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Live 10 Suite付属インストゥルメント&エフェクト 〜Ableton Live 10 Suiteの知らざれる真価(1)

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ベルリン生まれのAbleton Liveは、その直感的な操作性からダンス・ミュージックやロックなど、国内外の幅広い音楽シーンのクリエイターに愛されているDAWソフトウェア。2018年にはバージョン10へとメジャー・アップデートし、現在はIntro/Standard/Suiteの3つのエディションが存在する。それぞれ機能や付属のソフト音源、プラグイン・エフェクト、Packと呼ばれるサウンド・ライブラリーなどが異なるのだが、この企画ではその中でも最上位に位置するLive 10 Suiteの魅力についてより深く掘り下げてみよう。案内してくれるのは、アレンジャー/エンジニアの草間 敬氏。また後半にはプロ・クリエイター4人によるLive 10 Suiteのおすすめツールも紹介しているので、ぜひ参考にしてみてほしい。

監修/解説:草間 敬

Live 10 Suite付属インストゥルメント&エフェクト

 最上位エディションのLive 10 Suiteでは、すべてのAbleton純正インストゥルメントとプラグイン・エフェクトが使用可能。実際Live 10 SuiteとLive 10 Standardに付属するソフト音源=インストゥルメントの数を比べるとLive 10 Suiteの方が10個多く、オーディオ用プラグイン・エフェクトでは21個も多く同梱しています。代表的なLive 10 Suite付属インストゥルメントは、WavetableをはじめAnalog/Operator/Electric/Collision/Tension/Samplerなどのソフト・シンセやサンプラー、プラグイン・エフェクトでは空間系のEcho/Corpus、ひずみ系のAmp/Cabinet/Pedalなどがありますが、ここでは特に多くのLive 10 Suiteユーザーから評価が高いものを中心に紹介していきましょう。

 

Wavetable [Instrument]
モジュレーション・マトリクスを備える ウェーブテーブル・ソフト・シンセ

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 Wavetableはその名の通り、近年はやりのウェーブテーブル・ソフト・シンセ。ウェーブテーブルとは、オシレーターにアサインしたサンプル波形の再生位置を変調させることで特徴的なサウンドを生み出す音源方式のことです。WavetableがLiveに登場したのは2018年ごろなので、全体的に既発の他社製ウェーブテーブル・ソフト・シンセの長所をうまく取り入れているように感じます。

 

 Wavetableはオシレーター×2基とアナログ・モデリングのフィルター×2基、モジュレーション・マトリクスを装備。また200種類以上の波形を内蔵しており、どれも洗練されたサウンドです。好きな見た目でもいいので、試しにどれか1つの波形をオシレーターにアサインし、オシレーター画面右側にある“波形位置”スライダーを上下させてみましょう。アナログ・シンセとは一味違った音作りが行えます。

 

 好きなオーディオ・サンプルをオシレーター画面にドラッグ&ドロップすることで、ウェーブテーブルとして使用することも可能です。これは単なるサンプリングではなく、読み込んだオーディオ・データから特徴的な波形部分を選別してウェーブテーブル化してくれる機能。ぜひいろいろな素材で遊んでみてください。

 

 オシレーター画面左下にある“エフェクトモード”ではFM/Classic/Modernの3モードが選べ、それぞれ複雑な倍音を付与したいときに重宝します。またWavetable画面左端にある“Sub”ボタンを押すと、基音あるいは1、2オクターブ下のサブ・べースを追加することが可能。ウェーブテーブル・シンセは倍音が豊かな分、ローエンドが希薄になりがちなので、ぜひこの機能も活用してみてほしいです。

 

 そのほかにもWavetableには、先述したように5種類から選べる2基のフィルターや、視覚的に分かりやすいモジュレーション・マトリクス、そして簡単に厚みを得られる6種類の“ユニゾンモード”もあり、どれもとにかく使いやすいの一言。普段のソフト・シンセとして使うのもまた楽しいでしょう。

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Wavetableの拡張ビューでは、搭載されたすべてのパラメーターを一目で確認可能。画面下段中央にはモジュレーション・マトリクスを備え、任意のパラメーターをクリックするだけでマトリクスに追加でき、モジュレーションを施せる

Operator [Instrument]
ひずみも付加できるFMシンセ

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 OperatorはFM音源方式を採用したソフト・シンセ。4基のオシレーターそれぞれに、エンベロープ/LFO/フィルター/ピッチ・エンベロープを1基ずつ備えています。オシレーター波形は22種類で、アナログ・モデリングのフィルターは5種類、フィルターのカーブ・スロープは12/24dBから選択可能です。多くのパラメーターはオートメーションが行え、FM音源らしからぬ有機的なシンセ・サウンドを生成することもできます。

 

 個人的には、画面右下にあるSpread/Time/Toneをフル活用。これらのパラメーターは音色変化が分かりやすいため、さまざまなプリセットを試聴するときなどに、それらが曲にハマるかどうかを判断するのにも役立ちます。

 

