YAMAHA Stagepas 200 / 100を野外でギター弾き語り&ライブハウスでチェック!

YAMAHA Stagepas 200 / 100を野外でギター弾き語り&ライブハウスでチェック!

ミキサー、アンプ、スピーカーを1つにまとめたポータブルPAシステムのYAMAHA Stagepasシリーズ。2005年に誕生して以来、“いつでも、どこでも、ステージに”をコンセプトに掲げ、高音質と大出力、優れた可搬性と操作性を兼ね備え、場所やイベントを問わずに活躍する製品がリリースされている。今年に入ってシリーズにラインナップされたのが、5ch入力のミキサーを搭載するStagepas 200と、4chミキサーを搭載し重量わずか約5kgというコンパクト・サイズのStagepas 100。当記事では両機種をそれぞれアーティストとエンジニアに使用してもらい、インプレッションを伺いながらその魅力に迫っていこう。

Photo:Hiroki Obara 撮影協力:宗教法人 簗田寺

Stagepas 200 × 有明(レイラ)

YAMAHA Stagepas 200 × 有明(レイラ)

 180Wのアンプ出力を誇り、3系統のXLR/TRSフォーン・コンボ端子と1系統のTRSフォーン端子からなる5chのアナログ入力を備え、Bluetooth接続による音楽再生、専用アプリからミキサーを遠隔操作できるなど、そのサイズからは想像できないほどの機能性を有するポータブルPAシステム、Stagepas 200。今回は本機を用いて、音楽イベントなども開催する東京都町田市にある寺院の簗田寺にて、横浜を拠点に活動するバンド、レイラの有明(vo/g)にギター弾き語りを行ってもらった。野外での弾き語りというシチュエーションで、Stagepas 200を使用した印象を聞いた。

有明(レイラ)
【Profile】横浜を本拠地とするロック・バンド、レイラのボーカル/ギター担当。2021年に2ndミニ・アルバム『World』をリリース。6月から下北沢SHELTERにて3カ月連続のツーマン・ライブを企画しており、7月21日はtricot、8月25日はFINLANDSを迎えて開催予定。

Stagepas 200BTR

YAMAHA Stagepas 200BTR

Stagepas 200BTR|価格:オープン・プライス(市場予想価格107,800円前後)
※最大10時間連続稼働可能なバッテリー・パックを付属。バッテリー・パックを付属しないStagepas 200(オープン・プライス:市場予想価格89,100円前後)もラインナップ

Stagepas 200BTR トップ・パネル

トップ・パネルには、各入力チャンネルのボリューム、EQノブのほか、ch1~3にはリバーブ、ディレイ、コーラスを組み合わせて設定できるエフェクト・ノブを装備。ch1~3共通の48Vファンタム電源スイッチ、ch4/5のBluetoothペアリング用スイッチも用意。出力には、ボリューム・ノブ、シーンによって音圧/バランスを調整するMODEノブ、HALL/PLATE/ROOM/ECHOの4種類を備えるリバーブ・ノブ、ハウリングを防ぐFEEDBACK SUPRESSORスイッチ、モニター/リンク出力の音量を調節するMONITOR/LINKノブを用意する

Stagepas 200BTR リア・パネル

リア・パネルには左から、マイク/ライン入力×3(XLR/フォーン・コンボ。ch1は複数台接続する際のリンク入力として、またch2/3はHi-Z入力に対応)、ライン入力、モニター/リンク出力(いずれもTRSフォーン)を備える

SPECIFICATIONS
▪スピーカー構成:6.5インチ・ウーファー+1.4インチ・コンプレッション・ドライバー ▪内蔵アンプ出力:クラスD、93W(低域)+7W(高域) ▪周波数特性:70Hz~20kHz ▪指向角:90°(水平)×90°(垂直) ▪クロスオーバー周波数:1.8kHz ▪最大SPL:120dB(1m) ▪入力チャンネル:4(モノラル2系統+ステレオ1系統) ▪外形寸法:239(W)×310(H)×215(D)mm ▪重量:5.5kg(Stagepas 100は5.2kg) ▪付属品:電源アダプター

演奏の合間に自分でミキサーを調節できる。十分な音量感でとても歌いやすかったです

 普段はライブ・ハウスで演奏することが多いのですが、野外で弾き語りするのはやっぱりテンションが上がりますね。演奏中はマスター・ボリュームを12時くらいにしていて、それでも十分な音量感でとても歌いやすかったです。まだまだ音量を上げられたので、もしたくさん人がいたとしても問題なく聴いてもらえたと思います。

