Neutral - Fumitake Tamura × ARTURIA ARP2600 V 〜これが私の定番ソフト音源!

 現代の音楽制作に無くてはならないソフト音源。オールマイティに使えるものから特定のジャンルを象徴する製品、他者との差別化を図れる斬新な音源までそろい、まさに百花繚乱です。そうした数多くの選択肢の中から、プロの現場でリアルに重宝されているものとは何なのでしょうか? 本特集では、著名クリエイター18名に“マイ定番ソフト音源”を挙げていただき、その活用方法を語ってもらいます。

Neutral - Fumitake Tamura

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[Fumitake Tamura(写真左)]プロデューサー。ヒップホップ、エレクトロニカ、ダブ、ジャズ、ドローンを独自に昇華した音楽が持ち味。AOKI takamasaとのユニットNeutralでの活動も行っている

ARTURIA ARP2600 V

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ARTURIA ARP2600 V
(149ドル)

 セミモジュラー・シンセのARP 2600のモデリングで、3つのオシレーターを搭載しており、ノコギリ波、矩形波(またはパルス波)、三角波、サイン波を使用可能。フィルターはARP 2500をモデルに、ローパス・フィルター(12dBもしくは24dB/oct)、ハイパス・フィルター(12dB/oct)、バンドパス・フィルター(12dB/oct)、ノッチ・フィルターが使用できます。音色プリセットを500以上収録。また、ARP 1601をモデリングしたシーケンサーも搭載しているなど、ARPのさまざまなモデルの機能を柔軟に取り入れています。メイン画面の下に収納されたバーチャル・キーボードを使用して、音を鳴らすことも可能です。

 

オシレーターの特性を生かした芯のあるサウンド
ヒス・ノイズが乗ってしまっても魅力的に聴こえます

 僕は楽曲制作でよくサンプリングをします。その際にレコードの音やCDの音源をサンプリングすると、音の厚みや立体感が足りないことが多々ありました。そこをプラグイン・エフェクトのみで補うのは難しかったので、アナログ・シンセをいろいろ試した後、セットアップが手軽なARP2600 Vにたどり着きました。プリセットから音色を選べばパッチングが次々に入れ替わる点や、スライダーを動かしたりすることで音色の変化を目で確認しやすいのが魅力的です。

 

 ARP2600 Vはアナログ・シンセARP 2600のエミュレーションで、複雑なレイヤーを持った現代的な音色ではなく、オシレーターの音色を生かしたシンプルで芯のあるサウンドが特徴です。存在感のある音なので、オケで前に出したいシンセ・リフなどで力を発揮します。また、生楽器のアンサンブルと相性が良いのも特徴。カセット・テープを通してマスタリングするなどのローファイ処理でヒス・ノイズが乗ってしまっても、魅力的なサウンドに聴こえます。

 

 実際に使用するときの手順としては、前に出したいパートがあるときに、DAW上のMIDIノートでトリガーしつつ、イメージとマッチしそうなプリセットを探します。選んだら、曲に合うように無駄な音をカット。ここでよく使うのがフィルターで、ローパスさせて音をこもらせます。フィルターやエンベロープ・ジェネレーターは内蔵のものを使用し、ディレイやリバーブはプラグインなど外部のエフェクトを使うことが多いです。内蔵エフェクトの中ではコーラスが好きで、深めにかけてピッチを大きく揺らすと、柔らかい質感で少しトリッキーなサウンドにすることができます

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SOUND TOYS MicroShift。内蔵のコーラスでシンプルにピッチを揺らした後、さらに音を左右になじませながら広げたいときに使用します。ほかにも、深めにかけて曲全体のムードをけん引していくような音作りに必要不可欠です

この曲で活躍!

 メインのシンセ・パッドは存在感がありつつ幽玄な雰囲気にしたかったので、ARP2600 Vを使用しました。その音をIK MULTIMEDIA Vintage Compressorで−1dBほどコンプレッションしています。 少しだけサチュレーション効果とコンプ感が欲しかったので使いました。

 

製品情報

beatcloud.jp

www.arturia.com

www.minet.jp

 

DAWに立ち上がる“マイ名機”の使い方
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