NATIVE INSTRUMENTS製品を愛用するプロ・クリエイターのコメントとともに、現在発売中のラインナップを一挙に紹介! 続いて登場するのは、ヒップホップやR&Bを中心としたトラック・メイクやプロデュースを数多く手掛けるNAOtheLAIZA。制作のクオリティや効率を向上させるMaschine独自の機能や、さまざまなジャンルの楽曲を手掛ける上で感じるMaschineの魅力を尋ねた。
Photo:Takashi Yashima
生っぽいヒップホップで効果を発揮するSwing
「もともとハードウェア・サンプラーでサンプリングをしてビートを組んでいた」というNAOtheLAIZA。DAWを中心としたシステムへと移行する中で「Maschineはコンピューターとの組み合わせで自由度高くいろいろなことができそう」という第一印象から導入に至ったという。
「少し前まではMaschine MK2を自宅用、Maschine Mikroをプライベート・スタジオや外出先での制作用と使い分けていましたが、今はMaschine MK3をメインで使っています。ライブで演奏するにも見栄えがいいし、1台で制作も完結するのが面白いと思って買いました。MK3はMikroよりボタンが多い分、少ない手数で操作できるし、本体も操作しやすいサイズ感でいいですね」
Maschineはリリース済みの曲でも大いに活用されている。
「韻踏合組合の「REAL GOLD(NEVA GETS OLD)」は、Maschineで遊ぶような感覚で作りました。この曲では、Maschine独特のグルーブ感を合わせるために、サンプリングだけでなくベースもMaschineを使って打ち込みました。そのほか、今年リリースしたEASTA & NAOtheLAIZA「Straight Up feat. JAGGLA & NORIKIYO」で活用した機能が、Grooveの設定です。ここでは発音のタイミングを揺らす“Swing”に関連したパラメーターを調整できるのですが、サウンド単体に設定することも、グループやマスターごと設定することもできるので、組み合わせて複雑なグルーブを作ることができます。特に生っぽいヒップホップで最大限効果を発揮しますね。加えて、このSwingのパラメーターは調整してもノート位置が動かないので、目で追うのではなく、自分の耳で聴いて調整することを大事にできます」
Expansionsのデモ・フレーズからヒントを得る
続いて、サンプリングから打ち込みまでの具体的な手法を、お気に入りの機能を交えて解説してもらった。
「サンプルのスライス方法はいろいろありますが、ダイナミクスを検出してスライス・ポイントを決めるDetectモードで上モノのおいしいところを切ってから自分なりに調整すると、時間短縮にもなりますし、アイディアを忘れないうちに作業できます。画面上では波形のズームもできますし、スライス・ポイントの追加/削除、スタート/エンド・ポイントの調整もすぐできるんです。切ったサンプルはパッドに並べて、Keyboardモードで音階を付けて打ち込みます。内蔵エフェクトの動作が軽いのもいいですね。スネアにビート・ディレイを薄くかけると、裏でゴーストっぽく鳴らすことができます」
Maschineを使う上では、豊富なExpansionsの存在も魅力の一つだというNAOtheLAIZA。
「僕はヒップホップやR&Bの制作がメインですが、他ジャンルの要素を入れた楽曲を依頼されることも多いので、Expansionsは普段あまり作らないジャンルを取り入れるときに役立ちます。Maschine用のキットにはMIDIで打ち込まれたデモ・フレーズが入っているので、そこからヒントを得ることもあります。初心者の方にはサウンドの処理方法の勉強にもなると思います。特に4つ打ち系はすごく良いですね。ディープ・ハウスのオーダーを受けたときに、デモを聴いて“めちゃくちゃヤバい”と思って買ったExpansionsは“Higher Place”で、ほかにも“Amplified Funk”にはPファンクやウエスト・コーストのソウルなどでよく使われる音色が収録されていて、名曲にインスパイアされたようなリズムもパラのMIDIデータで入っているので重宝しています」
最後に、Maschineを薦めたいユーザーについて尋ねた。
「ビートにオリジナリティを出したいなら、Maschineは最適ですね。DAWでの打ち込みもスムーズになるし、感覚的に使えるので、初心者でも遊びながら作るうちに自分の音楽性が反映されていって、自分なりのビートが作れます!」
Favorite Points|編集がスムーズなSAMPLING機能
サンプルのスライスは4種のモードを搭載。ダイナミクス(音の強弱)を基準にスライス・ポイントが設定されるDetectモード、均等にスライスするSplitモード、音符に合わせて切るGridモード、手動でスライス・ポイントを決めるManualモードから選ぶことができる。Maschine MK3、Maschine+では画面に波形が表示され、スタート/エンド・ポイントの設定などもノブを使って直感的に行うことができる。
Favorite Points|複雑なグルーブを生むGroove設定
Maschineでは、マスター、グループ、サウンドの各レベルで、Input、Output、Groove、Macroの設定ができる。中でもNAOtheLAIZAが気に入っているのがGroove設定。発音のタイミングに揺れをもたらすSwingの量(AMOUNT)や周期(CYCLE)をマスター、グループ、サウンド別に設定することで、複雑なグルーブが生まれるという。
Recent Work
『IMPULS』
Tokyo Young VIsion
(Tokyo Young VIsion)
【Profile】プロデューサー/トラック・メイカー/エンジニア。般若、NORIKIYO、韻踏合組合、EXILE SHOKICHI、JAY'EDなど、ヒップホップやR&Bアーティストへ多数の楽曲を提供する