UNIVERSAL AUDIO Apollo Solo/Apollo Solo USB 〜Rock oN Monthly Recommend vol.28

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 注目の製品をピックアップし、Rock oNのショップ・スタッフとその製品を扱うメーカーや輸入代理店が語り合う本連載。今回はUNIVERSAL AUDIO Apollo Solo/Apollo Solo USBを紹介する。Apolloシリーズへ新たに加わったオーディオI/Oで、コンパクトな構成ながらUAD-2プラグインも使えたりと、Apolloシリーズの入門としても適したモデルだ。このApollo Solo/Apollo Solo USB、そしてApolloシリーズで使えるレコーディング・システムのLunaについて、フックアップの田中靖氏とRock oN Companyの森鉄人氏に語っていただいた。

Photo:Hiroki Obara(メイン・カット、森鉄人氏)

 

Apollo Solo/Apollo Solo USB
オープン・プライス(市場予想価格:各54,000円前後)

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 Apolloシリーズの中で最もコンパクトなモデル。アナログ2イン/4アウト(メインL/R+ヘッドフォン)仕様で、最高24ビット/192kHzに対応する。UAD Soloコア・プロセッサーを1基搭載しており、UAD-2プラグインを使用可能。付属するRealtime Analog Classics Bundleには、UA 610-B Tube Preamp and EQやMarshall Plexi Classic Amplifier、Raw DistortionなどのUAD-2プラグインが収録されている。UAD-2プラグインはオンライン・ストアで追加購入することが可能だ。Thunderbolt 3接続モデル(Apollo Solo)と、Windows専用USB 3.0接続モデル(Apollo Solo USB)をラインナップしている。

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フロント・パネルにはHi-Zインとヘッドフォン・アウトがスタンバイ。Hi-ZインはUnison機能に対応している

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Apollo Soloのリア・パネルには、コンピューターと接続するためのThunderbolt 3端子、メイン・アウト(TRSフォーンL/R)、マイク/ライン・イン1&2(XLR/フォーン・コンボ)を搭載。このThunderbolt 3接続モデルはバス・パワー動作が可能だ。2基のマイクプリはUnison機能に対応しており、使用するプラグインに合わせてインピーダンスなどがハードウェア上で変更され、入力信号特性までも含めた再現ができる

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Apollo Solo USBのリア・パネル。Thunderbolt 3端子の代わりに、電源スイッチと電源アダプター接続端子、USB 3.0端子が備わっている。入出力端子はApollo Soloと同じ仕様だ

●Apollo TwinよりもコンパクトなモデルとなったApollo Soloは、どのような経緯で誕生したのでしょうか?

田中 もともとArrowというモデルが2年ほど前にリリースされました。Apolloの名前を冠さずに生まれた製品でしたが、あらためてApolloシリーズのエントリー・モデルとして名称を変更して今回加わったんです。Thunderbolt 3接続のバス・パワーで動くというのが特徴の一つですが、Windowsではまだ使用環境的に対応していない方もいらっしゃるので、今回はThunderbolt 3接続モデルと同時にWindows専用のUSB接続モデルも出ています。よりエントリー層にプッシュするという目的です。

Ro森 初心者だけでなく、シンプルなワークフローで曲を仕上げたいという作曲家や演奏者にもApollo Soloは向いていると思います。また、ナレーターや声優の方も自身でレコーディングされることが増えていますし、自分の声をより良く届ける上でApollo Soloを使うのもいいのではないでしょうか。

 

●シンプルな性能で価格も抑えられていますが、ほかのモデルと同じくApolloシリーズの機能はしっかりと持っているのでしょうか?

田中 さまざまなスタジオ機器やギター/ベース・アンプの名機をモデリングしたUAD-2プラグインを内蔵DSPによって使えるというのがApolloの特徴で、もちろんApollo Soloも対応しています。また、使用するUAD-2プラグインに合わせてハードウェア部分の特性が変化するUnisonテクノロジーもポイントです。Apollo Solo付属のUAD-2プラグイン集にもUA 610-B Tube Preamp and EQやMarshall Plexi Classic Amplifierなど、Unisonテクノロジーの恩恵を受けられるものが入っています。録音してから音を変化させるというのはプラグインの基本的な使い方ですが、Unisonテクノロジーを使ってUAD-2プラグインのかけ録りを行い、音を取り込むときに良い音で録ることができるのです。Apollo Soloの内蔵DSPはシングル・コアなので、ミックスでたくさんのUAD-2プラグインを使うというよりは、かけ録りで活用するのが向いているでしょう。

 

●Unisonテクノロジーは具体的にはどのように作用しているのですか?

