現代の音楽制作に無くてはならないソフト音源。オールマイティに使えるものから特定のジャンルを象徴する製品、他者との差別化を図れる斬新な音源までそろい、まさに百花繚乱です。そうした数多くの選択肢の中から、プロの現場でリアルに重宝されているものとは何なのでしょうか? 本特集では、著名クリエイター18名に“マイ定番ソフト音源”を挙げていただき、その活用方法を語ってもらいます。
食品まつり a.k.a foodman
[食品まつり a.k.a foodman]名古屋出身のビート・メイカー。さまざまな国内アーティストとのコラボのほか、Boiler Room、Low End Theoryへのイベント出演、ディプロ主宰のMad Decentからのリリースなど幅広く活動している
ABLETON Simpler
ABLETON Simpler
Live 10 Suite(73,455円)/Live 10 Standard(44,364円)/Live 10 Intro(9,819円)に付属
Simplerは、DAWソフトウェアのABLETON Live 10に付属するソフト・サンプラー。先述の“Classic”ボタン、“1-Shot”ボタン、“Slice”ボタンで切り替えられる3種類のモードを搭載し、サンプルの再生や細かい調整が行えます。Classic再生モードでは、画面最下段にFilterセクション/LFOセクション/エンベロープ・セクションとボリューム・ノブが出現します。1-ShotとSlice再生モードでは、同じ場所にFilterセクション/LFOセクション、そしてフェード・イン/アウト・ノブやトランスポーズ・ノブ、ベロシティとボリューム設定ノブが表れます。画面右上にある“Controls”タブを選択すると、フィルターやエンベロープ、パンニングなどの設定も可能です。
ドラッグ&ドロップでサンプル素材を読み込み
すぐにアイディアを形にできる万能ソフト・サンプラー
ABLETON Liveにはさまざまなソフト音源やプラグインが付属していますが、とりわけSimplerは名前の通りシンプルかつ、汎用性の高い万能ツール。ドラッグ&ドロップで簡単にサンプル素材を読み込ませることができるので、音楽制作を始めた当時の僕でもすぐにSimplerを扱えた記憶があります。
僕はあらゆる音楽ジャンルの制作においてSimplerを使用しているのですが、楽曲中では特にリズミカルなパートやパーカッションなどに用いることが多いです。例えば、コンガ、ボンゴ、ボイス、FX系音色のサンプル素材を読み込んでリズムを打ち込んだり、あるいはMIDIキーボードを使ってメロディを奏でるのもいいでしょう。
画面左端には上から、読み込んだサンプル素材をループ再生する“Classic”ボタン、ワンショットで再生する“1-Shot”ボタン、そしてサンプル素材を自動解析してスライスする“Slice”ボタンを搭載。個人的に好きなのは、この“Slice”ボタンです。分割されたサンプル素材は、自動でMIDIキーボードにマッピングされるのも便利。ブレイクビーツはもちろん、ギターやピアノなどのサンプル素材を読み込ませ、新しいリズム・パターンやフレーズを作るのが面白いですね。またコップをたたいた音などをスマートフォンで録音してSimplerで再生したり、画面左下のFilterノブでオートメーションを描いたりすることも。とにかくSimplerの操作は簡単なので初心者にもお薦めです。CPU負荷も少ないので、すぐにアイディアを形にしたいときなどにSimplerを使うのもいいでしょう。
この曲で活躍!
2018年9月リリースのアルバム『ARU OTOKO NO DENSETSU』1曲目に収録された「KAKON」は、リム・ショット1つで作った曲。Simplerにリム・ショットのサンプル素材を読み込ませてピッチを変えたり、パンニングやディレイを施して変化を付けています。展開が単調にならないような工夫をしていますので、ぜひ一度聴いてみてください。
製品情報
ABLETON Live 10(※写真はSuite)
Live 10 Suite(73,455円)/Live 10 Standard(44,364円)/Live 10 Intro(9,819円)
DAWに立ち上がる“マイ名機”の使い方
これが私の定番ソフト音源!
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