現代の音楽制作に無くてはならないソフト音源。オールマイティに使えるものから特定のジャンルを象徴する製品、他者との差別化を図れる斬新な音源までそろい、まさに百花繚乱です。そうした数多くの選択肢の中から、プロの現場でリアルに重宝されているものとは何なのでしょうか? 本特集では、著名クリエイター18名に“マイ定番ソフト音源”を挙げていただき、その活用方法を語ってもらいます。
Neutral - AOKI takamasa
[AOKI takamasa(写真右)] 電子音楽アーティスト。2001年PROGRESSIVE FOrMよりデビュー。近年はサカナクションとのコラボ、raster-notonやVHS Recからのリリースのほか、Fumitake TamuraとともにNeutralとしても活動
U-HE Repro-1
U-HE Repro-1
(16,600円)
名機のアナログ・サウンドを再現したモノフォニック・シンセ。組み合わせ可能なノコギリ波/矩形波とノコギリ波/三角波/矩形波の2種類からなる2オシレーターを用意。ホワイト・ノイズ・ジェネレーター、エンベロープ・ジェネレーター(ADSR)、カーブ・トリマー、4ポール・レゾナント・ローパス・フィルター、32ステップ・シーケンサー2つを搭載しています。Tweakモードを選択すると、さらにパラメーターを細かく設定でき、LFOはノコギリ波/三角波/矩形波のコンビネーションも可能です。エフェクトはウェーブ・フォルダー/ディストーション、ディレイ/コーラス、EQ/リゾネーター、リバーブ、ソニック・コンディショナー/ダイナミック・プロセッサーを用意。
プリセットは低域から高域まで密度の高いサウンド
粒立ちが良くダイナミックな音で存在感を放ちます
Repro-1の魅力は、音の良さと豊富なプリセットです。どのプリセットも低域から高域まで高密度で、粒立ちが良くダイナミックな音なので存在感を放ちます。ベースに使うことが多いですが、シンセ・リードでも力を発揮するでしょう。どのプリセットも使いやすく、中でも“EH Sub Kiss Bass”というプリセットは、キックとベースが混じったような独特の音にエディットできます。
ライブやコラボレーションのときには、複数のハードウェア・シンセを持ち運ぶのが困難です。そんな状況で密度のある音が必要な場合、Repro-1で低音の存在感を高めたり補ったりできるので便利だと思います。ハードウェアの音の存在感は素晴らしいですが、録音方法や環境によってはその良さをすべてオーディオ・ファイル化できない場合もありますね。Repro-1は音質劣化が少ない点も魅力で、デジタル・データとしてバウンスする際にも心配なく行えます。
僕はよくソフトウェアとハードウェアなど、音の質感と密度に差のある素材を組み合わせてリズムを構築します。いろいろな質感と密度の音を交互にタイミング良く鳴らすことで、自分好みのうねりを作るのです。この手法を用いれば、ミックス時のプラグイン・エフェクトを最小限に抑えることができます。音色の処理については、Repro-1のフィルターで密度感をコントロールするのが肝。ほかにも、画面右上にHQ(High Quality)というボタンがあります。ONにするとCPU負荷がかなり高くなるのですが、音が粒立って存在感が出るので、自分が持っているCWEJMAN S1 MK2などのハードウェア・シンセに匹敵するサウンドに変わるのが素晴らしいです。
この曲で活躍!
サブベースにRepro-1を使いました。キックはJOMOX MBase 01を使用し、ときどき出てくるベース・ラインはKORG Z1とCWEJMAN BLDの音を組み合わせて作っています。これら密度の違う音をブレンドしてつないでいくためのサブベースです。
製品情報
DAWに立ち上がる“マイ名機”の使い方
これが私の定番ソフト音源!
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