ウィーンのブランド、AUSTRIAN AUDIOが2種類のハンドヘルド・マイクをリリースした。OC707はコンデンサー型で、OD505は48Vのファンタム電源で駆動するアクティブ仕様のダイナミック型となっている。気鋭のシンガー/音楽プロデューサー、ぷにぷに電機がバンドでのリハーサルやホーム・レコーディングに両機種を試した所感とは? 本人に語っていただいた。
Photo:Hiroki Obara
ライブでコンデンサー・マイクを使いたいけどハウリングが心配…そう感じている人に向きそうなのが私のガチ推し、OD505です
試してすぐに買ったほどお気に入り
私のガチ推しはOD505です。“すぐに多くの人が使い始めるんじゃないか!?”と思うほど抜群で、ライブのためにコンデンサー・マイクを新調したばかりなのに即買いしました。特に高音の伸びが素晴らしく、バンドの中でも自分の声が聴き取りやすくてストレス無く歌えます。その伸び方は、シャリシャリするとか耳に痛いとかっていう感じではなくて、人間らしい高音が力強く突き抜けていく印象。私のように“周波数的な重心が中低域にあるような声”には、うってつけだと思います。
また、アクティブ仕様だからかコンデンサー・マイク並みに感度が高く、一般的なダイナミック・マイクよりも大きな音量が出せます。声の持ち上がり方がすごく良くて、音にコシがあるため、声量に自信が無い方にもお薦めです。そして本体スイッチでオン/オフできる120Hzのローカット。これが非常に効果的で、例えばエレキギターなどが入る大音量のオケの中で使うと、マイク本来の高音の伸びが引き立つので、とてもスッキリと聴こえるようになります。ミキサーのローカットで切るより出音がクリアなのも良いですね。カブりの少ないアコースティック・ライブ、または高音の伸びに自信がある人の場合はオフにしておくとよいでしょうし、使う/使わないは現場の状況や声音次第だと思います。
鮮やかでまとまりのある音のOC707
コンデンサー・マイクのOC707は、ものすごく繊細で、きらびやかなニュアンスの音です。ブレスひとつにしても詳細に捉えてくれるのですが、シャリシャリとはせず、空間ごと拾ってくれる感じ。全帯域にわたってピーキーではなく、まとまりのある音という印象です。大音量のライブならOD505の方が向いていると思いますが、弾き語りやアコースティック・バンドなど小編成のステージであればOC707も十分に対応できそう。ボディはOD505と同じくダイキャスト製で丈夫なので、コンデンサー・マイクを持ち運ぶことにハードルの高さを感じていた方も安心感があるでしょう。
また、この音質ならレコーディングにも対応できると思います。吹かれには注意すべきですが、弾き語りを自宅で録るような方には、繊細で鮮やかな音のOC707がお薦めです。2つのマイクは全くの別物で、見事にすみ分けできていますね。個人的にはOD505が面白い。名機になると思います。“ライブでもコンデンサー・マイクを使いたいけど、ハウリングが心配だからな……”と感じている方々に、ぜひ試していただきたいですね。