Rock oN Monthly Recommend vol.27〜ZOOM PodTrak P8/P4

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 注目の製品をピックアップし、Rock oNのショップ・スタッフとその製品を扱うメーカーや輸入代理店が語り合う本連載。今回はZOOMが発売したポッドキャスト向けレコーダー、PodTrak P8/P4を紹介する。同社のデジタル・ミキサー+レコーダーLiveTrakシリーズは音楽用途がメインながら、ポッドキャスト配信などでも活用するユーザーも多い。その声を聞き、新たにポッドキャストに特化して作られたのがPodTrak。スムーズな録音からこだわりの編集まで、ポッドキャスト制作のマスト・アイテムとなる存在だ。ZOOMの伊野立哉氏と左大吾氏、Rock oN Companyの水越康太氏に語っていただこう。

Photo:Takashi Yashima(PodTrak P8/P4)

 

PodTrak P8
オープン・プライス(市場予想価格:45,000円前後)

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 6系統のマイク・インを備えるポッドキャスト向けレコーダー。最大70dBのゲインが得られるマイクプリ×6基と、独立した6系統のヘッドフォン出力を搭載する。スマートフォン経由でのゲスト参加にも対応できるよう、TRRSミニ端子の専用チャンネルも用意。別売りのアダプターBTA-2を使うとBluetooth接続もできる。通話先の音声からのフィードバックを回避するミックス・マイナス機能も搭載。2イン/2アウトのUSBオーディオ・インターフェース(USB-C端子装備)として使用する際にも、ミックス・マイナス機能を有効にすることが可能だ。録音フォーマットは16ビット/44.1kHz WAV。

 

PodTrak P4
オープン・プライス(市場予想価格:22,500円前後)

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 4系統のマイク・インと、独立した4系統のヘッドフォン出力を搭載。編集機能は備わっていないが、そのコンパクトさによって可搬性に優れているのが魅力だ。

 

BTA-2
8,000円

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 PodTrak P8/P4のスマートフォン入力に取り付けることで、Bluetoothによるワイアレス接続が可能になる。

 

 

●日本ではまだポッドキャストの知名度は低いかもしれませんが、海外での需要は高いのですか?

伊野 アメリカではとても市場が大きくて、広告収入を得ることができるようになったり、SPOTIFYがポッドキャスト編集/配信アプリを開発しているANCHORを買収するなどの動きがありました。車での通勤時間だったり、運動をしているときや作業中に聞くなど、音声配信を楽しむシーンは広がっているようですね。NAMM Showのようなポッドキャスト専門の見本市みたいなものもあるようです。日本ではまだそこまでの盛り上がりは生まれていないですね。

 

●Rock oNへポッドキャスト収録目的で機材を購入しに来る方はいたりしますか?

水越 僕はまだ対応したことが無いですね。ただ、声優の方だったり、声の収録を行うために機材を探しているというお問い合わせはありました。今の状況で、リモートでナレーションなどの仕事をしたいという方は増えたのかもしれません。

 

●ミキサーのLiveTrak L-8でもポッドキャストに向けた機能などを盛り込んでいましたね。

伊野 昨年、LiveTrak L-8を開発していたときに、どうやらアメリカではポッドキャストが熱いと聞いたんです。L-8にもそういったシーンに対応できるよう、サウンド・パッドやスマートフォンからの入力を受けるTRRSインを設けるなどして、ポッドキャスター向けにアピールしました。ただ、ポッドキャストのユーザー層はミュージシャンとは違っているので、複雑な機能の製品は難しいのではないかと思います。L-8は音楽用ミキサーですから、ノブやフェーダーもたくさんありますし、それらへの知識が無い方ももちろんいらっしゃいます。“L-8では難し過ぎる”というユーザーを取り込むために、シンプルなPodTrak P4と、その上位版であるP8を開発しました。

 

●ポッドキャスト用途となると、開発においてどのような部分が重要になるのでしょうか?

