UNIVERSAL AUDIO Apolloシリーズは、多彩なラインナップを取りそろえるオーディオI/O。数々の名機をエミュレートしたUADプラグインの提供とUNISON機能、システムの拡張性もあり、全世界のクリエイターやエンジニアに愛用されている。実際にApolloを活用するユーザーたちは、数多の製品の中からなぜApolloを選ぶのか。今回は赤い靴の神谷洵平が登場。自宅スタジオでドラムやボーカル、ピアノなど多様なレコーディングを行う神谷ならではのApollo活用術に迫る。
Photo : Takashi Yashima
Apollo x4
最大入出力12イン/18アウト、UNISON対応マイクプリ×4基搭載のデスクトップ型オーディオI/O。Hi-Z入力×2やヘッドフォン出力×2も備える。神谷はボーカル・マイクなどを直接接続するほか、ほかのオーディオI/OをADAT接続して8ch増設しながら使用。今後はラック・タイプのApolloの導入も検討しているという。
UA 610 Tube Preamp & EQ Collection
神谷 610-Bはすごく細かい操作ができますが、610-Aはざっくりした操作性で音がすごく太いので、ドラム録りに欠かせないですね。革モノすべてにいつも使っています。真空管らしさをすごく表現できていると思います。
色付けが少なく音楽的な表現力があるサウンド
現在神谷が自宅スタジオで使用するのはApollo x4。しかし、Apolloを使うのはこれが初めてではないという。
「以前の自宅ではギターやボーカルだけサクッと録ろうという感覚で、初代Apollo Twinを発売直後から使っていました。今は引っ越してドラムやピアノが録れるようになったので、手元ですべて操作できる操作性はそのままに、チャンネル数の多いApollo x4に買い替えたんです」
ドラマーでありつつ、作編曲やプロデュースも手掛ける神谷だが、Apolloのどのような部分に魅力を感じるのか?
「UNISON機能は結構使っていて、ボーカル録りでは、NEUMANN U67にNeve 88RS Channel Strip CollectionやNeve 1073 Preamp & EQ Collectionをかけたり、エレキギターにはFender ‘55 Tweed Deluxeをかけ録りすることが多いです。あと最近はトークバック機能がすごく便利だと感じていて、複数名で録音するときによく使いますね。そして何より、出音が良い。色付けが少なくて、音楽的な表現力があります。すべての機能において音楽的な部分に重点を置いていますよね。ハードウェアをシミュレートしたUADプラグインは、“この実機の良さってここだよな”という部分がすごく表現されている気がします。一方で、僕の音作りはいなたさや温かみのある方向に持っていきがちなのですが、BRAINWORX BX_Masterdeskを最終段で使うと一気に現代的なまとまり方になります。僕がやっている音楽は古い音楽と現代的な部分を両方持ち合わせていることが多いので、すごくありがたいです」
ハードとソフト両方とも常に更新されて抜かりない
さらに神谷自身、好きな音楽家たちと近い機材だと語る。
「僕が尊敬しているエンジニアのジャクワイア・キングや、一番好きなドラマーのジョーイ・ワロンカーもUADプラグインの監修をしていて。Lunaが出たときは、ジャクワイア・キングが録音を手掛けたキャス・マックームスのパラデータを立ち上げられたのがラッキーでした。音楽が好きな人にとってすごくありがたいサービス精神を感じますね」
レコーディング・システムのLunaについては、その優れた解像度を高く評価する。
「Lunaは音が良くてびっくりしました。明らかに音が違いますね。解像度が上がるので、ほかのDAWで作った曲でも、一度Lunaに入れて書き出してからミックス・エンジニアに渡す曲もあるくらいです。ピアノ音源のRavelも良いですし、 各トラックにStuder A800がインサートできるので、すごく理想的なビンテージっぽい音が作れます。Apolloの出音もLunaで書き出した音も、温かみがありつつ、シャープでクリアな音質という共通した色があると思います。その一貫性を持ちつつ、ハードとソフト両方とも常に更新されて抜かりないのが本当にすごいですよね」
周りのミュージシャンにもApolloの購入を勧めるという。
「Apolloはレコーディング・スタジオでも多く使われているので、共通言語になりつつあって。ユーザー同士でこのUADプラグインを使ったと説明できたり、近い環境でお互いの音を聴けるのも便利ですね。初心者もプロが使う意味が分かると、自分の作る音楽に自信が持てる気がします」
神谷洵平
【Profile】ドラマー/作編曲家/プロデューサー。東川亜希子とのユニット=赤い靴での活動や劇伴、CM音楽の制作も行う。大橋トリオ、Predawn、THE CHARM PARK、優河、矢野顕子、コトリンゴ、あいみょん、星野源、トータス松本らの作品やライブにも参加。
Recent work
『Jumpei Kamiya with...』
Jumpei Kamiya
(MAKE SOME RECORDS)