Joey Pecoraro - Beat Makers Laboratory Vol.104 〜一つ一つのツールと真剣に向き合いしっかり使い倒すことをお勧めするよ

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世界の各都市で活躍するビート・メイカーのプライベート・スタジオを訪れ、トラック制作にまつわる話を聞いていく本コーナー。今回紹介するジョーイ・ペコラロは、近年人気のローファイ・ヒップホップ・シーンで活躍するデトロイトの気鋭ビート・メイカーだ。最新作『シー・モンスター』では、これまでとは異なるシンセウェーブやドラムンベースの要素を取り入れている。そんな彼の音作りの秘けつについて、細かく聞いてみよう。

Interview & Photo:Hashim Bharoocha

 

キャリアのスタート

 小さいころ、友人がサンプラーのAKAI PROFESSIONAL MPCを持っていて、よくそれで遊んでいた。最初にDAWを触ったのは16歳くらいのとき。兄がIMAGE-LINE Fruity Loops(現在のFL Studio)をダウンロードして、僕のコンピューターにインストールしたのがきっかけさ。独学だったからこそ、個性的なやり方を生み出せたんだと今思うよ。

 

影響を受けた音楽やアーティスト

 高校生のころはメタル系のバンドでギターを演奏していて、そのときに曲作りも覚えた。大学ではJ・ディラやNujabesにハマったね。最初はJ・ディラを模倣したビートを作っていて、そこから自分のサウンドを見つけていったのさ。

 

機材の変遷

 Fruity Loopsをしばらく使った後、ABLETON Liveに転向した。ライブ・パフォーマンスのオファーが入ったことが大きな理由で、Liveの方がパフォーマンスに向いているということが分かったんだ。それ以降はビート・メイキングでもLiveを使うようになった。Liveはトランスやハウスなど、ダンス・ミュージックの制作にも向いていると言えるね。

 

使用機材

 以前はiPhoneの付属イアフォンとラップトップのみで制作していた。MIDIコントローラーすら使っていなかったんだよ(笑)。だけどある程度成功することで、こうやって機材を買えるようになった。プログラミングではNATIVE INSTRUMENTS Komplete Kontrol S61、リード・シンセを録音するときはNORD Nord Lead 4を弾く。モニターはYAMAHA HS8で、色付けのない正確な音がするね。HS8で格好良いサウンドが鳴らせたら、APPLE iPhoneのスピーカーでも良い音に聴こえるはずだ。最も重要なのは、オーディオI/OのUNIVERSAL AUDIO Apollo Twin MKII。安定した動作とコンパクトさで、ライブ時も活躍している。

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ジョーイ・ペコラロのプライベート・スタジオ。DAWはABLETON Live、オーディオI/OはUNIVERSAL AUDIO Apollo Twin MKIIだ

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歌録りに使うコンデンサー・マイクのAKG C214。ギター向けのプラグイン・エフェクトNATIVE INSTRUMENTS Guitar Rig 6 Proの“Reduced Voice”というプリセットをボーカルに用いるのがお勧めだそう

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コーラス/フランジャーのHUNGRY ROBOT PEDALS The Wardenclyffe。ギターをローファイなサウンドにできる

ソフト音源やプラグイン

 ビート・メイキングを始めたときはレコードからサンプリングしていたけれど、近年はWebサービスのSpliceを使っている。愛用のドラム・サンプルが15〜20個あって、曲ごとにEQやリバーブをかけて音色を変えているんだ。サブベースはROB PAPEN SubBoomBass一択。お気に入りはARTURIAのソフト音源Mellotron Vで、ビンテージな音が良いね。チェロにはEMBERTONE Blakus Celloを用いており、本当に誰かが生演奏しているように聴こえるんだ。自分のトラックではレトロ感を演出したいから、XLN AUDIO RC-20 Retro Colorでノイズを足したりしている。最近はUNIVERSAL AUDIO UAD-2プラグインをたくさん買ったから、次のアルバムのサウンドが楽しみだね(笑)。

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サブベース用ソフト音源のROB PAPEN SubBoomBass

ハードとソフトの違い

 アナログ・モデリング・シンセのNord Lead 4は、アルバム『Deep in a Dream of You』(2019年)の全曲で使用した。それまでソフト・シンセしか扱ったことがなかったんだけど、ハードの音源から出るリッチなサウンドに感動したよ。

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アナログ・モデリング・シンセサイザーのNORD Nord Lead 4

読者へのメッセージ

 スタジオには高価なギターやキーボードがあるけれど、僕の一番の人気曲「Tired Boy」(『FRESH PACK LIVE VOL.3』収録)や、セレーナ・ゴメスに提供したリミックス「Back to You (Joey Pecoraro Remix)」は、すべてラップトップとイアフォンだけで作っている。高価な楽器や機材をたくさん持っているからと言って、良い音楽を作れるとは限らない。一つ一つのツールと真剣に向き合って、しっかり使い倒すことをお勧めするよ。

Tired Boy

Tired Boy

  • Joey Pecoraro
  • エレクトロニック
  • ¥204
  • provided courtesy of iTunes
Back to You

Back to You

  • セレーナ・ゴメス
  • ポップ
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 

SELECTED WORK

Sea Monster

Sea Monster

  • Joey Pecoraro
  • エレクトロニック
  • ¥1528

 シンセウェーブやドラムンベースなど、これまでとは大きく異なるアプローチを実践できた。1980年代のシンセ・サウンドと、自分のファンタジーな世界観を融合してみたんだ。

 

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