田中 デジタル領域のみでシミュレートしているプラグインは、一度コンピューターに取り込まれた音が処理されることになりますが、UnisonテクノロジーのUAD-2プラグインは入り口のプリアンプ部から音が変化しています。入ってくる信号に合わせてインピーダンスなどの特性が変わり、そのアナログ領域の変化とデジタル領域の処理によって、よりモデリング元の実機に近い効果を得ることができるんです。

Ro森 私が初めて使ったApolloはApollo Twin USBでした。そのときに試したMarshall Plexi Classic Amplifierの再現度には驚きましたね。弦を触って指板にこすり付けるときの音など、それまでのアンプ・シミュレーターでは難しかった、実機でなければ出せなかった音が出せました。Apolloがあれば家でもしっかりとギターが録れると感じましたね。

 

●今は宅録のためにいろいろと機材をそろえようと考えている方も多いですし、UAD-2プラグインによってさまざまなスタジオ機器の音が手に入るというのはとても魅力的に感じると思います。

田中 Apollo Soloに付属しているもの以外にも、多種多様なUAD-2プラグインがラインナップされています。それらは有償になってしまいますが、デモ版も用意されているので、いろいろと試してみると面白いでしょう。

Ro森 サウンドはアナログ・ハードウェアですが、プラグインなので設定を保存しておけるというデジタルの良さを持っているのもメリットです。新しく曲を作るときも、自分の設定を素早く呼び出してすぐに作業できますね。

 

●UAD-2プラグインを通してさまざまなハードウェアの音を体験できるというのは、音楽制作初心者にとってうれしいことではないでしょうか?

Ro森 Apolloの購入を検討されている方の中には、ハードウェアに興味があるという人も結構いらっしゃいます。でも、最初のころはそれぞれがどんな音をしているのかも分からなくて、ハードウェアの購入も敷居が高い。モデリング技術の優れたUAD-2プラグインでは自分の好きな音を気軽に探すことができるので、音楽制作初心者にもお薦めできます。

 

●Apollo Soloの入出力はどのような仕様ですか?

田中 リアにマイク/ライン・インが2系統、フロントにHi-Zインが1系統ありますが、Hi-Zインを使うとマイク/ライン・インのch1が無効になるので、計2インとなっています。出力はリアにTRSフォーンL/Rと、フロントにヘッドフォン・アウトを備えており、それぞれ別系統にすることが可能です。そのようなルーティングはミキサー・アプリケーションのConsoleで行います。

 

●モニタリングの設定やかけ録り用のUAD-2プラグインのインサートなどができる、Apolloの心臓部と言えるソフトですね。

田中 初心者の方でも分かりやすいように、チャンネル・ストリップのプリセットも用意されています。カテゴリーから選ぶことで、その録音に適したUAD-2プラグインがインサートされるんです。プリセットはApollo Soloのコアでも使えるようなプラグインの組み合わせになっています。

 

●Thunderbolt接続のApolloはそれぞれをカスケード接続することで入出力数やDSP数の拡張が行えますが、Apollo Soloも対応していますか?

田中 はい。ただApolloのデスクトップ・モデルに共通して言えることですが、Thunderbolt端子が1つなのでカスケードの終端に入れることになります。また、Apollo Soloはバス・パワー動作のため、Thunderbolt 3端子を持つApolloラック・モデルとの接続が必須です。既にApolloのラック・モデルをお持ちの方が拡張用として、もしくは持ち運び用としてApollo Soloを追加するのもよいでしょう。Thunderbolt 3接続のApollo Soloは電源アダプターが必要無いため、かなり取り回しが良くなっています。

 

●The 2020 NAMM Showで発表されたLunaというレコーディング・ソフトが使用できることもApolloのポイントです。どのような機能を持ったソフトなのでしょうか?

