「BEHRINGER Flow 8」製品レビュー:アプリ+Bluetoothで操作する8chコンパクト・デジタル・ミキサー

BEHRINGERのミキサー「Flow 8」が発売された

 BEHRINGER Flow 8は製品名にもある通り、8chのインプットを有するコンパクトなデジタル・ミキサー。今までありそうで無かった、便利な仕様となっています。

マイク1と2にはMIDAS 製マイクプリを内蔵
専用アプリでリモート・コントロールが可能

 まず、トップ・パネル最上段の左側を見てみましょう。ここには4系統のマイク入力があります。そのうちマイク1と2はXLR端子で、MIDAS製マイクプリを内蔵。また48Vファンタム電源も供給可能です。マイク3と4はXLR/TRSフォーン・コンボ端子を備えており、ライン入力も行えます。その下部には2系統のライン入力(TRSフォーンL/R)があり、RchのみHi-Z入力に対応しています。

 

 トップ・パネル最上段の右側には、ヘッドフォン・アウト(ステレオ・フォーン)やフット・スイッチ用端子(TRSフォーン)、メイン出力(XLR)、2系統のモニター・センド(TRSフォーン)を装備。続いてトップ・パネルの左下には、60mmのフェーダーを6本搭載しています。

 

 トップ・パネルの中央には6つのボタンが縦一列に並んでいますが、これらは上からMUTEボタン(FXまたは全チャンネル一括)、2つの内蔵FXエンジンを切り替えるFX1/FX2ボタン、ダイレクト・モニタリング時に使用するMON1/MON2ボタン、メイン出力に切り替えるMAINボタンです。

 

 さらにトップ・パネルの右下を見てみると、まずLED付きの大きなマスター・ロータリー・エンコーダーとインジケーターが目に入ります。その上段にはメニュー選択時に使用するSELECT/ADJUSTエンコーダーとMENUボタン、もう一段上にはTAPボタン、Bluetoothまたはリア・パネルにあるUSB端子(Type-B)を通じてコンピューターから入力される音声レベルを設定するBT/USBノブ、ヘッドフォン音量を制御するPHONESノブを搭載。Flow 8にある操作子は、これらのノブとエンコーダーを合わせた4つのみで、8chのミキサーにしては驚くほどスッキリした外観です。一般的なミキサーにあるようなゲインやパン、EQなどのノブは見当たりません。

 

 では一体どうやって操作するのかというと、何とFlow 8はiOS/Android対応アプリのMUSIC TRIBE BRANDS DEFlow Mix(無償)をインストールしたスマホやタブレットで制御するようになっているのです! 両者をBluetooth接続することで、Flow 8のあらゆるパラメーターをリモート・コントロールすることが可能。トップ・パネルの中央に、ホールディング・ポストと呼ばれる2つの突起がありますが、そこにスマートフォンを立て掛けて使えるようになっています。

トップ・パネルの中央には、2つの突起を装備。ここに、スマートフォンやタブレット端末を立てかけて操作できるようになっている

自動で最適なゲインに調節するEZ-GAIN
クリアなサウンドを実現するマイクプリ

 実際にFlow Mixを使ってFlow 8を操作してみましたが、使い勝手は抜群! 入力チャンネルに備わった4バンドEQやコンプなどはFlow Mixで簡単にかけられますし、ミキサーのスナップショット機能も無制限に可能です。私はデジタル・ミキサーをアプリで制御するのは初めてでしたが、こんなに便利なのかと正直驚いてしまいました。

 

 ちなみに何らかの拍子で、Flow Mix側でのフェーダー値とFlow 8側のフェーダー値にズレが発生した際には、Flow8側のフェーダー上部のランプが点灯して知らせてくれます。また両者のフェーダーはとてもスムーズに連携しているため、素早く動かしても違和感がありません。

 

 Flow 8で便利なのが“EZ-GAIN”機能。ゲインを自動で適切な入力レベルに調節してくれるというものなのですが、各チャンネルはもちろん、全チャンネル一括しても可能なので、一瞬で設定が完了します。しかも、必要に応じて48Vファンタム電源供給もオンにしてくれるという親切ぶりです。

 

 さらにFlow 8とコンピューターをUSBケーブルで接続すると、Flow 8は10イン/2アウトのオーディオI/Oとしても使えます。ビット/サンプリング・レートは24ビット/48kHzに対応し、全トラックのマルチレコーディングが可能です。試しにボーカルを録音してみたところ、とてもクリアな音声が収録できました。恐らく内蔵のMIDAS製マイクプリが一役買っているのでしょう。

リア・パネルにはUSB端子(Type-B)を装備。コンピューターと接続することによってオーディオI/Oとして使用したり、ファームウェアのアップデートに用いることができる

 Flow 8は配信用途にもお薦め。Bluetooth接続によって、スマートフォンなどからの音声入力が可能かつ、Flow Mixとも同時使用できるので、ポッドキャストなどでBGMが必要なときにも便利です。また入力チャンネル数が豊富なため、ゲームの実況から演奏動画まで、あらゆるシチュエーションにも対応できると思います。

 

 Flow 8は、初心者にも優しいミキサー。すべての楽器をFlow 8に入力し、EZ-GAIN機能で全チャンネルを自動でゲイン設定すれば準備完了です。こだわりたい人はFlow Mixでさらに音を追い込めますし、配信時のスナップショットを取っておけばすぐにセッティングが完了します。エフェクト・センドも調整できるため、配信中にリアルタイムでリバーブやディレイをかけたりなども容易です。Flow 8は、宅録から配信まで幅広く使えるデジタル・ミキサーだと言えるでしょう。

 

in the blue shirt
【Profile】有村崚のソロ・プロジェクト。Maltine RecordsやSecond Royalからのリリースを経て、2016年と2019年にはアルバムを発表する。ボーカル・エディットを駆使した独特の作風が特徴的。

 

BEHRINGER Flow 8

オープン・プライス(市場予想価格:24,800円前後)

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SPECIFICATIONS
▪マイク入力:2ch(XLR)+2ch(XLR/TRSフォーン・コンボ) ▪ライン入力:4ch(TRSフォーンL/R) ▪メイン出力:2ch(XLR)+ヘッドフォン・アウト(ステレオ・フォーン) ▪モニター・センド:2ch(TRSフォーン) ▪フット・スイッチ:1ch(TRSフォーン) ▪USBオーディオ・インターフェース:24ビット/48kHz ▪周波数特性:10Hz〜22kHz(+0/−1dB) ▪外形寸法:229(W)×48(H)×172(D)mm ▪重量:1.4kg

 

製品情報

 

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