KOERU 〜Repezen Foxx(元レペゼン地球)の楽曲を手掛けるビート・メイカー/DJ

KOERU

今回登場するのは、YouTubeのチャンネル登録者数274万人を誇るDJ集団の“レペゼン地球”改め、Repezen Foxxの楽曲を手掛けるビート・メイカー/DJのKOERU。EDMに和楽器を取り入れたスタイルが特徴的で、近年は苺りなはむ(ex.CY8ER)がプロデューサーを務めるアイドル・グループ、HO6LAなどにも楽曲提供している。ここでは、KOERUに音作りのこだわりについての話を聞きつつ、Repezen Foxxのスタジオも案内してもらったのでぜひ見てほしい。

Text:Susumu Nakagawa Photo:AmonRyu、yuto takoshima(*)

KOERU【Profile】ビート・メイカー/音楽プロデューサー/DJ。YouTubeを中心に活動する音楽グループ、Repezen Foxx(旧称、レペゼン地球)の楽曲制作を主軸としながらも、6人組女性アイドル・グループのHO6LAや、3人組女性YouTuberのヘラヘラ三銃士への楽曲提供など、幅広く活動している。

 Release 

『IDOL FIRE』
HO6LA
(15STYLE RECORDS)

楽曲の展開やアレンジはそのときのひらめきで考えることにした

スタジオとDAWの変遷

 地下1階がRepezen Foxxのレコーディング・スタジオで、地下2階が自分の制作ルームとなっています。24時間爆音で作業できるのが最高です。コンピューターはWindowsで、DAWはSTEINBERG CubaseとABLETON Liveを使っています。Cubaseは録音用で、付属するボーカル・ピッチ/タイミング補正機能のVariAudioはかなり使いやすいですね。一方のLiveはビート・メイキング用。最初はDJのKSUKEさんの影響でIMAGE-LINE FL Studioを選んだのですが、途中からKSUKEさんがLiveに変更し、その後彼から“とてもいいよ!”と勧められたのがきっかけでした。FL Studioは、アヴィーチーなど海外のダンス・ミュージック・クリエイターが使っているイメージ。僕も気に入っていましたが、Liveはアレンジメントビューでほとんどの作業が完結するのが楽ですね。

都内にある物件の地下2階に、KOERUの制作スタジオがある。24時間大音量で制作できるプライベート・スペースだ。メイン・マシンはWindowsで、制作時はABLETON Live、レコーディング時はSTEINBERG Cubaseという具合に2つのDAWを使い分けている

都内にある物件の地下2階に、KOERUの制作スタジオがある。24時間大音量で制作できるプライベート・スペースだ。メイン・マシンはWindowsで、制作時はABLETON Live、レコーディング時はSTEINBERG Cubaseという具合に2つのDAWを使い分けている

ROLAND Juno-GIはMIDIキーボードとして使っている

ROLAND Juno-GIはMIDIキーボードとして使っている

オーディオ・インターフェース

 オーディオ・インターフェースはRME ADI-2 DAC FSです。機材に詳しい友人やエンジニアに“何にしたらいい?”と聞いた結果、“これ買っておけば間違いない”と言われたのがADI-2 DAC FSでした。店頭で試聴したところ、めちゃくちゃ音質がクリアで、解像度も高かったので購入することにしたんです。

オーディオ・インターフェースはRME ADI-2 DAC FS

オーディオ・インターフェースはRME ADI-2 DAC FS

モニター環境

 モニター・スピーカーはGENELEC 8351AWです。これだけで曲作りからミックス・チェック、マスタリングまで行っています。この制作ルームは、Repezen FoxxのリーダーであるDJ社長から“使っていいよ”と言われて現在に至るのですが、せっかく爆音で鳴らせるので良いスピーカーを購入しようと思ったんです。いろいろ調べた結果、GLM補正ができる8351AWにしました。音の分離も良いので気に入っているんです。モニタリング用のヘッドフォンはSHURE SRH1840で、たまにミックスでも用います。クリエイターとして自分が尊敬するYunomiさんがお薦めしていたので、すぐに購入しました(笑)。最初は開放型なので低域が若干足りないかも……と思っていましたが、実際に聴くととても解像度が高く、ローエンドは迫力があります。ミックス時の細かい作業は、基本的にSRH1840で詰めていきますね。

