荒田洸(WONK)× UNIVERSAL AUDIO Apollo X6【Apolloユーザー通信 Vol.1】

荒田洸(WONK)× UNIVERSAL AUDIO Apollo X6【Apolloユーザー通信 Vol.1】

UNIVERSAL AUDIO Apolloシリーズは、多彩なラインナップを取りそろえるオーディオI/O。数々の名機をエミュレートしたUADプラグインの提供とUNISON機能、システムの拡張性もあり、全世界のクリエイターやエンジニアに愛用されている。実際にApolloを活用するユーザーたちは、数多の製品の中からなぜApolloを選ぶのか。今回は、WONKのドラマーであり、ソロ活動やkiki vivi lilyのプロデュースなども行う荒田洸のプライベート・スタジオにて、その魅力を尋ねた。

Photo : Hiroki Obara

荒田洸(WONK)Equipment & Favorite UAD Plug-in

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 写真中央のApollo X6は、最大入出力16イン/22アウト、UNISONマイクプリ×2基を搭載するラック・タイプのオーディオI/O。写真右下のデスクトップ型オーディオI/OのApollo Twin MKⅡは、最大入出力10イン/6アウト、UNISONマイクプリ×2基を搭載する。さらにディスプレイの脇に設置されているのが、Windows対応のDSPアクセラレーター、UAD-2 Satellite USBだ。荒田は、Apollo Twin MKⅡをApollo X6経由で、UAD-2 Satelliteは直接コンピューターに接続。歌録りの際にはApollo X6に搭載されたUNISON対応のマイク入力を使用するという。

Cooper Time Cube MKⅡ Delay

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荒田 ベースには間違い無くかけます。僕が今まで試してきた中で一番立体的になるディレイですね。直接ベースに挿して、モノラルの真ん中だけでしか鳴っていなかったものを左右に広げられる。音質的にも広がりの質感もこれがベストです。


歌録りにはApollo X6のマイク入力を使用

 荒田は、2017年に開催された『UNIVERSAL AUDIO×WONK プレミアム・レコーディング・セミナー』をきっかけにApolloに興味を持ったという。

 

 「音がすごく良かったので、Apollo Twin MKⅡを使い始めました。でもトラック数が多い曲ではDSPパワーが足りないのでApollo X6を買い、さらにUAD-2 Satelliteを追加したんです。Apollo Twin MKⅡは、Apollo X6にカスケード接続しています。歌録りは基本的にこのスタジオでやっていて、ハードウェアのマイクプリも持っているのですが、ノイズが気になるので、Apollo X6に搭載されているUNISON対応のマイク入力を使い、完全にコンピューター内で処理しています

 

 「Apolloは、音質はもちろん、UADプラグインを使えるところが良いですよね。モデリングしている実機に近いサウンドでありつつ質感が奇麗なのも魅力です。70’sのフィリー・ソウルやモータウンのような音を作りたいときも、当時使われていた機材をモデリングしたものが入っているし、70’sサウンドを作る海外のエンジニアがUADをどう使っているかなど、前例があって勉強しやすいのも良いですね。好きなアーティストや自分が欲しいサウンドがどう作られているかを調べると、そこにはほぼ確実にUADがあると思うんです。UADでしかできない音作りがあります

 

 現在では、全種類のUADプラグインを所有するという荒田だが、制作に欠かせないUADプラグインがあると語る。

 

 「自分の作品でも、楽曲提供するトラックでも、マスターにはNeve Dynamics Collectionの33609 / Cを挿して、Fairchild 670(Legacy)で質感を足します。その後、Brainworx BX_Digital V3 EQ Collectionの Modus Equalizer BX1でEQを調整して、最後にSonnox Oxford Limiterをかけます。この4つは欠かさずに入れますね」

 

生楽器に合うLA-2Aの自然なコンプ感

 求めるサウンドの質感に合わせてコンプも使い分ける。

 

 「打ち込みのドラムで自分で作ったステムを渡す場合には、ステム全体にFATSO Jr./Sr. Tape Sim. & Compressorをかけます。サンプルによる質感の違いがあっても、全体にまとまったコンプ感を与えてくれるので、すごく良いです。ソロEP『Views of Panorama』でも多用しました。ギターやピアノには、Teletronix LA-2A Classic Leveler CollectionのLA-2A Grayをよく使います。コンプのかかり方がすごく自然で、生楽器に合うんです。あと、ボーカル用に基本的なエフェクトをまとめたプリセットを組んでいるのですが、その最後にも入れています。WONKの長塚(健斗/vo)の声にもLA-2Aをよく使うのですが、自分がプロデュースするKiki vivi lilyの声にはもう少しコンプ感が強いLA-3Aが合いますね。声質によって合うコンプが違うというのは、UADをいろいろ試していく中での発見でした

 

 ベースの質感調整にもUADプラグインを重宝している。

 

 「ベースには、Ampeg SVT-VR Classic Bass AmpやBX_Subsynthを多用します。シンセ・ベースでは輪郭を際立たせるためにThermonic Culture Vultureでドライブを上げて、Cooper Time Cube MKⅡ Delayで広がりを出しますね。自分はUADが無かったら何もできないです」

 

荒田洸
【Profile】エクスペリメンタル・ソウル・バンドWONKのリーダー/ドラマー/ビート・メイカー/シンガー。現行のJヒップホップ・シーンをけん引するラッパーのバンド・マスターやソロ作ではボーカルも担当する。ソロEP『Views of Panorama』が配信リリース中

 Recent work 

『Views of Panorama』
荒田洸
(EPISTROPH)

 

製品情報

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