EQとコンプのプラグインは、最新のデジタルからビンテージのアナログ機材をモデリングしたものまで、非常に多くの製品がリリースされています。しかし、その中から自分に最適なものを選ぶのは、とても難しいことですね。この特集では、ミックス・エンジニアのyasu2000氏がEQとコンプの多彩な組み合わせ方を、音源と併せて紹介。プラグインそれぞれの特性を生かし、あなただけの音作りを叶える最強コンボについて考えてみましょう!
最後に、ゲストとしてSUI、林田涼太の両氏に、お勧めのコンボを紹介していただこう!
【赤文字】色付けの強いプラグイン
【青文字】無色/色付けの少ないプラグイン
Guestエンジニア:SUI
コンボ for キック
★プラグイン・チェイン - 2 Combo!
FABFILTER Pro-Q3
(赤枠)楽曲のキーに合わせたポイントでゲインを上げます。その際に画面下の鍵盤と、ポイントごとに表示されるピッチを確認しながら、耳でも不協和音になっていないかをチェック!
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UNIVERSAL AUDIO UAD-2 1176
クリーンな質感のEQで楽曲に合わせたトーンを作り
多少味付けのあるコンプで引き締めていく
まずはクリーンな質感のFABFILTER Pro-Q3で50〜200Hzの間の芯となる周波数が、楽曲のキーと不協和にならないように調整します。不協和音であればそこをカットして、逆にキーの帯域を突きましょう。ここで楽曲の音像に必要なトーンを整えてから、コンプで引き締めます。
次に多少味付けもできるUNIVERSAL AUDIO UAD-2 1176で、音が鳴る前半と後半の形を整えます。レシオを8に設定するとコンプレッション後に抜けてくる音が中低域に寄る傾向があるので、音の重心が下がるという効果が得られます。太いキックやベースが欲しいときにはこの設定がお勧めです。また、低域が多過ぎてボワっとしているキックや胴鳴りが太過ぎるスネアなどは、EQよりもコンプで引き締める方が効果的な場合も多くあります。さらに仕上げでコンプ後にPro-Q3を使うと、より立体的なシェイプが作れます。2種類を深く使いこなすのは、短い時間でイメージ通りの音を作れるのがメリットです。
SUI
【Profile】作曲、トラック・メイクからボーカルのディレクション、ミックス・ダウン、マスタリングまで手掛ける作家/プロデューシング・エンジニア。近年は劇伴やCM音楽にも活躍のフィールドを広げつつある
Guestエンジニア:林田涼太
コンボ for マスター
★プラグイン・チェイン - 3 Combo!
PLUGIN ALLIANCE Elysia Museq
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WAVES Maserati GRP
グループ・トラックへのインサートを想定して7種類のタイプを用意。Masterボタンに含まれているセットはものすごく使えて、反則級に素晴らしいのでお薦めです!
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NUGEN AUDIO ISL 2 | True Peak Limiter
EQで全体の雰囲気作りをM/Sで行い
チャンネル・ストリップで明るさ調整を行う組み合わせ
最近のマイブームで、マスタリング的な処理も付け加えてミックス・ダウンするときのマスター・トラック用の組み合わせです。ジャンルを問わずに使えますが、ロックな音楽性の方が向いているかもしれません。M/S処理のできるElysia Museqで10kHz以上を持ち上げると、ほかのEQにはないスカーッと晴れわたる透明感みたいなニュアンスが出ます。次段にインサートするWAVES Maserati GRPはEQとコンプを組み合わせたチャンネル・ストリップのようなプラグイン。デジタルのアウトプット・メーターが付いていないのが気になりますが、ワンノブでの操作は初心者の方でも行いやすいはずです。最後にNUGEN AUDIO ISL 2 | True Peak Limiterでトゥルー・ピークを取ります。薄くかければほぼ無色透明なかかり具合が良いです。
林田涼太
【Profile】いろはサウンドプロダクションズ代表。録音/ミックス・エンジニアとして、ロックからレゲエ、ヒップホップとさまざまな作品を手掛ける。シンセにも造詣が深く、9dwのサポート(syn)としても活動
特集「EQ&コンプで作る最強コンボ」
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