X1Sは、重厚感があり、クリアとウォームの中間的サウンドで録音できます。アタックは遅めでほんの少しエッジがあるので、バラード調のJポップ、ジャズ、R&Bなどのボーカルに合いそうです。5〜18kHz辺りまで全体的にブーストされていますが、キンキンせず若干マットな質感です。特に中域にアナログ感があり、きめ細かい奥行きも感じます。また、80/160Hzのローカット・フィルターと−10/−20dBのPADスイッチで調整も可能です。
感度も最大SPLも高めなので、大小幅広い音を収録できます。プロ用録音ブースでも、吸音してデッドにした家の部屋でも活躍するでしょう。EQで5kHzくらいをブーストしてみましたが、劣化することなく抜けの良い声に処理できました。中音域付近の細かいニュアンスを収録できるのが特徴なので、リバーブなどで広げるとすぐさまR&B感が出ます。オフマイクで録音してもしっかりと空気感を収録できますし、子音が軽減されているため歌いやすそうです。男性ボーカルの場合も、分厚い芯のあるマットな声で録音できると思います。アコギの弾き語りをX1S1本で収録してみたり、ドラムのアンビエンスや、キックのオフマイクとしても立ててみたいです。
【yasu2000】big turtle STUDIOSのレコーディング/ミックス・エンジニア。origami PRODUCTIONS所属のアーティストのほか、あいみょんなどを手掛けている
【さらさ】湘南出身のシンガー・ソングライター。音楽活動以外にも、美術作家、古着ブランドの バイヤー、フォトグラファー、フラダンサーとマルチに活動の場を広げる
SE ELECTRONICS X1S
25,300円
SPECIFICATIONS
■指向性:単一指向 ■周波数特性:20Hz〜20kHz ■感度:30mV/Pa(−30.5dBV) ■出力インピーダンス:125Ω ■外形寸法:58(φ)×169(H)mm ■重量:445g(マイク本体)