モニターはGENELEC 8351AW。“音の分離が良い”とKOERUは絶賛する

モニターはGENELEC 8351AW。“音の分離が良い”とKOERUは絶賛する

モニタリング・ヘッドフォンはSHURE SRH1840を使用。ミックスの大詰めで用いることが多い

モニタリング・ヘッドフォンはSHURE SRH1840を使用。ミックスの大詰めで用いることが多い

曲作りの手順とアレンジのこだわり

 基本はピアノでコード進行を決め、同時に曲構成も進めていくという流れです。その後ドラムやベース、シンセなどのパートを足していきます。ビート・メイキングを始めた当初は、“今日はプログレッシブ・ハウスを作ろう”“次はダブステップで行こう”と、曲ごとに音楽ジャンルを決めてから取り掛かるようにしていましたが、最近それを止めたんです。EDMやポップス曲の多くは構成や展開がある程度決まっているので、ワンコーラス聴くと大体その先が読めてしまうじゃないですか?自分はそれにだんだん飽きてきたので、そのときのひらめきで展開やアレンジを考えることにしたんですよ。今まで自分が聴いてきた音楽を咀嚼してアウトプットしている感じです。

地下1階にはRepezen Foxxのミックス・ルームがあり、奥にはレコーディング・ブースの姿も見える。機材セレクトは、エンジニアの韓雄万氏が行ったそうだ

地下1階にはRepezen Foxxのミックス・ルームがあり、奥にはレコーディング・ブースの姿も見える。機材セレクトは、エンジニアの韓雄万氏が行ったそうだ

デスクには、モニター・コントローラーGRACE DESIGN M905のリモート・コントロール・ユニットが置かれている

デスクには、モニター・コントローラーGRACE DESIGN M905のリモート・コントロール・ユニットが置かれている

デスク中央には、37鍵のMIDIキーボードKORG MicroKey2を備えている

デスク中央には、37鍵のMIDIキーボードKORG MicroKey2を備えている

自分が聴いて“心地良い”と思ったものが最終的には正解だと思うようになりました

和楽器を取り入れる理由

 こうしてできた楽曲に、自分は必ず和楽器を足すようにしています。理由は、Repezen FoxxやCandy Foxxの作品を世界に向けてリリースする上で“いかに海外のダンス・ミュージックと差別化するか”を考えた結果、“日本古来の伝統楽器を使わない手は無いな”と思ったからです。

コントロール・ルームの壁一面に描かれた絵。壁には吸音材が使用されているという

コントロール・ルームの壁一面に描かれた絵。壁には吸音材が使用されているという

各パートに使用するソフト音源

 ドラムには、Spliceなどからダウンロードしたサンプル素材を基本的に用います。ただし、キックとスネアはABLETON付属のソフト・サンプラーSimplerにアサインしており、これは後から音色を変えたいなと思ったときに、後から差し替えられるようにするためです。シンセ・ベースはXFER RECORDS Serumで、エレキベースの生演奏を再現したいときはIK MULTIMEDIAのModo Bassを使うこともあります。

デスクの奥に設置された神棚

デスクの奥に設置された神棚

上モノに使用するソフト音源

 こちらもSerumが多く、シンセ・リードなどに活用しています。ほかにはLENNARDIGITAL Sylenth 1やREVEAL SOUND Spireも好きで、よくシンセ同士をレイヤーすることがありますね。SPECTRASONICS Omnisphereは、プリセットとして収録されたシンセ・パッド系のサウンドが良いです。ストリングスにはSPITFIRE AUDIO Spitfire Chamber Stringsを使っていて、奇麗で自然なサウンドが魅力的。ピチカートなどの細かいニュアンスもリアルに再現されているので、本当にすごいなって思います。エレキギターはNATIVE INSTRUMENTS Session Guitarist – Electric Sunburst Deluxeで、オケになじみやすく、空間のすき間を埋めたいときにも役立ちますね。