 曲によってギターをピック弾きと指弾きで変えているのですが、ミキサーの操作部分が本体の上にあるので、演奏の合間に自分で調整できるのが便利です。あと、内蔵エフェクトのリバーブをボーカルにかけたところ、かかり具合がよく分かるサウンドなのも好印象でした。アプリを使えば遠隔で調整でき、操作する方がもう1人いれば、曲の途中でリバーブを深くかけるといった使い方もできそうです。

トップ・パネルにミキサーがあるため、椅子に座ったままでも調節可能。1人で弾き語りを行うミュージシャンにとっては便利な仕様だ

トップ・パネルにミキサーがあるため、椅子に座ったままでも調節可能。1人で弾き語りを行うミュージシャンにとっては便利な仕様だ

スマートフォンなどの端末からミキサーを操作できるアプリ、Stagepas Controllerを使えば、写真のように遠隔でもミキシング可能。スペクトラム・アナライザーを見ながらEQを操作できるなど、より細かなパラメーター調整に対応している

スマートフォンなどの端末からミキサーを操作できるアプリ、Stagepas Controllerを使えば、写真のように遠隔でもミキシング可能。スペクトラム・アナライザーを見ながらEQを操作できるなど、より細かなパラメーター調整に対応している

側面の固定ネジを調整することで、傾きの角度を調整可能

側面の固定ネジを調整することで、傾きの角度を調整可能

 電源をつないで起動するだけでなく、今回試したStagepas 200BTRにはバッテリーも付属しているので、野外でこんなにも手軽に、しかも良い音で演奏できるのがすごいです。キャンプなどのレジャーに持って行くのもいいですね。もちろん野外だけでなく、PA設備のないカフェなどのお店でのライブにも向いていると感じました。レイラの2人でボーカル/ギター、ギターのアコースティック・ライブを行ってみるのも面白いと思います。

別売りのキャリング・バッグ、Bag-STP100(オープン・プライス:市場予想価格8,800円前後)も用意されている

別売りで専用キャリング・ケースCase-STP200(オープン・プライス:市場予想価格​22,000円前後)もラインナップ。ケーブルなどを収納できるポケットが付いている

Stagepas 100 × ハタナカミホ(原宿ストロボカフェ)

Stagepas 100 × ハタナカミホ(原宿ストロボカフェ)

 6月に発表されたばかりのStagepasシリーズの最新機種、Stagepas 100。シリーズ史上最もコンパクトかつ軽量でありながら、4chのアナログ入力とミキサーを搭載し、Bluetooth接続にも対応。出力100WのクラスDアンプを備え、高域と低域のクロスオーバーにはハイエンド・システム譲りのFIRフィルターを採用しており、優れた機能性と高音質を実現している。本機をチェックしたのは、原宿ストロボカフェのPAエンジニア、ハタナカミホ氏。スタンディングで150名のキャパシティを持つ同スペースにて、そのサイズから音の印象などについて、詳しく話を伺った。

ハタナカミホ
【Profile】2014年2月にオープンし、音楽、アート、お笑い、演劇など、さまざまなイベントを行うカフェ風のイベント・スペース、原宿ストロボカフェのPAエンジニア。シンガー・ソングライター経験があり、自ら楽器演奏なども行う。また楽器店に勤務していた関係で、楽器や音響機器への造詣も深い。

Stagepas 100BTR

YAMAHA Stagepas 100BTR

Stagepas 100BTR|オープン・プライス(市場予想価格69,300円前後)
※最大6時間連続稼働可能なバッテリーを搭載。バッテリーを搭載しないStagepas 100(オープン・プライス:市場予想価格59,400 円前後)もラインナップ

フロントの下部には、ミキサーのノブを配置。左から、ch1~3のボリュームと、ch1/2にはマイク/ライン入力の切り替えスイッチを、ch3にはBluetoothとのペアリング・スイッチを装備。その右は、低域と高域のマスターEQとなっている

フロントの下部には、ミキサーのノブを配置。左から、ch1~3のボリュームと、ch1/2にはマイク/ライン入力の切り替えスイッチを、ch3にはBluetoothとのペアリング・スイッチを装備。その右は、低域と高域のマスターEQとなっている

