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ANTELOPE AUDIOが誇るフラッグシップI/O=Galaxy 64 Synergy Core 第1回:Hiroがリアンプ&リファレンス試聴でテスト

オーディオインターフェース「Galaxy 64 Synergy Core」をHiro氏がテスト

 欧州拠点の音響機器ブランド、ANTELOPE AUDIOの新たなオーディオI/O=Galaxy 64 Synergy Core。2Uの堅牢なボディにアナログ64イン/64アウトのオーディオ入出力を備え、Dante/HDX/Thunderbolt接続で動作するフラッグシップ・モデルだ。カスタム設計のMac/Windows用ドライバーのほか、ソフトウェア・コントロール・パネルやFPGAベースで動作するSynergy Coreエフェクトなども用意され、プロフェッショナルな音楽制作の現場や設備、ライブ・イベントといったシーンに幅広く対応する。今回は、国内外のメタル・シーンで名を馳せるプロデューサー/エンジニアのHiro氏に試していただき、これまで使用してきたプロ向けのオーディオI/Oと比較してのインプレッションを語ってもらった。

Photo:Hiroki Obara、Chika Suzuki(*)

Hiro
【Profile】METAL SAFARIのギタリストとして国内外で活動し、2010年からプロデューサー/エンジニアに。録音からミックス、マスタリングまで広くこなす。NOCTURNAL BLOODLUSTやUnlucky Morpheusなど数多くのメタル・バンドを手掛けてきた

ANTELOPE AUDIO
Galaxy 64 Synergy Core

 ANTELOPE AUDIOのフラッグシップ・オーディオI/O。内蔵デジタル・パッチ・ペイや低レイテンシー・ミキサーをはじめ、諸要素をソフトウェア・コントロール・パネルで操作できるが、フロントのタッチ・パネルでもレベル調整やメーター監視、プリセットの呼び出しなどが行える。また、セカンド・コンピューターをUSB接続すれば遠隔操作も可能だ。内部クロックはANTELOPE AUDIO Isochrone Trinityと同等のオーディオ品質を保証するもの。FPGAベースで動作するSynergy Coreエフェクトも目玉で、ビンテージ・アナログ機材のモデリングが36種類搭載されている。

ANTELOPE AUDIOのオーディオインターフェース「Galaxy 64 Synergy Core」

リア。左側上段には付属ACアダプター用の電源端子、ワード・クロック・イン、10MHzアトミック・クロック・イン、ループ・シンク・イン/アウト、ワード・クロック・アウト×6(以上BNC)、S/P DIFイン/アウト(コアキシャル)、AES/EBUイン/アウト(XLR)、モニター・アウトL/R(TRSフォーン)を装備。下段にはHDXポート(Mini DigiLink)×4、Danteポート(RJ45)×2、MADIイン/アウト(オプティカル)、コンピューター接続用のThunderbolt 3端子×2を備える。右側には上段に8chライン入力×8、下段に8chライン出力×8(いずれもD-Sub 25ピン)を用意

リア。左側上段には付属ACアダプター用の電源端子、ワード・クロック・イン、10MHzアトミック・クロック・イン、ループ・シンク・イン/アウト、ワード・クロック・アウト×6(以上BNC)、S/P DIFイン/アウト(コアキシャル)、AES/EBUイン/アウト(XLR)、モニター・アウトL/R(TRSフォーン)を装備。下段にはHDXポート(Mini DigiLink)×4、Danteポート(RJ45)×2、MADIイン/アウト(オプティカル)、コンピューター接続用のThunderbolt 3端子×2を備える。右側には上段に8chライン入力×8、下段に8chライン出力×8(いずれもD-Sub 25ピン)を用意

さまざまな要素を専用ソフトで制御
リアリティに富む“段違いの音質”

 Galaxy 64 Synergy CoreはDante/HDX/Thunderbolt接続に対応したアナログ64イン/64アウトのオーディオI/Oで、本体やコンピューターなどの入出力のルーティング、ライン入出力やモニター・アウトのゲイン、低レイテンシーのソフトウェア・ミキサー、Synergy Coreエフェクトのロードなど、さまざまな要素をソフトウェアのコントロール・パネルから制御できるようになっている。コントロール・パネルはユーティリティ・ソフトAntelope Launcherからアクティブにし、それで初めてGalaxy 64 Synergy Coreを使えるようになる。まずはAntelope Launcherなどのインストールに始まる最初のセットアップを注意深く遂行しよう。

コントロール・パネルのROUTINGタブ。上下2エリアに分かれており、上の方がGalaxy 64 Synergy Coreに対するインプット・ソース、下の方はGalaxy 64 Synergy Coreが信号を出力する先の一覧となっている。タイルをドラッグ&ドロップして、各入出力をパッチできる直感的な操作性だ

