思いました。

 

藤城真人 レビュー・コメント

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 音量を絞っても緊密にバランスが保たれる 

 全体のバランスがすごく良いと思います。低域から高域までとてもナチュラルに出ていて、どこかにピークを感じることも無かったので、ミックスにばっちりの機種だなと。“すべてが見え過ぎる”といった特性ではなく、聴き疲れしない感じではあるのですが、スウィート・スポットで聴いたときの解像度が抜群。各楽器が点のようにくっきりと見え、定位なども含めて非常にとらえやすいんです。この感じだと、コンプやEQの効き具合も把握しやすいと思います。

 

 低域には無理が全く感じられず、伸びやかな印象があり、体感上は40Hz手前まで見えました。また、音量を絞ったときにも低域から中域がきちんとつながって聴こえるので、モニタリングしやすいと思います。自宅であまり大きな音が出せない場合も、ミックスがはかどるでしょう。高域はスッと上まで伸びていて、やはりナチュラル。音量を上げたときに耳に痛くなるようなことは無く、また低域がブーミーに聴こえたりもしなかったので、変化がリニアですね。この価格帯とは思えない性能を持つ、優秀なモデルだと思います

 

櫻木大悟
2014年に市川仁也(b)、川上輝(ds)とD.A.N.としての活動を開始。ディープでメロウなバンド・アンサンブルをポストプロダクションでエレクトロニックな質感として表現し、コアな音楽ファンからも絶大な支持を受ける。今回はD.A.N.の楽曲やテクノ~モジュラー・シンセ音楽を試聴ソースとして使った

藤城真人
1991年生まれ。PAやダブ・ミックス、レコーディングなどを独自に実践した後、origami PRODUCTIONSの所属エンジニアとして活躍。Ovallやmabanua、Kan Sano、碧海祐人ら、さまざまなアーティストの作品を手掛けてきた。今回はモダンなR&B~ポップスをリファレンス音源として使用

 

製品情報