伊野 ナレーションを録るときによく使われるSHURE SM7BやELECTRO-VOICE RE20などは感度がすごく低いんです。SM7BをLiveTrakで使おうとすると、外付けマイクプリが必要になってきます。PodTrakでは別途外部のマイクプリを用意しなくてもゲインを稼げるように、最大70dB近くまでゲインを得られるようにしました。また、LiveTrakなどと違い、マイクしか入力されないので、それに合わせた回路設計になっており、フロア・ノイズの低減などを実現しています。

 

●P8とP4はそれぞれどのようなモデルになっているのですか?

伊野 P8は収録、編集、パソコンやタブレットへの転送まで行えるオールインワン・モデルです。マイク・インが6系統あり、6人が同時にモニターできるようにヘッドフォン・アウトも6系統用意されています。タッチ・パネルを搭載しているのも特徴で、トーンやコンプ/ディエッサーといったパラメーターをタッチで操作可能です。P4の方はハンディ・レコーダーを意識して開発したシンプルなモデル。どこにでも持ち運びができるところが強みです。入力は4系統あり、ヘッドフォン・アウトも4系統です。どちらもL-8で搭載していたスマートフォン用入力を備えています。電池でも動作しますし、USB給電も可能なのでモバイル・バッテリーなども使用可能です。

水越 スマートフォンやコンピューターからの入力を受けられるというのがとても良いポイントです。コンピューター内のステレオ・ミキサーでルーティングすることもできますが、少し難しい設定になってしまいます。そういった面でも、さまざまなシーンで使いやすくなっていると思いますね。

 

●スマートフォン入力は、ミックス・マイナス機能があるようですが、どのような効果がありますか?

伊野 スマートフォンからの入力を、スマートフォン側に返さない、フィードバックさせない機能です。遠方から電話でポッドキャストに参加することができます。接続はTRRSケーブルですが、別売りのBTA-2というアダプターを使えばBluetooth接続も可能です。

 

●ヘッドフォン・アウトがマイク・インと同じ数だけ用意されているのも、ポッドキャスト向けらしい大きなポイントです。

伊野 弊社の製品だと、H5やH6がこれまでポッドキャスト収録で使われてきました。しかし、それらはヘッドフォン・アウトが1つしかないため、分配器を使って対応している方もいたんです。PodTrakではしっかり人数分の出力を確保しているのも強みになっています。しかも、分かりやすいように色分けもしているんです。ヘッドフォン・アウトだけではなく、フェーダーやレベル・メーター、ヘッドフォン・アウトのレベル調整ノブなどもチャンネルごとに色分けされています。

水越 これもPodTrakの優れたポイントの一つですね。やっぱり音楽機材は分かりづらいものが多いんです。色分けされていることで、こういった機材に慣れていない方も直感的に操作することができるのではないかと思います。

 

●サンプルをトリガーできるサウンド・パッドが両モデルとも搭載されています。これはやはり番組を盛り上げるためのワンショット・サンプルを活用するためのものですか?

水越 ワンショットだけでなく、長いループもアサインできるので、番組内で使う曲をトリガーするために使ってもよいかもしれません。

伊野 あらかじめ用意したインタビューなどを割り当てて、番組中に挟み込んだりする方も居ます。サウンド・パッドというとサンプルをトリガーする賑やかしみたいなものと考えがちですが、実際にユーザーが使うのはループだったり、番組のイントロやアウトロ、インタビューの挟み込みだったりするのだと思いますね。

 

●P8には編集機能も備わっているようですね。

伊野 録音したファイルの不要な部分をカットしたり、フェードをかけたりするのはもちろん、BGMを後から加えることも可能です。また、SpotifyやApple Podcastなどのラウドネス規制に合わせてレベルを調整してくれる機能も備えていますし、MP3へのファイル変換もできます。

水越 ラウドネスは、通常ラウドネス・メーターで確認しながら調整しますが、本体内で自動的に設定してくれるのはかなりありがたいです。

 ほかにコンバインという機能もあり、録音した複数のファイルを選択し、それらを1つのファイルとして書き出すことができます。番組のセクションごとに録音をしておいて、後から1本の音声に仕上げることも可能です。

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P8の編集画面。録音したファイルのトリミングや分割、フェード・イン/アウト、BGMの追加、ラウドネス調整が可能だ。この画面はラウドネス調整の画面で、SpotifyやApple Podcastのポッドキャストに合わせたラウドネス値に近づけてくれる

●ポッドキャスト向けの機能としてはOn Airキーが挙げられます。これはどのようなキーなのですか?