コントロール・パネルのROUTINGタブ。上下2エリアに分かれており、上の方がGalaxy 64 Synergy Coreに対するインプット・ソース、下の方はGalaxy 64 Synergy Coreが信号を出力する先の一覧となっている。タイルをドラッグ&ドロップして、各入出力をパッチできる直感的な操作性だ

 さて今回は、Hiro氏がエレキギターのリアンプやリファレンス音源の試聴を行い、印象を語ってくれた。テストの前に行ったのはコントロール・パネルでの入出力のルーティング。ROUTINGというタブを選択すると、本体の全入出力のほか、コンピューターのオーディオ・デバイスや内蔵エフェクトなどの入出力が番号付きのタイルとして表示される。

リアンプに使用した3本のマイクとギター・アンプ

リアンプに使用した3本のマイクとギター・アンプ

 リアンプのルーティングは、ギターの録り音をライン・アウトから出してギター・アンプに送り、マイクで収めた信号を外部マイクプリ経由でライン・インに入力し録音するというもの。これをコントロール・パネルで設定すると、DAWのギター・チャンネル出力に当たるCOMP PLAY(コンピューター・プレイ)タイルをLINE OUT(出力先となる本体のライン・アウト)タイルにアサインし、マイクの信号が入力されるLINE INタイルを録音トラックの入力に当たるCOMP REC(コンピューター・レック)タイルにアサインすることとなる。アサイン作業はタイルのドラッグ&ドロップで行えるため直感的だ。他方、肝心の音質については、いかがだろう? Hiro氏に尋ねと「今まで使ってきたオーディオI/Oとは段違いです」という答えが返ってきた。

リアンプ中の様子。録音中にヘッドフォンでモニターしたそばから「圧倒的なサウンドです!」と、Hiro氏は感激していた

リアンプ中の様子。録音中にヘッドフォンでモニターしたそばから「圧倒的なサウンドです!」と、Hiro氏は感激していた

 「ギター・アンプの音がありのまま録れているように聴こえます。リアリティに富んでいると言うべきでしょうか。これまでは、マイクからDAWまでの経路に“ 何かが介在している”という感が拭えなかったのですが、それが無く、超ストレートにキャプチャーできている印象です。ここまで聴かせ切ってくれるI/Oは自分の中では初めてですし、その恩恵なのか演奏自体の説得力も増して聴こえますね

明りょうかつ耳に痛くない録り音
解像度が高く音のスピードが速い

 レコーディング中のモニター音と録音後のサウンドに“差”を感じなかったのも特筆すべき点だと言う。

 

 「モニターしているときの音からスケール・ダウンするような感じが無いんです。また、録り音をスピーカーとヘッドフォンでチェックしてみたところ、やはり両者にも差異が感じられませんでした。ライン・アウトとヘッドフォン・アウトのためのD/Aが粒ぞろいなのだと思います。スピーカーとヘッドフォンで整合性が取れているというのは、ミキシングにも有利な点でしょう。価格とクオリティのバランスを考えると、これは欲しくなってしまいますね」

 

 リアンプ済みの音をオケにミックスしてみたところ「ノー・エフェクトの状態で軽くバランスを取るだけで十分に成立します」と語る。

 

 「アンプでひずませたギターは、バランスを取るのが意外に難しいんです。ピーキーに聴こえないように処理したりとか、結構気を遣っていて。でもGalaxy 64 Synergy Coreでリアンプした音は、くっきりとしているのに耳に痛くありません。ヘッドフォンで確認しても録り音自体にピークが感じられないので、イメージ通りの音量まで上げていけますね。メタルの制作にもばっちりだと思います」

 

 次に、リファレンス音源を音楽再生ソフトでプレイバックして音質をチェック。メタルのほか、モダンなR&Bやソウルフルなバラードなど、幾つかのタイプの楽曲を試聴した。

 

 「聴き慣れた音源で今までのI/Oと比較すると、極めて解像度が高いことに驚きました。リファレンス音源がこういうふうに聴こえるものなんだな、という新たな発見があるレベルです。一聴したときは明るめのキャラクターかと思ったのですが、高解像度故に音のスピードが速いため、そう感じたのかもしれません。単に明るいと言うよりは、トランジェント特性に優れると言った方がよいでしょう。具体的にはボーカル周りの空気感がよく見えたり、キックの音色についても一曲一曲、全く違う音に聴こえます。低音部はもちろん、上の方の“質感”まで露わになって、膜が1枚も2枚もはがれたような感じです。ステレオの広がりや奥行きの再現についても秀でており、とてもナチュラルです」

