今回、僕はこの記事全体を書くにあたってLive 10 SuiteとLive 10 Standardの差額と、Live 10 Suiteに付属のツールやPackと同様の機能を持つサード・パーティ製プラグインの大体の価格と比較してみたのですが、Live 10 Suiteを購入した方が差額以上の価値があるということが分かりました。もし今回の記事で興味を持った方は、ぜひLive 10 Suiteの購入を検討してみてはいかがでしょうか? 最後はMax for Liveの上級編。もちろん、ここで紹介する2つのPackもLive 10 Suiteに付属しています。
監修/解説:草間 敬
Live 10 Suite付属 Max for Live Pack その4
Probability Pack
正確なリズムとフレーズのループが、DAWも含めたコンピューター・ミュージックの特徴であり長所でしょう。しかし“次も来るかな? いや来ない”というような、聴いている側がわくわくする“不確実性”が欲しくなるときもあります。そんなときに頼りになるのが“確率と偶然性”をテーマにしたProbability Pack。以下4つのシーケンサー・プラグインを格納しています。また、プリセットも豊富に用意されているので、まずはいろいろ試してみるとよいでしょう。
Probability Arp [MIDI Effect]
アルペジエーター・プラグイン。レート/アルペジオのスタイル/音価/オクターブの変化確率を設定できるのが特徴です。
Melodic Probability [MIDI Effect]
ソロ・フレーズの作成に適した、モノフォニック・ステップ・シーケンサー・プラグイン。発音/ピッチ/オクターブ/ベロシティ/音価の変化確率を各ステップごとに選択することができます。
Step Divider [MIDI Effect]
最大32ステップから最小4ステップまで自在にステップ数を変更できるシーケンサー・プラグイン。ポリリズムのフレーズ制作などで活用できるでしょう。
Dr Chaos [MIDI Effect]
8ステップ・シーケンサーをランダムにネットワークするプラグイン。各ステップは画面中央にある8つの“○”に対応しており、それぞれにおいてピッチやオクターブ、ベロシティ、音価を設定することが可能です。Dr Chaosは、予想外のメロディを生成することに向いているでしょう。
Live 10 Suite付属 Max for Live Pack その5
CV Tools
近年、Eurorack規格に準拠したモジュラー・シンセの人気が定着しつつありますが、Live 10 Suite付属のMax for Live用PackではCV Toolsというものがリリースされています。CV Toolsは、ピッチやクロック、トリガーなどを生成および受信する複数のプラグインを格納。これらはモジュラー・シンセだけでなく、CV/Gate対応のシンセサイザーなどでも使用可能です。
CV Clock In/CV Clock Out [Utility]


CV Clock In(画像左)は、モジュラー・シンセのクロック・ジェネレーターやリズム・マシンからのパルス・ジェネレーターによって、Liveを同期させるプラグイン。モジュラー・シンセをメインで動かす人には、Liveが外部シーケンサー&サンプラーのような感覚で使えるようになるでしょう。
一方CV Clock Out(同右)は、トリガーとなるパルス信号をDAWのテンポに応じて送出できるプラグイン。設定次第では、Liveとさまざまなハードウェアを同期することができます。まさに、Liveの可能性をさらに広げるツールと言っても過言ではありません。
CV Instrument [Instrument]
MIDIノートからCV/Gateを生成するプラグイン。これを使えばCV/Gateに対応するハードウェア・シンセのほとんどが、Liveで演奏できるようになるでしょう。ただし、CV信号の出力はオーディオI/Oからとなりますので、DCオフセット対応のモデルが必要です。
CV Envelope Follower [Audio Effect]
CV Envelope Followerは、Live上のオーディオ・トラックからのレベルを元にして、さまざまなCV信号を作ることができるプラグイン。注目してほしいのは、画面左上に“Map”ボタンが用意されていること。つまり先述のMax for Live Essentialsに同梱されたLFOと同様、CV Envelope FollowerはLive内におけるオートメーション・ツールとしても活用できるのです。
CV Utility [Utility]
3つの異なるモジュレーション・ソースを1つにミックスしてCV信号を生み出すプラグイン。例えば画面左端の“1”にはサイン波を、“2”にはノコギリ波をモジュレーションした場合、それらをミックスした波形が画面中央に映し出されます。最終的には、その波形をまたほかのパラメーターにマッピングしたり、CV信号として出力することが可能です。
監修/解説
草間 敬
【Profile】アレンジャー/エンジニア/シンセ・プログラマー。AA=、RED ORCA、SEKAI NO OWARI、BIGMAMA、MAN WITH A MISSIONなどの作品やライブに携わる。Ableton認定トレーナー。
【Recent Work】
Live 10 Suite 製品情報
ABLETON Live 10 Suite
80,800円(税込)
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