田中 前述のConsoleは、ApolloとDAWの間に位置するソフトであるため、行き来する必要があるなど少し分かりづらい部分もありました。LunaはDAWとConsoleを一体化させたようなイメージです。オーディオ録音やMIDI打ち込みができ、各トラックではConsoleのようにUAD-2プラグインの設定が行えます。自社のハードウェアとソフトウェア同士ならではのシステムです。ただしMac専用で、Thunderbolt接続のApolloのみ対応します。

Ro森 DSPを使った似たようなシステムだとAVID Pro Tools|HDXがありますが、どうしてもコストはかかってしまいます。Apollo Soloを買うだけでLunaという快適な環境が手に入るのは衝撃ですね。

 

Luna
無償(Mac専用/Thunderbolt接続モデルのApolloユーザーが使用可能)

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 Apolloシリーズ(Thunderbolt接続モデル)とシームレスに統合するMac用ソフトウェア。ApolloおよびUAD-2プラグインを最大限に活用した音楽制作が行える“レコーディング・システム”と銘打たれている。オーディオ/MIDIが扱えるのはもちろん、同社が培ってきたモデリング技術を生かしてアナログ・サウンドを再現するLunaエクステンションや、Luna専用音源のLunaインストゥルメントも搭載。サード・パーティ製AUプラグインも使用可能だ。Apolloの内蔵DSPとUAD-2プラグインを活用したニアゼロ・レイテンシーでの録音/モニターができる点も魅力。

 

●現在はさまざまなDAWがありますが、Lunaのアドバンテージとなり得る部分はどこでしょう?

田中 アナログ・レコーディングの流れをたどるワークフローですね。録音するときにしっかりと音作りをして、ミックスのときにもエフェクトを駆使しつつ、テープ・レコーダーへ録るという、アナログ時代のスタジオでの流れをLunaの中で実現しています。Lunaエクステンションと呼ばれるアナログ・サウンドを付加する機能では、NEVE 80シリーズ・コンソールやテープ・レコーダーの特性を再現可能です。ほかのDAWと比べるとできないこともまだまだあるのですが、今後のアップデートで機能は追加されていくと思います。ただ、そのアナログ・レコーディングのワークフローという部分はこれからも変わらずに残っていくでしょう。

Ro森 Moog MinimoogといったLunaインストゥルメントがあるのも魅力的ですね。アナログ・シンセは、オシレーターから奇麗な正弦波が出ることが少なく、その揺らぎが特徴的だったりするのですが、Lunaインストゥルメントではその部分も表現されているのが印象的でした。今後のLunaインストゥルメントのラインナップも気になりますね。

田中 UAD-2プラグインでの音源というのは、昔から要望が多かったんです。しかし、これまでのApolloとUAD-2プラグインのコンセプトから外れていました。Lunaの登場によって、UAD-2プラグインという形ではありませんが、UNIVERSAL AUDIOによる音源が実現しました。今後もその展開には期待していただけると思います。

 

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Lunaでは、アナログ・サウンドを簡単に取り入れることができる機能のLunaエクステンションが使用可能。この画面はテープ・マシンのサウンドをエミュレートするStuder A800(オプション)で、各トラックまたはグループ・トラックで使うことができる

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Luna専用のソフト音源、Lunaインストゥルメントも登場。画面の音源はMoog Minimoog(オプション)
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Rock oN Companyの森鉄人氏(左)、フックアップの田中靖氏

Rock oN NEWS

 大改修を終えたRock oN渋谷店は“作りたい音を自分で作れる”新しいスタイルのショップとして生まれ変わっています。店内のお好みの機材を持ち運び、自由に組み合わせて欲しい音をご自身で作って試すことが可能となっています。

Rock oN Shibuya:☎︎03-3477-1756 営業時間12:00-19:00(日曜日臨時定休)
Rock oN Umeda:☎︎06-6131-3077 営業時間12:00-19:00(定休日:日曜日、祝日)
※営業時間及び営業日は変更になる場合がございます

www.miroc.co.jp

 

製品情報

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www.uaudio.jp

 

UNIVERSAL AUDIO Apollo Solo/Apollo Solo USB

オープン・プライス

(市場予想価格:各54,000円前後)

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