リア・パネルには上段左から、ch1/2のマイク/ライン入力(XLR/フォーン・コンボ。ch2にはHi-Z入力切り替えスイッチを装備)、ch3のライン入力(ステレオ・ミニ)。下段にはch1~3のミックス出力(XLR)、電源アダプター接続端子、電源スイッチを備える

リア・パネルには上段左から、ch1/2のマイク/ライン入力(XLR/フォーン・コンボ。ch2にはHi-Z入力切り替えスイッチを装備)、ch3のライン入力(ステレオ・ミニ)。下段にはch1~3のミックス出力(XLR)、電源アダプター接続端子、電源スイッチを備える

SPECIFICATIONS
▪スピーカー構成:6.5インチ・ウーファー+1.4インチ・コンプレッション・ドライバー ▪内蔵アンプ出力:クラスD、93W(低域)+7W(高域) ▪周波数特性:70Hz~20kHz ▪指向角:90°(水平)×90°(垂直) ▪クロスオーバー周波数:1.8kHz ▪最大SPL:120dB(1m) ▪入力チャンネル:4(モノラル2系統+ステレオ1系統) ▪外形寸法:239(W)×310(H)×215(D)mm ▪重量:5.5kg(Stagepas 100は5.2kg) ▪付属品:電源アダプター

持ち運びに便利な小ささと軽さ。音響に詳しくなくても簡単に奇麗な音を出せます

 まず製品が届いたときに箱自体が小さいことに驚きました。本体ももちろん小さくて軽い。単に小さなスピーカーだったらほかにもあると思いますが、ミキサーも内蔵して本体だけで完結できるとなると、このサイズではなかなかないと思います。弾き語りを行う女性や、中高生などの若い方でも持ち運びが簡単なのはいいですね。ギターやキーボードなどの楽器だけでも重たい上にスピーカーまで運ぶとなると、移動するのも大変ですから。地方を巡業する芸人やパフォーマーの方も使いやすいのではないでしょうか。

スタンドは逆さに向けると手持ちできるようになっており、片手でも持ち運びしやすい設計だ

スタンドは逆さに向けると手持ちできるようになっており、片手でも持ち運びしやすい設計だ

 マイク・スタンドに立てられるのもポイントです。一般的なポール・マウントのスピーカー・スタンドはなくても、マイク・スタンドの予備を持っている会場なら比較的あるでしょうし、角度調整が容易な点と併せて、すごく柔軟な仕様になっていると思います。

側面の固定ネジを調整することで、傾きの角度を調整可能

側面の固定ネジを調整することで、傾きの角度を調整可能

本体を支えるスタンドの底面には、3/8インチのネジ穴が用意されており、マイク・スタンドに立ててセッティングすることができる

本体を支えるスタンドの底面には、3/8インチのネジ穴が用意されており、マイク・スタンドに立ててセッティングすることができる

 Bluetooth接続して音楽を流してみたところ、すごくクリアなサウンドでした。マスターにEQが付いているので調節も可能です。特に印象的なのが、このサイズ感でも低域がしっかりしているところ。仕様では周波数特性が70Hzからとなっているのですが、音圧が奇麗に出ているためか、音域以上のパワーを感じました。ボリュームもかなり出せるので、BGMやカラオケなどの用途にも使いやすそうです。

 マイク入力の音質は、マイクの性質を色付けすることない素直な感じでした。自分に合ったマイクを探して使えば、そのマイクの音がそのまま出てくれるかなと。マイクとギターに加えてライン入力かBluetooth接続で音源も流せますし、1人で演奏するには十分なチャンネル数です。さらに入力が必要だったり、アプリで遠隔操作したいと言うことであればStagepas 200もありますし、選択肢が用意されているのはありがたいですね。

 Stagepas 100は、とにかく簡単に奇麗な音が出せて、持ち運びも楽です。別売りのキャリー・バッグもあり、Stagepas 100BTRにはバッテリーも搭載されていて、人によって幅広い使い方ができるように感じました。操作もとても簡単なので、音響に詳しくない人でも安心して使える製品です。

別売りのキャリング・バッグ、Bag-STP100(オープン・プライス:市場予想価格8,800円前後)も用意されている

別売りのキャリング・バッグ、Bag-STP100(オープン・プライス:市場予想価格8,800円前後)も用意されている

製品情報

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