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“歌ってみた”を始めたい!をサポートするStudio One簡単操作の機能たち|解説:しまも

“歌ってみた”を始めたい!をサポートするStudio One簡単操作の機能たち|解説:しまも

 はじめまして。シンガー・ソングライターの“しまも”と申します。私は普段、PRESONUS Studio One(以下S1)で曲作りや配信コンテンツの制作をしていて、“歌ってみた”や弾き語りカバーなどは自らミックスまで行っています。連載初回は、歌ってみたの録音〜エディット〜ミックスにS1をどう活用しているかご紹介します。

歌の加工はどうやって?を解決するシンガー向けのテンプレート

 私がS1を使い始めたのは3年くらい前。フリーのPrime版からスタートしたのですが、“こういう曲にしたい”と思ったときに、Prime版には無い機能を必要とする場合が多かったので、今はProfessional版を購入して使っています。

 愛用の機能はソングの“スタイル”。いわゆるプロジェクトのテンプレートで、これを使うと、あらかじめコンプレッサーやEQ、リバーブなどのエフェクトをセットしたトラックが立ち上がるんです。スタイルには幾つかの種類がありますが、私は歌ってみたの制作に“シンガー/ソングライター”を使っています。S1には数多くのエフェクトが付属するものの、私は最初ボーカルを加工する際に、どのエフェクトを使えばいいのか分かりませんでした。でもシンガー/ソングライターを立ち上げて、そこにセットされているものを使ったら、やりたいことがあっという間にできるようになったんです。

新規ソング(S1ではプロジェクトを“ソング”と呼びます)を立ち上げる際に“スタイル”からさまざまなテンプレートが選べます。筆者が作曲や歌ってみたの制作に使っているのは“シンガー/ソングライター”(赤枠)

新規ソング(S1ではプロジェクトを“ソング”と呼びます)を立ち上げる際に“スタイル”からさまざまなテンプレートが選べます。筆者が作曲や歌ってみたの制作に使っているのは“シンガー/ソングライター”(赤枠)

“シンガー/ソングライター”のテンプレートを開いたところ。歌やギターを録音するためのトラックやドラム打ち込み用のトラック、エフェクト類などがあらかじめセットされていて、すぐに録音や曲作りを始められます

“シンガー/ソングライター”のテンプレートを開いたところ。歌やギターを録音するためのトラックやドラム打ち込み用のトラック、エフェクト類などがあらかじめセットされていて、すぐに録音や曲作りを始められます

 では、私なりの歌の録音方法をご紹介します。まず初歩的なこととして、空調はオフに。風の音がノイズになってしまうからです。そして“部屋の反響”が入り込まないようにマットレスを敷いたり、そばに毛布を置いたりします。反響が歌にかぶると録音後のミックス(歌とオケを合わせる作業)がやりにくくなるので、響きを抑えるための対策が大事です。反響をどうにかしたい、という方は、いろいろな歌い手さんの動画を見て研究してみるといいかもしれません。

 レコーディングに使う機材は、Windowsのノート・パソコンとオーディオ・インターフェースのYAMAHA AG06、マイクはNEUMANNのTLM 103で、ヘッドフォンはAUSTRIAN AUDIO HI-X25BTです。このHI-X25BTは、長い間スタジオ・グレードのヘッドフォンを使ったことがなかったので、手に入れたときはうれしかったですね。音が良くて重宝しています。マイクは、歌ってみたでも弾き語りカバーでも、コンデンサー・マイクが良いと思います。特に弾き語りカバーには繊細さが必要なので、自分の動画を見返すと、ダイナミック・マイクを使っていたころとは音質が全然違うなと感じます。

 映像はAPPLE iPhone 13 ProのカメラAppで撮っていて、最近のiOSに搭載されたシネマティックモードがお気に入りです。以前は一眼レフを使っていましたが、iPhoneで撮影した方が作業効率なども良いと思います。

テイクつなぎやノイズ処理も瞬時に完了する直感エディット

 歌を録る際に、私はかなりの数のテイクを録音します。例えば、Aメロだけを集中的に何度も録って、良いテイクが得られたら次はBメロを集中的に……というふうに、場面単位で録音していって後から1本につなぐのです。

歌のテイクを膨大に録ってからベストなものを選ぶのが筆者のスタイルです。画面上段が良いテイクを1本につないだ完成形で、その下に連なっているのが録りためたテイク

歌のテイクを膨大に録ってからベストなものを選ぶのが筆者のスタイルです。画面上段が良いテイクを1本につないだ完成形で、その下に連なっているのが録りためたテイク

 各テイクのつながりが悪くならないよう、ちょっと前の部分から歌うようにしていますが、より奇麗につなぐために必須なのがS1のクロスフェード機能です。つなぎたい2つ以上のテイクのオーディオ・イベント(波形)を選択し、パソコン・キーボードの“X”を押すだけで、つなぎ目が滑らかになるという簡単さ。以前はうまくつなげられなかったのですが、これを知ってからは、すごく自然に聴こえるようになりました。

テイクのつなぎ目が不自然になりがちなのは、音量のつじつまを合わせていないのが原因の一つ。つなぎたい波形を同時に選択して“X”キーを押すだけのクロスフェードは、奇麗につなぎたい人、要チェックの機能です

テイクのつなぎ目が不自然になりがちなのは、音量のつじつまを合わせていないのが原因の一つ。つなぎたい波形を同時に選択して“X”キーを押すだけのクロスフェードは、奇麗につなぎたい人、要チェックの機能です