 また“音が細いな”と感じたら、“Flt. Drive”を上げてみましょう。これはフィルターの種類をデフォルトのClean以外に設定すると現れるパラメーターなのですが、いわゆるサチュレーションのようなひずみを付与できるので、太い音が作れます。

 

 最後に、搭載する4基のオシレーターをすべて無理に使う必要はない、ということも付け加えておきます。普通にオシレーター2基でもバリエーション豊かな音作りができるので、あまり深く考え過ぎずに、まずはいろいろ触ってみるとよいでしょう。チップチューン風の音作りにも、Operatorは威力を発揮します。

 

 “FM音源”というとその音作りは難しい印象がありますが、OperatorではFM音源らしい“透明感のあるサウンド”が簡単に得られてしまいます。その部分が、LiveユーザーにOperatorファンが多い理由なのかもしれません。

 

Echo [Audio Effect]
リバーブやモジュレーション搭載の多彩なディレイ

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 Live 10 SuiteにはDelay/Filter Delay/Grain Delayなど幾つかのディレイが付属していますが、中でもEchoはテープ・ディレイを踏襲したディレイ・プラグイン。よくディレイの良さは“ディレイが減衰する過程における音色変化にあり”と言われますが、Echoはこの“変化”を作るためのパラメーター=モジュレーションやゲート、ノイズ、ダッキングなどを豊富に備えています

 

 コーラスやフランジャーなど“位相をモジュレートしたエフェクトはディレイから作られる”というのをご存じの方も多いでしょう。これらはModulation画面で再現可能です。またコーラスは抑えめにし、フィードバックは0、ディレイ・モードは“Sync”から“Time”へ、ディレイ・タイムは最小の1msにすればテープ・シミュレーターとしても使えます。さらに、画面左下には“D”と表示された“クリップドライ”ボタンを搭載。これは、入力信号のドライ側にサチュレーションを加えられるので便利です。

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画面再上段にあるModulationタブをクリックすると、Modulation画面(左下)が現れる。ディスプレイにはモジュレーションの波形を表示することもでき、マウスでドラッグすることによって直感的に波形や変調周波数を変更することも可能だ

 個人的によく使うパラメーターは、画面右上にあるリバーブ。ディレイにリバーブをかけて存在感を抑えるというアプローチをよくやっていたのですが、Echoではこれ一つで完結します。まさにEchoは一言では表せない、多彩なエコー・プラグインです。

 

Sampler [Instrument]
ピッチ・エンベロープ内蔵のマルチソフト・サンプラー

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 マルチサンプルが扱えるソフト・サンプラー。Liveに付属するもう一つのサンプラーSimplerとは違い、画面最上段にあるタブを切り替えることでオシレーターなどが扱えます。ちなみに後述するLive Packのライブラリーは、ほとんどこのSamplerで作られています。

 

Collision [Instrument]
打楽器の特性をシミュレートするソフト・シンセ

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 物理モデリングのソフト音源を制作するブランドAASとの共同開発によって生まれたソフト・シンセ。LFO×2基とレゾネーター×2基を備えています。“たたいて共鳴させる”という打楽器の特性をシミュレートしているため、マリンバやシロフォン、グロッケンシュピールなどのパーカッシブな楽器の再現が得意です。

 

Electric [Instrument]
エレピ・サウンドに特化したソフト音源

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 Collisionと同様に、ElectricもAASとの共同開発で誕生した物理モデリングのソフト音源。RHODESやWURLITZERのようなエレピ・サウンドに特化しています。またCPU負荷がとても低いので、僕の場合、新規セッションではデフォルトでElectricが立ち上がるように設定しています。

 

Tension [Instrument]
あらゆる弦楽器サウンドを再現するソフト・シンセ

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 弦を“こする/たたく/弾く”際に生じるサウンドを物理モデリングするソフト・シンセ。こちらもAASとの共同開発です。ストリングスからギター、ピアノまで、あらゆる弦楽器のサウンドを得意とします。メインのString画面では、見慣れない名称のパラメーターもあるので難しいと感じるかもしれません。まずは、画面左上にある“EXCITATOR”セクションだけで音作りしてみるとよいでしょう。

 

Pedal [Audio Effect]
3種類のひずみを備えるプラグイン

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 ギター・ペダルをイメージしたディストーション・プラグイン。画面中央にある“OD/Distort/Fuzz”から、3種類のひずみを選択することができ、それらの下部にあるEQで簡単な調整が行えます。さらに最下段にある“Sub”では低域のブーストができ、ひずませ過ぎて低域が損なわれてしまった場合などに重宝するでしょう。激しいひずみだけでなく、軽くサチュレーションを施したいときにも使えるプラグインです。

 

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監修/解説
草間 敬

【Profile】アレンジャー/エンジニア/シンセ・プログラマー。AA=、RED ORCA、SEKAI NO OWARI、BIGMAMA、MAN WITH A MISSIONなどの作品やライブに携わる。Ableton認定トレーナー。

【Recent Work】

Wild Tokyo

Wild Tokyo

  • RED ORCA
  • ロック
  • ¥1833

 

Live 10 Suite 製品情報

www.ableton.com/ja/

ABLETON Live 10 Suite

80,800円(税込)

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