レコーディング・ブース内に置かれたマイク・スタンドには、コンデンサー・マイクのMANLEY ReferenceCardioid  Microphoneがスタンバイ

レコーディング・ブース内に置かれたマイク・スタンドには、コンデンサー・マイクのMANLEY ReferenceCardioid Microphoneがスタンバイ

和楽器に使用するソフト音源

 KotoやShakuhachi、Kabuki & Noh Percussionなど、SONICA INSTRUMENTSがリリースする和楽器に特化したソフト音源を多数利用しています。鈴や拍子木などには、サンプル素材を使うこともありますね。和楽器をダンス・ミュージックに取り入れるコツは、主線となるリード楽器とユニゾンしたり、1オクターブ上や下でレイヤーすること。これはYunomiさんの影響でもあります。

デスク右側のアウトボード群。ラックには、上から8chマイクプリのPHOENIX AUDIO DRS-8 MK2、4chマイクプリのAPI 3124V、コンプレッサーのWESAUDIO Beta76、オーディオ・インターフェースのLYNX STUDIO TECHNOLOGY Aurora(n)、モニター・コントローラーのGRACE DESIGN M905などが格納されている

デスク右側のアウトボード群。ラックには、上から8chマイクプリのPHOENIX AUDIO DRS-8 MK2、4chマイクプリのAPI 3124V、コンプレッサーのWESAUDIO Beta76、オーディオ・インターフェースのLYNX STUDIO TECHNOLOGY Aurora(n)、モニター・コントローラーのGRACE DESIGN M905などが格納されている

お気に入りのプラグイン・エフェクト

 最近“マスト”で使っているのが、ステレオ・イメージャーのJST SideWidener。L/Rへ自然な感じに音を広げられるのが好きです。アタック感が若干弱くなるので、サブ楽器などにかけるのもいいと思います。あと、ダブラーのWAVES Reel ADTもお薦め。ボーカルにインサートすると音の厚みをしっかりと出すことができますし、ハーモニーをたくさん重ねるようなコーラスのバスにインサートするのも効果的です。

モニター・スピーカーは3ウェイ・タイプのNEUMANN KH 310。KOERUは「音の解像度がとても高く、ローエンドもしっかり見えます」と話している。KH 310の後ろには、拡散材が壁に埋め込まれているのもポイントだ

モニター・スピーカーは3ウェイ・タイプのNEUMANN KH 310。KOERUは「音の解像度がとても高く、ローエンドもしっかり見えます」と話している。KH 310の後ろには、拡散材が壁に埋め込まれているのもポイントだ

ミックスのこだわり

 ぶっちゃけ、ミックスって正解が無いですよね。いろいろ研究した結果、最終的には自分が聴いて“心地良い”と思ったものが正解だと思うようになりました。以前、ポーター・ロビンソンが“ミックスは、例え音源がクリップしていても自分が格好良いと感じるならそれでいい”と言っていたんです。世界で活躍するアーティストがそう言うなら、間違いないだろうと……。これは音楽制作全体に言えることですが、“絶対こうしなきゃいけない”というこだわりを自分は持たないようにしていますね。

今後の展望

 引き続きビート・メイカーとして活動しつつも、今後は“日本一のビート・メイカー”ではなく“日本一のアーティスト”を目指して全力で取り組んでいきます!

KOERUを形成する3枚

『グッド・アズ・ヘル (Bad Royale Remix)』
リゾ
(Atlantic)

 「作曲を始めた当時、ドハマりしていたプロデューサー/DJユニットのBad Royale。この曲は、彼らのリミックスの中でも一番大好きな曲です」

 

『私の好きなもの (Yunomi Remix)』
ラブリーサマーちゃん
(自主制作)

 「国内のダンス・ミュージック・シーンに興味を持つきっかけとなった、かつ自分の音楽家人生を変えた曲。それまでは海外のダンス・ミュージックしか知りませんでした」

 

『ドラム』
ムー
(Chess Club/RCA/Sony Music)

 「スクリレックスの盟友、ブラッドポップが手掛けた楽曲。ドロップのボーカル・チョップは、ひずんでいるのに耳当たりが良いサウンドで癖になります」

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