 またリップ・ノイズなどが気になったら、その部分のオーディオ・イベントを切り出して独立させ、ゲイン(音量)を下げるというのもよく行うエディットです。

リップ・ノイズの部分だけ切り出して音量を下げれば、ノイズ処理もあっという間(赤枠)。前後のクロスフェードはお忘れなく

リップ・ノイズの部分だけ切り出して音量を下げれば、ノイズ処理もあっという間(赤枠)。前後のクロスフェードはお忘れなく

 こうした作業とともに“シンガー/ソングライター”にセットされたEQなどを調整し、自分の声のおいしいところが際立つようにします。

声のおいしい部分を強調するためのPro EQ2

声のおいしい部分を強調するためのPro EQ2

 実は、録音の際にはエフェクトをオフにしているのですが(その方が歌唱力が鍛えられると思うので)、録った後にEQやリバーブでドレスアップするのは大切。オケとのなじみを良くする意味でも欠かせませんし、このミックスの作業は私もさらに勉強していきたいと思っています。

動画は“音量の大きさ”も大事。声を前に出す+24dBゲイン

 1本の完成テイクが出来上がったら、私は毎回、オーディオ・イベントのゲインを最大値の+24dBにしています。そんなに音量を上げたら割れるんじゃないの!?と思いきや、 シンガー/ソングライターにはコンプレッサーやリミッターといった音量制御系のエフェクトがセットされているので、大丈夫なんです。2ミックスを書き出す際に“クリップ(音割れ)していますよ!”といったアラートも出てきません。これはもともと、超有名な歌い手さんがやっていらした手法で、自分もまねしてみたところ仕上がりが格段に良くなりました。声がしっかりと前に出てくるんです。オケとのバランスが悪くなったときは、イベントのゲインではなくフェーダーを下げるようにしています。

1本につないだ完成形のボーカルは、ゲイン(音量)を+24dBにするのが歌ってみたで映える秘けつ。これによりハードなコンプレッションがかかり、ボーカル・サウンドにガッツが出ます。オケとのバランスが悪いと感じたら、フェーダーを下げましょう

1本につないだ完成形のボーカルは、ゲイン(音量)を+24dBにするのが歌ってみたで映える秘けつ。これによりハードなコンプレッションがかかり、ボーカル・サウンドにガッツが出ます。オケとのバランスが悪いと感じたら、フェーダーを下げましょう

 YouTubeなどを見ていてよく思うのは“音量って、すごく大事”ということ。音量が少しでも大きい時点で、ほかの動画よりも魅力的に映る気がします。もちろん、音質が悪くて音だけ大きいというのは聴きづらいと思いますが、動画を再生したときにドーンって来る方が、音量の小さな動画よりもダイレクトに心へ訴えかけるでしょう。ここまでの作業を終えたら、2ミックスをiTunes for WindowsでiPhoneに転送し、無償の動画編集アプリBYTEDANCE CapCutで音声と映像を合わせて完成です!

iOS/Android対応の無償動画編集アプリ、BYTEDANCE CapCutで映像と音声を合わせているところ。BYTEDANCEはTikTokなどを手掛けるベンダーです

iOS/Android対応の無償動画編集アプリ、BYTEDANCE CapCutで映像と音声を合わせているところ。BYTEDANCEはTikTokなどを手掛けるベンダーです

 私は機械を操作するのが苦手なんですけど、S1なら歌ってみたや弾き語りカバーを始めてみたいDTMビギナーの方でも操作しやすいと思います。また、私はS1を使い始めてから音質も作業効率も断然良くなりました。YouTubeのコメントで視聴者の方から“音質がめちゃくちゃ良くなった”って褒められることも増えたんです!

筆者が歌ってみたなどの制作にも活用している機材群。Windowsノート・パソコンから反時計回りにYAMAHA AG06(オーディオ・インターフェース)、NEUMANN TLM 103(コンデンサー・マイク)、AUSTRIAN AUDIO HI-X25BT(ヘッドフォン)

筆者が歌ってみたなどの制作にも活用している機材群。Windowsノート・パソコンから反時計回りにYAMAHA AG06(オーディオ・インターフェース)、NEUMANN TLM 103(コンデンサー・マイク)、AUSTRIAN AUDIO HI-X25BT(ヘッドフォン)

 これから歌ってみたなどにトライしたい方は、私のようにまずはS1のテンプレートを使って、イメージを素早く形にしてみてはいかがでしょうか?

 

しまも

【Profile】宮城県出身のシンガー・ソングライター。YouTube、Twitter、TikTokなどのSNSフォロワーが計150万人を超え、『SUMMER SONIC 2019』『YouTube Music Weekend』などの大型イベントに出演する一方、YouTube LIVEなどでリクエストを即興で弾き語りするなど、多方面で活躍。代表曲「YOU」はTikTokで5億回再生を超え話題に。『TikTok Spotlight Audition』優勝。『Billboard TikTok年間楽曲ランキング2019』2位獲得。

【Recent work】

『シンシアリー』
しまも
(shimamo Records)

 

PRESONUS Studio One

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LINE UP
Studio One 5 Professional 日本語版:42,900円前後|Studio One 5 Professional クロスグレード日本語版:35,200円前後|Studio One 5 Artist 日本語版:11,000円前後|Studio One Prime:無償
※いずれもダウンロード版
※オープン・プライス(記載は市場予想価格)

REQUIREMENTS
▪Mac:macOS 10.13以降(64ビット版)、INTEL Core I3プロセッサーまたはAPPLE Silicon(M1チップ)
▪Windows:Windows 10(64ビット版)、INTEL Core I3プロセッサーまたはAMD A10プロセッサー以上
▪共通:4GB RAM(8GB以上推奨)、40GBハード・ドライブ・スペース、インターネット接続(インストールとアクティベーションに必要)、1,366×768pix以上の解像度のディスプレイ(高DPI推奨)

製品情報