Synergy Core エフェクトは
プラグインとは別種のサウンド

 サウンド・キャラクターをチェックし終え、最後に試したのがSynergy Coreエフェクトだ。Synergy Coreは、FPGAと最先端のARM DSPチップの組み合わせで、ANTELOPEが独自に開発したエフェクト処理プラットフォーム。FPGAはソフトウェア・プログラムを起動するものではなく、それ自体がプログラムされた集積回路であるため、処理計算のみならずプログラムのメモリーとしても機能する。このパワフルなプラットフォームにより、コンピューターの処理能力に依存せず、オンボードでの複数の複雑なアルゴリズムの同時演算処理を可能にしているのだ。

Synergy Coreエフェクトを操るHiro氏。「ノブを大胆にひねっても音が破たんしない辺りにアウトボードに通じるものを感じる」と語っていた

Synergy Coreエフェクトを操るHiro氏。「ノブを大胆にひねっても音が破たんしない辺りにアウトボードに通じるものを感じる」と語っていた

 使用方法はアウトボードさながらで、DAW内の音にセンド&リターンでかける要領。ルーティングはコントロール・パネルで先ほどのリアンプと同様に行い、DAWのユーティリティ・プラグイン(Hiro氏のPRESONUS Studio Oneの場合はPipeline XT)などを使ってセンド&リターンのレベルを設定する。ANTELOPE AUDIOから、DAWとSynergy CoreエフェクトのブリッジとなるMac用プラグイン=AFX2DAWがオプションとして発売されているので、機動力を高めたい人はチェックしてみよう。さて、今回は36種類のアナログ・モデリング・エフェクトからSSLのチャンネル・ストリップを再現したものなどを試したが、Hiro氏の所感やいかに?

 

 「プラグイン・エフェクトとは、かかり方が異なる印象です。デジタル臭くないというか、処理後にあたかも元からそうだったような聴こえ方をしますね。中域の質感などもプラグインとは全然違って、みずみずしさを感じます。また、大胆なセッティングにしても破たんしにくく、アウトボードのようにキャラクターの立った味付けが可能です

画面上は、Hiro氏が気に入って試していたSSLチャンネル・ストリップのモデリング、VEQ-4K Black。下に見えるのは、1950年代のリミッターRCA BA-6Aを再現したBA-6A。こういったレアな機材のモデリングも含まれている

画面上は、Hiro氏が気に入って試していたSSLチャンネル・ストリップのモデリング、VEQ-4K Black。下に見えるのは、1950年代のリミッターRCA BA-6Aを再現したBA-6A。こういったレアな機材のモデリングも含まれている

SUMMIT AUDIOのコンプTLA-100AをモデリングしたSMT-100A。本文で詳述した通りSynergy Coreエフェクトはプラグインとは別物で、ハードウェア・ベースで動作するため、アナログ機材の再現度がより高いのだという。入力レベルによっては心地良い飽和感が得られるのも魅力

SUMMIT AUDIOのコンプTLA-100AをモデリングしたSMT-100A。本文で詳述した通りSynergy Coreエフェクトはプラグインとは別物で、ハードウェア・ベースで動作するため、アナログ機材の再現度がより高いのだという。入力レベルによっては心地良い飽和感が得られるのも魅力

 Galaxy 64 Synergy Coreとアナログ卓を併用し、64chのサミングなどにもトライしたいと話すHiro氏。「フラッグシップ・モデルの風格を感じさせられたと言うほかに無いですね」と語りつつ、壮麗な筐体に熱視線を送っていた。

 

ANTELOPE AUDIO Galaxy 64 Synergy Core

1,000,000円

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SPECIFICATIONS
▪接続:Dante/HDX/Thunderbolt 3(USBはリモート・コントロール用) ▪アナログ入出力:最大64イン/64アウト ▪ビット/サンプリング・レート:最高24ビット/192kHz ▪ダイナミック・レンジ:121dB(A/D)、128dB(D/A)、130dB(モニター) ▪外形寸法:約482(W)×88(H)×270(D)mm ▪重量:約6.4kg

REQUIREMENTS
▪Mac:macOS 10.12以降(macOS 10.14推奨)、Mac 2012以降のThunderbolt 3搭載モデル(Thunderbolt 2互換性あり)
▪Windows:Thunderbolt 3搭載かつ、Windows 10最新版アップデート済みのコンピューター(64ビット、Thunderbolt 2互換性あり)
▪共通:4GB以上のRAM(8GB以上を推奨)、INTEL Core I3またはAMD FX以上のプロセッサー、インターネット接続環境

 

Galaxy 64 Synergy Core 製品情報

jp.antelopeaudio.com

 

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