パラレル・コンプでベースにほのかな広がり感を与える!

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サンレコのエンジニア・インタビューなどでも、たびたび登場する“パラレル・コンプ”なるテクニック。ドラム・ループへの処理に続いて、エレキベースの音作りを見ていきましょう。

連動音源について:各ソースの処理後の音(=“原音+パラレル処理の音”の記載がある音例)は原音と聴感上の音量をそろえ、ビフォー/アフターの差異が分かりやすいようにしています。またパラレル処理のエフェクト音は、原音に対するバランスのまま書き出しています。

エレキベースへのパラレル・コンプを解説

 次はエレキベース。サチュレーターや低域エンハンサーを挿して音作りしたものの、もう少し安定感が欲しかったのでEMPIRICAL LABS Distressor EL-8でパラレル・コンプしています。

EMPIRICAL LABS Distressor EL-8  Compressor |低域が立つ

 DistressorにはEL-8とEL-8Xの2種類があり、いずれも低域の存在感が目立ってくるのですが、EL-8Xの方が少しだけ高い帯域に作用する印象。普段はドラムにEL-8X、ベースはEL-8というふうに使い分けています。

 また僕はDistressorを2台ペアで用意し、あらゆる音をステレオでセンド&リターンしています。シリアル・ナンバー連番と言えど2台のユニットにごくわずかな差異があるからか、モノラルのトラックにもほのかな広がり出て、ベースの場合は“裾野”みたいなものが付されます。これにより鳴りが安定しますし、存在感も出てくるため“元のトラックを上げると浮き気味になるけど、下げたら聴こえづらくなる”といった場合にも有効です。

 設定はレシオ20:1で、アタック・タイム速め、リリース・タイム最速。ゲイン・リダクションは平均-3dBほどなので、アタックが少しつぶれるくらいのかかり方です。

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100Hz以下が立ってくるよう照準を合わせて設定している

SOUNDTOYS Decapitator  Distortion 

 さらにパラレル・ディストーションを加えています。使用したエフェクトは2種類で、SOUNDTOYS DecapitatorPLUGIN ALLIANCE Brainworx BX_Greenscreamer。丸ごとひずんだ音が欲しかったので前段のフィルターは無しですが、ビリビリした成分を抽出するために後段でフィルターをかけました。

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ベースの音が少しゴツっとした感じになるよう音作り

【特集】パラレル・コンプ、炸裂!

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解説:福田聡
【Profile】フリーランスのレコーディング/ミキシング・エンジニア。ファンクやR&Bといったグルーブ重視のサウンドを得意とし、堂本剛のプロジェクトENDRECHERIやK、オーサカ=モノレール、リベラル、WAY WAVE、Shunské G & The Peas、Keyco、マーサ・ハイらの作品を手掛ける。

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連動音源提供アーティスト:Keyco
【Profile】本特集の連動音源にもなった「Freedom Ride」は、シンガー・ソングライターKeycoの楽曲。ネオ・ソウルを軸にさまざまなフィールドで活躍する彼女は、2020年にメジャー・デビュー20周年の記念アルバム『あいいろ』をリリース。椎名純平、COMA-CHI & CHAN-MIKA、PUSHIMなど多彩なゲストを迎え、ソウル~R&B~ダンス・ミュージックを吸収した独自の世界を作り上げている。「Freedom Ride」は『あいいろ』の2曲目に収録。

編集部便り〜パラレル・コンプT、発売中!

サンレコ編集部プロデュース“パラレル・コンプTシャツ”

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