伊野 例えば番組の配信中に、次の話題をどうするのかということをオフレコで話したいときなどで重宝します。On Airキーがオフになっているチャンネルの音声は、USB接続のコンピューターとTRRS接続のスマートフォン、レコーダーには送られません。

 

●P8の入力レベルやトーン、コンプ/ディエッサーのパラメーターは、フェーダー1つで調整できるようなシンプルなスタイルでとても使いやすいと感じました。

伊野 本当はこれらのパラメーターも、ユーザーには気にしてほしくないくらいなんです。各チャンネルにはコンデンサー/ダイナミック・マイクの切り替えスイッチがありますが、それによって自動で入力レベルも変わるようになっていますし、トーンやコンプ/ディエッサーもデフォルトでオンになっています。マイクを挿すことさえすれば、ZOOMが提供する良いサウンドを簡単に得られるというのを目指しました。

 パラメーター画面に入って、適正な入力レベルに合わせて……という作業が無くても大丈夫です。それぞれのチャンネルの音量をコントロールしたい場合は、フェーダーで行う方が簡単でしょう。コンプが入っているので、大きな音量のばらつきはあまり出ないと思いますね。また、入力段とマスターにもリミッターが入っており、音割れを防いでいます。

水越 ポッドキャストをする上で、やはり入力がピークを超えるのは避けたいところ。PodTrak側で自動的に設定されており、ユーザーが気にせずに済むのはメリットです。

伊野 このようなパラメーターの画面は、階層をたどらなくてもすぐにアクセスできるように意識して開発しています。また、機能のヘルプも常時表示されるようにしているなどの工夫も凝らしました。

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P8のチャンネル設定画面。上からマイクプリのゲインおよびリミッター&ロー・カットのオン/オフ。高域と低域のバランスを調整するトーン、コンプ/ディエッサーが並ぶ。マイクプリのゲインは、まずマイク・タイプの切り替えスイッチ(コンデンサー/ダイナミック)によって自動的に適切なデフォルト値に設定される。そこから微調整をしたい場合はこの画面から調整可能だ

●多機能なだけでなく、使う側の目線に立った操作性のレコーダーになっていますね。

水越 ZOOM製品らしいコンパクトさで、かつ低価格になっているのも魅力的です。ポッドキャスト用途に絞っていることあり、非常に分かりやすい操作性になっています。誰でも扱いやすいレコーダーになっていると思いますね。

 

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Rock oN Companyの水越康太氏

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取材に協力いただいたZOOM PodTrakシリーズ開発チームの伊野立哉氏(写真右)と左大吾氏(同左)

 

Rock oN NEWS

 大改修を終えたRock oN渋谷店は“作りたい音を自分で作れる”新しいスタイルのショップとして生まれ変わっています。店内のお好みの機材を持ち運び、自由に組み合わせて欲しい音をご自身で作って試すことが可能となっています。

Rock oN Shibuya:☎︎03-3477-1756 営業時間12:00-19:00(日曜日臨時定休)
Rock oN Umeda:☎︎06-6131-3077 営業時間12:00-19:00(定休日:日曜日、祝日)
※営業時間及び営業日は変更になる場合がございます

www.miroc.co.jp

 

製品情報

zoomcorp.com

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ZOOM PodTrak P8

オープン・プライス

(市場予想価格:45,000円前後)

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ZOOM PodTrak P4

オープン・プライス

(市場予想価格:22,500円前後)

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ZOOM PodTrak BTA-2

8,000円

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